第21話
いよいよ武闘大会が始まる
酒場の個室で何時もの様に食事していて
「リーナ ちょっと聞きたい事が有るけど いいか」
「カズトー なんか問題でも有ったの」
「前は問題無かったのに この頃お前達と練習試合すると 上着の袖とか
脇の下の所が 良く破れる様になって 結構困っているんだ」
「う~ん 多分 わたしと 打ち合っているからだと思うよー」
「カズトの剣神 他の剣紳持ちより 技の力は同等以上 速さは
圧倒的だと思う わたしと同じ様に 腕や肩の動きに
服が耐えられないからだよー」
「リーナの様な装いの俺 想像したら恥ずかしくなってきた」
「カズトー 魔物退治していて ビリっと破れた方が 恥ずかしいよー
アライアンスだと 目も当てられないからねー」
そしてリーナがもじもじしながら
「ちょっと聞いてくれるー アリスも強化移動を習得したでしょ
アリスとアルフの衣装 わたしのと似ているのよね」
「それで 良かったら色違いで ユニフォームを作りませんか・・・」
「良いですわね 少し背が伸びたので 新しくする必要が有りましたしね」
「どんな 感じの ユニフォームに するの?」
「基本わたしの様に 白を基調に縁取りで色のアクセントが
有る感じかな」
「どうして白なのですか」
「怪我した時 出血したら直ぐに解るから・・・」
「俺には関係ない 話だなぁー」
「何 他人事の様な顔しているの カズトにも関係有るんだからね」
「色で スキルを表わしたいなー カズトは同じ剣だから 薄い青
アリスは魔法だから 紅 アルフは弓だとエルフの様な感じがするから
薄い緑 とか」
「コートはライラックの花の色 紫にはどうかと思うけれど」
「勿論嫌だったら言ってくれる 無理強いはしないから」
暫く沈黙の後
「リーナ 言い 過ぎ わたしが エルフの 感じ とは」
「わたくしは賛成しますわ」
「俺は イメージが良く解らない」
「後 言い出した理由に 今度武闘大会が有るから
衣装を新規に 作りたかったのもあるし・・・
冒険者は 舐められたらお終いかなと 思って 見栄を張ったの」
「良いわね 王都で有名な仕立て屋(虹の衣)に行きますわよ」
結局カズトのユニフォームも、リーナに同じタイプに決められてしまい
4人はオーダーメイドで依頼し、出来上がりを楽しみにして過ごしていた
武闘大会当日、団体戦から始まり、翌日は個人戦を行う予定で
最後に表彰式が有ると、侍従長から説明を受けた
王立近衛師団 王立騎士団 S~Bランクの冒険者の3つのグルーブから
同程度のランクと人数で、対戦相手を決めて、試合が始まった
「リーナ 冒険者がAとBランクだと 近衛師団と騎士団に相手にされないわね」
「どっちの軍も基本に忠実で 前衛後衛に分かれていて 最初に冒険者の後衛を
叩いてから 前衛が突っ込んで行くみたい」
「セオリー 通り なら アリスと わたし 回避 出来る ウフフ」
「軍隊は何処も似ているな Sランクどうしの戦い方は どうなのかな」
やがてSランクどうしの戦いになり、ライラックも用意して待っていた
「何だか微妙な戦いよね」
当然ライラックは、冒険者達との対戦を、圧倒的な差をつけて勝ち
次からの対戦から、王立騎士団・王立近衛師団になった
「俺達同士の模擬戦の方が レベルは高い様に見えるな」
「やっぱり軍の戦術って ああゆうのかしら 王立職業鍛錬所時代を
思い出しましたわ」
「俺も何だか 強く感じないのだが・・・」
「みんなー 鑑定してみよう」
鑑定した結果
「何だアレは 1人剣神が居たけれど熟練度が30だって どうなんだ
リーナ」
「鍛錬所時代での熟練度は20位が精いっぱいだよ これは卒業後
ロクに訓練していないねー」
「70位に なって 居ないと スキル 使い こなせない」
「わたくし達 油断しなければ勝てる相手ですわね 逆にリーナとカズトの
攻撃が強くて 相手の手足切断してしまう方が心配ですわ」
「俺 みねうちで 戦う自信が無いよ」
「わたしも 突きがかなり多いから 殺してしまう・・・」
「仕方ないから 刃を落とした剣で 戦うしかないわよね~」
「殺して しまうと 冒険者 活動に 差し障りが 出る」
エルヴィス・ドランスフィールドに話しをして、練習用の刃を落とした剣を
用意して貰った
