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魔女達に愛を  作者: アモーラリゼ
ソレイユ編①太陽

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女の戦、始まる朝

朝日が静かに差し込む草原に、鳥のさえずりと穏やかな風が吹き抜けていた。


健司はまどろみの中で目を覚ました。ゆっくりと伸びをしようとしたとき、何かが腕にまとわりついているのを感じた。


「……ん?」


目を開けると、そこにはソレイユの金色の髪と、穏やかな寝顔があった。


彼女の顔がすぐ目の前にある。


しかも、健司の腕にピッタリと抱きつくようにして、すやすやと眠っていた。


「ソ、ソレイユさん!? え、あの……!?」


健司が戸惑いながら声をかけると、ソレイユはゆっくりと目を開け、ふわりと微笑んだ。


「……おはよう、健司」


「あ、おはようございます……っ」


「安心して眠れるの。あなたのそばにいると、太陽も怖くなくなるから」


健司は言葉を失った。


その言葉は優しく、どこか切なくて、彼の胸に静かに響いた。


けれどその和やかな空気は、すぐに崩れた。


「……ほう」


ぴしり、と冷たい空気が流れる。


健司が振り返ると、そこにはカテリーナとクロエが立っていた。


しかも、どちらも笑ってはいるが、その目は全く笑っていなかった。


「……朝から元気そうね、ソレイユ?」


「健司の腕で、ぐっすり眠れたなんて。ふぅん……へぇ……なるほどねぇ?」


カテリーナとクロエ、両名からにじみ出る冷気に、空気が凍りついた。


「ちょ、ちょっと待ってください、これは誤解で……!」


健司が必死に弁明しようとするが、ソレイユは腕を離さず、むしろしっかりと抱きついた。


「誤解じゃないよ。私は、ちゃんと好きって言えるよ。あなたに救われたから」


その言葉に、クロエの肩がぴくりと震えた。


「……健司」


「は、はい……」


「あなた、ずいぶんとモテるのね」


「いやいやいや! これは本当に、ただ……っ」


「ソレイユ」

カテリーナがぬるりと前に出た。


「……一番誰が強いか、勝負してみない?」


ソレイユが健司の腕から離れ、ゆっくりと立ち上がった。


その金色の瞳に、確かな闘志が宿る。


「……いいですね、カテリーナ様。ちょうど、私も一度、はっきりさせておきたかった」


「ルールは?」


「一対一。魔法あり。手加減なし」


リセルが小声でつぶやいた。


「始まったわね、女の戦争が……」


ルナとミイナは

「がんばれー」

と声援を送りつつも、どこか楽しそうだ。


クロエは腕を組んで、一歩後ろに下がった。


「私は出ないわ。けど……勝手にすれば?」


その目は静かに怒っていた。


場所は、少し開けた草原。


太陽は高く昇り、まるでソレイユを応援するかのように空から照りつけていた。


「準備はいいかしら?」とカテリーナ。


「もちろん」とソレイユ。


二人は距離をとり、対峙する。


エルネアがタイムキーパーを務め、リーネとセレナが後方支援のため控える。


「では、始め!」


その瞬間、地が震え、空気が揺れた。


カテリーナが「ブラックスピア」を放つ。黒い槍が地を割ってソレイユを貫こうとする。


だがソレイユは片手で太陽のエネルギーを集め、黄金の円盾を展開した。


「サンガード!」


バァンッ!


強烈な衝突音が空気を裂く。


「やるじゃない」とカテリーナ。


「あなたもね」とソレイユ。


次の瞬間、二人は同時に魔法を放った。


「ブラックダンス!」


「サンフレア!」


闇と太陽の光がぶつかり合い、地面が大きく揺れる。


爆風が草をなぎ倒し、周囲の木々を揺らす。


だが、二人の表情には笑みすら浮かんでいた。


「面白いわね、ソレイユ。強い」


「カテリーナ様こそ、全力じゃないでしょ?」


「ふふ……見抜いたの? じゃあ、もう一つ行くわ」


カテリーナが空に指を向けた。


「ブラックノヴァ!」


闇の星が天空に浮かび、周囲の光を吸収し始める。


その瞬間、ソレイユは手を天にかざした。


「……太陽よ、我が胸に再び」


彼女の体が光に包まれ、純粋な光の柱が地から天へと昇った。


「ソーラー・アセンション!」


黒と金がぶつかり、世界が白く染まるような光が溢れた。


誰もが目を細め、風に吹かれながら、その結果を見守った。


やがて光が収まり、二人は疲れたように立っていた。


「……引き分けね」


「……そうね」


ソレイユとカテリーナは、お互いに笑った。


そこには確かな敬意があった。


夕方、焚き火の前。


健司はため息をつきながら、リセルに愚痴をこぼしていた。


「女の人って、怖いですね……」


リセルは頷いた。


「魔女は特にね。でも、だからこそ面白いとも言えるわ」


その横で、ソレイユとカテリーナが再び言い合っていた。


「でも、あの一撃、私の方が押してたですよね?」


「は? あなたの太陽、ちょっと過保護すぎるのよ」


エルネアがぽつりと呟いた。


「……健司、本当に気をつけなさいね」


そして、クロエは火を見つめながら、静かに口を開いた。


「……本気を出してないのは、私だけ。次は私の番ね」


健司は心の中で小さく叫んだ。


(ほんとに、気が休まらない……!)

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