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魔女達に愛を  作者: アモーラリゼ
アスフォルデの環⑨解散

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新たな始まりのために

南の村――

のどかな自然と平穏な空気に包まれたこの場所は、健司たちにとって一時の安息の地だった。


だが、それはもう、続かないのかもしれない――


そんな予感が、朝の冷たい風と共に、健司の胸に吹き込んでいた。


アスフォルデの環の幹部たち――カテリーナ、エルネア、ソレイユ、セレナ、リーネ、ローザ、リセル、ヴェリシア、そしてミリィが、村の広場に立っていた。


その顔にはそれぞれ、決意と戸惑い、そして覚悟が浮かんでいた。


彼女たちは、村人たちに謝罪するためにここに来たのだ。


健司たちもその場に立ち、静かに見守っていた。


カテリーナが、一歩前に出る。


「……私たちは、あなた方に多くの恐怖と不安を与えてしまいました。そのことを、心からお詫び申し上げます」


彼女の声はよく通るが、どこか悲しみを帯びていた。


エルネアも続いた。


「私たちは間違っていました。力に頼り、人を疑い、そして……あなたたちの心に寄り添うことができなかった」


ソレイユ、セレナ、リーネ、ローザ――皆、次々に謝罪の言葉を口にする。


けれど――


村人たちは、一歩も近づかなかった。


ある村人が、小さな声でつぶやいた。


「……怖いんだよ。昨日まで敵だった魔女たちが、急に変わったって……信じろってのかよ」


その言葉に、空気が凍りついた。


「本当に、変わったのかもしれない……でも、やっぱり……まだ受け入れられないよ……」


リーネが俯き、ミリィは小さく震えていた。


それを見ていた健司は、前に出て、村人たちに向かって言った。


「……ありがとう。少しの間でも、僕たちを受け入れてくれて」


「……健司?」


ルナが不安げに見上げる。


健司は頷いた。


「もう……ここを出ようと思う」


ミイナが

「えっ……」


と声を漏らす。


「……僕たちは、魔女と共に歩くって決めた。その中には、かつて敵だった人もいる。でも――僕は、彼女たちが変わろうとしているのを知ってる」


健司の瞳は、まっすぐに村人たちを見ていた。


「……ここで争うつもりはありません。だから、僕たちは新しい場所を探しに行きます。魔女たちが、そして村人たちが、共に生きていける場所を」


リセルがゆっくりと健司に近づき、声をかけた。


「健司……それ、本気で言ってるの?」


「本気だよ」


リセルは少し目を伏せたあと、微笑んだ。


「……いいよ。私、ついていく」


それを見て、他の幹部たちも互いに視線を交わし始めた。


カテリーナが、健司のそばに歩み寄る。


「……本当に、いいの? 私たちを、連れていくつもりなの?」


健司は頷いた。


「過去を抱えていても、未来は選べると思うから」


カテリーナの瞳に、微かに涙が浮かんだ。


「……ありがとう」


健司はふっと笑って、みんなに向き直った。


「行こう。新しい場所へ。僕たちの、“居場所”を作ろう」


旅の準備はすぐに始まった。


健司たちは、村に最後の挨拶を済ませた。村人たちは複雑な表情を浮かべながらも、最終的には静かに見送ってくれた。


子どもたちは、ルナやミイナに


「元気でね」


と手を振り、年配の村人はクロエに


「また来てもいいんだよ」


と囁いた。


それだけでも、十分だった。


出発の朝。


村を出る一本道に、総勢十数人の魔女と健司が並んでいた。


ルナとミイナはリュックを背負い、リセルとローザは魔法道具を運び、ソレイユは空を見上げながら太陽の加減を見ていた。


エルネアとセレナは、魔法で方位と安全な道を確認している。


リーネは、移動中に必要な薬草と回復薬の確認に余念がない。


ミリィとヴェリシアは、カテリーナと共に、行き先を話し合っていた。


カテリーナは、出発前にもう一度、健司のそばに来て言った。


「……私、まだ自分が変われるか、不安なの。だけど、もしその未来があるなら、あなたと一緒に見てみたい」


「じゃあ、見に行こう。僕も……その未来を信じたいから」


2人は頷き合った。


そして、健司が手を高く掲げて、空に向かって言った。


「さあ――行こう。僕たちの新しい旅へ!」


道はまだ遠い。

だが、彼らの足取りは軽やかだった。


悲しみも、怒りも、裏切りもあった。

けれど、それを越えて、未来を信じる者たちの旅が――いま、再び始まろうとしていた。


そして、彼らが目指す場所こそ、

本当の意味で魔女と人が共に生きられる世界の、最初の一歩だった。

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