王立騎士団・王立近衛師団の順番でライラックは戦う事になり
エルヴィスが侍従長に確認したところ
「人数の件だが 普通1パーティ 5名が標準なのだ 騎士団 近衛師団は
冒険者に合わすつもりは無いと言っていてな 4対5になるのだが良いか?」
「リーナ 良いですわよね 自分達に自信が無いのかしら」
「良いよそれで 何だか共和国の事思い出した 何処にも居るのだな」
「わたくしの思い過ごしかしら 何だか仕組まれた 組み合わせに
思えるのだけれど」
「アリス 冒険者を 公開で いたぶる つもり ギルマスも 冒険者を
王立騎士団 王立近衛師団は 見下して いるって 言ってたし」
「みんなー 騎士団と近衛師団を連続撃破したら どうなると思う」
「面子丸潰れ 俺が上司なら負けた士官は 降格処分だな
ライラックが負けたら 冒険者は弱いよなぁ~ 何て言われて
コケにされるだろうな」
「侮られているのね なら殺さない様に全力で 遊んであげよう
みんな 良いよねー」
皆 力強く頷いた
Sランク相当、団体戦第4試合に、ライラックと王立騎士団の試合となり
相手はセオリー通りの布陣を敷いて来た
「みんなー 鑑定して確認してねー」
剣紳・剣術が2名・魔法使いと弓術が1名ずつで、全ての騎士の熟練度は
20しかなかった
「縦2列で行くよー」
試合開始の合図が鳴り
セオリー通りに、魔法使いと弓士を狙い仕掛けようとしたが、ライラックは
一気に間合いを詰めて、陣形を崩してから、各々が翻弄して倒しはじめた
リーナは前衛の剣士2人、アルフとアリスは同職の騎士を、カズトは隊長の剣を
折り、廻し蹴りで吹っ飛ばしてしまった
始まって5分もかからずに終了、王族と貴族そして招待客は
声を出す事を忘れていて、闘技場は異様に静かだった
審判がライラックの勝利を告げたが、まだ声を上げる者はいなかった
怪我人が多くて、大魔法使いの魔力が切れ審判団が慌てているのを見て
「わたし達 ライラックが怪我の手当します」
4人で、怪我を直してから、騎士は衛生兵に付き添われて、控室に行った
観客はやっと今の試合について、話しを始めた
「4人ともヒールしていたぞ 大魔法使いのスキル持ちか」
「おかしいぞ 最初に前衛の2人はどう見たって 剣で戦っていたよな」
「あの弓士 前衛と共に接近戦で戦っていたし 普通 後衛職だろう」
「魔法使いだってそうよ あんなに早くは動けるはず 無いはずよ」
貴族席からも
「あの魔法使い 確か名前は アリス ホーネット ホーネット伯爵家の
ご令嬢だぞ」
「ホーネット伯爵家と言えば 王国の大貴族 何故冒険者しているのかな」
「アリスお嬢さまの戦い方 王立騎士団を圧倒していた 見た目は普通の
令嬢なのに」
貴族達も、かなりざわついて来ていた
控室で
「みんなー 次は王立近衛師団だけど どう戦おうか 意見無いかな」
「わたくし思うのだけれど さっきの戦い方だと 面白くないと思わない
例えば素手で倒すのは 観客驚くだろうし 部分強化の訓練になるし ね」
「アリスの案 面白いな俺は賛成だぜ それと相手は挑発だと思って
怒るだろうなぁ~」
「弓士や 魔法使いが 素手で倒すと 観客 腰抜かしたりして」
「アリスとアルフは強化移動出来るから 簡単に回避出来るし カズトと
わたしは スキルで回避出るから 問題無いかー」
「次の試合は素手で対戦しますねー」
「作戦だけれど 逆縦2列で行こうと思う アリスとアルフが 相手の直前で
左右に分かれて 奥の敵を叩く カズトとわたしがそのまま突っ込んで
前のを叩く 目前の相手が急に視界から外れれば 前衛は面食らい
隙が出来ると思うから どうかなー」
「相手の陣形は崩れるわね 乱戦になれば好きにボコれますわ ウフフ」
「後衛職の 素の強さ 示せます ムフフ」
闘技場で相手を全員で鑑定したら
「何 全員 剣士だね 前の 試合 見て 構成 変えたね」
「前2人 後3人 て完全にセオリー無視 わたし達が怖いのかしら」
「後ろの真ん中の奴 一応剣神だけれど熟練度40 カズト宜しくー」
「解った 特別強力な廻し蹴り入れてやるよ アハハ」
「さっき言った作戦で行こうねー」
《オー》
試合開始、前衛の2人が直前に横移動し後ろの2人に殴りかかり、前衛の2人は
