表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元サレ妻のヒロインは、ひとりで竜を倒したい~浮気者の攻略対象者には頼りません~  作者: 九重


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/48

意外と根性がありました

 悪い予感を見事的中させてしまった私は、ため息をこらえて目の前の人物を見る。


「今日こそ一本取ってやる!」


 闘志満々に緑の目を輝かせるのは、オリヴェル・ロザグリア王太子殿下本人だ。

 見目麗しい乙女ゲームのメイン攻略対象者は、不敵な笑みを浮かべている。


「何度やっても結果は変わりませんよ。その人と同じように地面に這いつくばるだけです」


 私が「その人」と言って指さすのは、ローレン・クロブジャー。

 今は見る影も無いけれど、本来なら凜々しく頼りになる乙女ゲームの攻略対象者その二は、悔しそうに唇を噛んでいる。


「だがローレンも、今日は昨日より二分長く持ちこたえられていたぞ」


「避け方が、ほんの少しマシになっただけです」


 二分なんて、威張れる時間じゃないでしょう。


「それでもそれはたしかな成長だ! 僕も昨日より成長した自分を君に見せよう!」


 ドンと胸を叩くオリヴェル。

 そんなもの見たくないんだけどな。



 私にコテンパンにのされて、すごすごと帰って行ったオリヴェルたちは、驚いたことに翌日も私の前に現れた。


「リベンジだ!」


 そう言って立ち向かってくるから、遠慮無く叩き潰した。

 今度こそ懲りただろうと思ったのに、その翌日も彼らは現れて、それが今日まで続いている。




「いったいなんで?」


 今日も同じく返り討ちにして、私はエドヴィンとマルクにたずねた。


「なんでと言われても、彼らも短期入学中だからね」


「授業に参加するのは、当然だろう」


「授業の後で私に試合を挑むのは、当然じゃないでしょう? それに普通、令嬢に負けた王子さまは、学校なんて辞めてお城に引きこもるんじゃないですか?」


「まあ、普通はそうかもしれないけれど」


「言っただろう? オリヴェルは諦めが悪いんだよ」


「諦めが悪いとか、そういうレベルじゃないでしょう!」


 負けても負けても挑んでくる乙女ゲームの王子さまとか、絶対ジャンルを間違っているわよね?

 昭和のスポ根モノじゃないのよ!


「ああ。でも、オリヴェルにあんな気概があるとは思わなかった。嬉しい誤算だな」

「ローレンもだ。憎まれ口を叩きながらも、毎日来るなんて。正直見直した」


 兄ふたりは、なんだか嬉しそう。

 まあ、このふたりは弟たちの親には不満があったけど、弟自身が憎いわけじゃないからね。予想外に根性があって嬉しいのだろう。


 でも、私は困るのよ!

 彼らには、一刻も早く幼年学校からいなくなってほしいんだから!

 私のためにも! 彼らのためにも!


「このまま彼らに居座られたら、聖魔法を使った訓練が出来ませんよ。……万が一にでも私が聖女だとバレて、王太子殿下の婚約者になるわけにはいきませんから」


 それだけは、絶対絶対お断り!

 エドヴィンとマルクもハッとした。


「そうだったな。君は聖女の力を隠したかったんだ」

「そう思えば、この状況はマズいな」


 ようやくわかってくれたみたい。


「アノ人たちが来なくなるいい方法はないですか?」


 聞けばふたりは目と目を見交わした。


「なくはないが――――」

「君は気に入らないだろうな」


 それって、いったいどんな方法?


 視線で促せば、また目を見交わして……最終的にエドヴィンが口を開いた。


「オリヴェルが君に執着するのは、君がまだフリーだからだ。君に婚約者が出来たなら、さすがにオリヴェルも諦めるだろう。だから、私かマルクが君の婚約者になれば――――」


「お断りします!」


 最後まで言わせずに私は断った。


「だと思ったよ。ちなみに本当の婚約ではない偽装婚約なんだけど?」


「絶対いやです!」


 偽装婚約だろうがなんだろうが、婚約は婚約だ。結婚に準ずるものなのだから、私は婚約すればその人一筋。絶対浮気はしないと決めている。

 だから婚約する相手は、どんな婚約だって慎重に選びたいと思っているのだ。


 もちろんうちだって貴族の端くれだから、親の勧める相手と否応なしにということも無きにしも非ずだろう。しかし、その時はその時で、私は覚悟を決めてお相手を生涯愛するつもりでいる。


(……たぶん私の両親は、私の意に染まぬ結婚を勧めてきたりしないと思うけど)


 私にとって婚約は、一生を左右する重大事項。だからこそ、こんなことで流されるように、婚約なんてしない!


「エドヴィンさまもマルクさまも、軽々しく婚約しようなんて言わないでください。おふたりにとってはどうか知りませんけど、私にとって婚約は、そんなに軽いものじゃないんです!」


 怒鳴りつければ、ふたりは素直に「すまない」と謝った。


 そのまま黙っていればよかったのに。


「でも私は、そんな軽い気持ちで言ったわけではなかったんだけどね」


 エドヴィンがそんなことを言うから、私はますます逆上する。


「偽装婚約のどこが、軽くないんです!」


「それはそうなんだけど、私は――――」


「言い訳しない!」


 腰に両手を当て怒鳴りつければ、エドヴィンは渋々口を閉じた。

 綺麗な碧眼が何か言いたそうに見つめてくるけれど、私はフイッと目を逸らす。




 ――――心臓がちょっとドキドキするけれど、きっと怒鳴ったせいよね?


 私は、婚約なんてしないわよ!


 今は、()()、誰とも。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
おぉ?! ゲーム本編とは違う攻略対象者に収まりそうな兄二人との関わりから始まったヒロインの人生(なお、元サレ妻の主人公にとっては望まない環境:笑)に、正統派攻略対象者が増えるのか?!(主人公にとっては…
 いやぁ、エドウィンは優良物件では? というか『ドキドキ』してるってことは脈アr(背後からの手刀で気絶)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