急に居なくなって戸惑っていたので、予定通りカズトと共に殴って気絶させ
アルフは何発か入れてから、背負い投げで肩を外して行動不能にし、
アリスは足払いで1回転して転倒さして鳩尾に入れて、更に右手を使用不能にして
動けなくした
真ん中に居たリーダーは 状況判断に手間どったのが致命的になり、カズトが
襲い掛かり攻撃を始めた
リーナは前衛の2人の足を折り、行動不能にしてからカズトを見ると
リーダーらしく、それなりの盾と鎧を装備していたが、カズトの対人戦闘技術は
遥かに凌駕していて、切りつけても腕が切れない、カズトの突きは
盾の持つ手までダメージが入る始末、何回か攻防をしていたが
遂に盾を落としてしまう
わたしの横にアリスとアルフが来て
「そっちはもう終わったの」
《終わった》
リーナ達が、転がっている騎士には、目もくれず雑談している光景は
見ている観客からして見れば、異様な光景に見えていた
「全然 剣神のスキル使いこなしていないよねー」
「傍で見ていると良く解りますわ」
「同じ スキル でも 此処まで 差が 有るとは 努力は 大事」
大きな声で
「カズトー そろそろ止めを刺してー」
カズトはリーダーの剣を叩き折ってから、渾身の廻し蹴りを入れると
30メートル位転がって行き気絶して倒れた
審判がライラックの勝利を宣言して、団体戦は全て終わる
「わたしたちが ヒールします みんなー 助けてあげてねー」
直ぐに回復は終わり、敗者は控室に去って
審判団長から
第1試合から第3試合の勝利者が、第4試合の勝者との対戦を辞退したから
Sランクの勝利者はライラックとなる、と告げられた
審判団より団体戦Sランクの表彰式に出席する様に言われて
今日の武闘大会は終わった
酒場の個室で
「みんなー 個人戦出るの辞めようと思うけれど どうかなー」
「実力はまぁ 解りましたから 敢えてする必要は有りませんわね」
「俺 剣神と戦っていて 猫が鼠をいたぶっている感じ ずぅーとしていて
余り気分良く無かった」
「リーナの 目的は 達成 したと 思います 辞退 しても 良い かも」
「ウフフ 新しいユニフォームのお披露目と 見栄も張れたわよねー」
「アリスー それ言わないで 恥ずかしいから・・・エルヴィスに個人戦
辞退の話するので 悪いけどアリス一緒に来て」
「いいわよ」
エルヴィスに辞退の話をし了承して貰ったので、酒場の個室でみんなと
お疲れ様の宴をしながら
「リーナ 俺 思ったのだけれど あの剣神 熟練度が低かったよな
逆に考えると 俺達も訓練さぼると 下がる事って有るのか」
暫く考え込んでから
「知っているスキルの知識では 上がる事はあっても下がるってのは
無いけれど・・・ 日頃から努力はしといた方が 良いかもしれないねー」
「わたくしとアルフは 努力した結果 新しい攻撃方法を習得したけど
常にスキルは使った鍛錬は した方が良いかも知れませんわね」
「スキルと 努力は 関係 有るのかも わたしは 冒険者 として
暮らして 行きます」
「色々有るけれど 冒険者生活は 俺に合っているんだよな この道を進んで
行くのがやはり良いかな」
「わたくしも リーナ達と一緒にいると楽しいですし 落ち着いたら町や村を
訪問しまして 民を助けて回りたいですわ」
リーナは少し涙ぐみながら
「みんな ありがとうね」
リーナの家に帰り翌日は休養日にした
ギルド本部より表彰式の日程を知らされ、当日になり会場に向かう
場所は王宮の謁見の間で、左右に王立近衛師団、王立騎士団が整列し
有力な伯爵、侯爵、男爵がずらりと並んでいる
「アリスー 共和国の謁見を思い出したよぉー」
《アハハ》
優勝者の勲章を授与され控室に案内された、お菓子を摘まんでいたら
ホーネット夫妻が入って来た
小声で
「カズトー わたし悪い予感がするのだけれど」
「あぁ 俺もだ」
「アリス 良く頑張ったな これで我が伯爵家も安泰だな」
アリスの雰囲気が変化し始め、アルフが小声で
「アリス 爆発しそう」
「リーナ暴れそうになったら 俺と一緒に止めるぞ いいな」
「王宮はまずいわね でも切れると3人がかりで止められるかなー・・・」
「俺は 暫らくは出国したくないからな」
アリスは不快感を抑えながら
「父上 何かお話があるのでしょうか」
「アリスよ 王様や貴族の前で Sランク冒険者の実力を知らしめて 大成したな
当然 王立近衛師団か王立騎士団の 何方の士官候補生になるのかな?」
「いいえ わたくしは冒険者として 民の為に働く予定ですので 士官候補生の
試験を受けるつもりは 有りませんわ」
「何を言っているのだ 大体冒険者は経験を積むと 殆どが士官候補生を希望して
試験を受けに行くと言うのに」
「お前はホーネット家の娘だぞ 王国の為に働く事は 伯爵家としては当たり前だ
何時までも我儘を言っていないで 士官候補生の試験受けに行きなさい」
アリスは大きなため息をついてから
「お父様幼少の時 礼儀作法 社交ダンス 等 必要な知識経験を
教えていただき ありがとうございます」
立ち上がってその場でぐるっと回り
「見ての通り アリス ホーネットは伯爵家の令嬢から しがない冒険者の娘に
なっています お父様 お母様 死んだと思って下さい」
「わたくしは 今後も冒険者をしながら民を助ける事で 王国の為に働きますから
ホーネット伯爵家の名誉は 保たれると思います」
「貴方はそれで良いのですか アリスなら王立近衛師団の士官候補生の試験を
受ければ 確実に受かりますし 師団長に成れる程の実力を証明していますのよ」
「お母様 2年前にお話しした様に わたくしはこの冒険者として
生活している事が 楽しいのです リーナを始めとする掛け替えの無い
仲間に恵まれて とても嬉しいです」
「ですから わたくしの我儘を認めてください」
アリスは深々と頭を下げ、暫くの沈黙の後に
「アリスもホーネットの娘なのだな 我が家はな 皆自分の意思を曲げる事の
嫌いな 頑固者の一族なのだ」
「良かろう 好きに生きて別の形で 王国に寄与しなさい 困った事が有ったら
我が伯爵家に相談しに帰ってきなさい アリスの家だからな」
「ありがとうございます お父様 お母さま」
アリスは涙ぐんでいた
「君たちが アリスの冒険者仲間なのか?」
ホーネット伯爵に、各々が挨拶し
「娘を宜しく頼む」
頭を下げてから、退室して行き
リーナ・カズト・アルフは穏便に話が終わってほっとしていた
次に入って来たのは、ルトストレーム家の父母で
「アルフヒルド 武闘大会で見て居たぞ 近衛師団を圧倒していたな
当然だが 士官候補生の試験受けるのだろう?」
「いいえ 試験 受けない わたしは 冒険者として 生きて 行きます」
「娘よ 2年前と変わらないのか・・・」
「アルフ 母は心配なのですよ 冒険者は 何時命を落とすか分からない
仕事でしょう だから 士官候補生になり 王国に仕えて貰えれば
と思っていたの だから母は願っていますわ 士官になる事を」
「ごめんなさい 母さん 気が 弱く 人見知りが 酷く
王立職業鍛錬所の 時 わたしは 直ぐに 誰にも 相手に されなく
なりました」
「その時 急に 実力を 付けて 来た リーナと アリスが 居て」
「わたしは 強く 成りたい その 一心で 最後の 賭けに 出て
友達に 成れなかったら 退所 する 覚悟 していました」
「こんな 小賢しい わたしを 本当に 一生懸命 教えて くれて
Sランク 冒険者に なるまで 指導して 貰い ました」
「そして 仕事の 最中 賊に 襲われた 時 リーナが 身を 挺して
わたしの 命を 救って くれた」
「その恩を 返して 行く事を 目的に しています」
「そして リーナは 冒険者の 矜持は 民を 助ける事を
信念と すると 言われ 志に 感動し 寄り 添って 行こうと
思って います」
「アルフも 生きる道を探し当てたのだな 母さん行かせてあげようか」
「17歳 立派な大人になりましたのね 仕方ないですわ 行ってらっしゃい」
「父さん 母さん リーナ アリス カズト達と 頑張って 来ます」
ルトストレーム家の人々は退室して行き、入れ替わりに
フローリア家とアースウッド家の面々が入室してきた。
両家とも冒険者になる話は 前にしていたのでライラックとは挨拶で終る
王都に呼んだのは、エルヴィス ドランスフィールドらしい
執事より、今日の予定は全て終わったとの事なので、ライラックと両家の
人々を、酒場の個室にリーナが招待し
其々の近況報告してから、優勝した宴となり全員酒場の宿に泊まって
武闘大会は終了した




