第18話
共和国と魔国がついに衝突した
王国歴154年
3日後、共和国の状況を知りたくて、ギルド本部のデニス バウムガルト
に面会を申し込んで、ロビーで座って待って居ると 冒険者の雑談が聞こえて来た
「ハイランク冒険者と騎士団が 穀倉地帯の魔国に近い村に 駐屯し始めて
居るらしい」
「この頃魔族の襲撃が無いって聞いたな 嵐の前の静けさか」
他の冒険者もこの話で持ち切りの様
「ねぇアリスが 神聖国で話した事本当になったら 大変だよね」
「戦いの場は・・・村になるかしら」
「この国の村も 王国と大体同じ感じだよな 農民は兵士が来たら・・・」
「わたし達 王国の冒険者 許可書が 有るからって 勝手に 動くのは
不味いよね」
「義賊と冒険者の違いは 正式な依頼が有るかどうか わたしは
冒険者の矜持を曲げる事は 出来ないよ」
「俺は リーナのその矜持に引かれているんだ」
「わたくしは 困った人助けですわね~」
「わたしも です リーナと 一緒に 旅する事は 勉強になります」
暫くして執務室に通され
「ライラックの報告で 警戒態勢を進言した 魔国の動向は上層部でも
かなり問題になっていたから 通ったよ」
「ありがとう」
レーナは笑いながら
「冒険者は 依頼された仕事をキッチリこなすのが 仕事ですから」
突然ドアがノックされ、慌てて事務員が入ってきた
「大変です デニス 魔国が穀倉地帯の村に攻め入って来ました
冒険者と騎士団は全滅 村人が多数殺害された様です」
突然の悲報に、リーナは静かに涙を流し始めた
それを見たデニスは
「なぜリーナが泣くのだ?」
カズトも悔しそうな顔で
「俺とリーナは 貧しくても平和な村の 農民出身 だからだよ
リーナには 畑を踏み荒らされて 無残に殺されていく農民の
姿が見えたのだよ」
「事務員さん 魔族の使っていた武器の種類は 解りますか?」
「剣 斧 弓 鞭 後魔法攻撃 ですわ」
「ギルドマスター わたし達が持ち込んだ 鞭の対処方法を
考えて貰っていたのでしょうか?」
「確か騎士団でやっていたはずだが 結果は聞いていなかったな」
「直ぐにどう対処方法をしたのか 確認して戴けますか 至急に
もし無視して何もしていなかったなら 確実に殺されますよ
リーナでさえ 倒されたのですから」
「おい 直ぐに鞭の対応の結果を 聞いて来てくれ 急ぎだ」
事務員は直ぐに退室して行き、小一時間程で戻って来た。
「デニス 騎士団長に直接聞きましたら 何もしていないと
言われました それと騎士団長はライラックとアライアンスした
人とは別人です 交代されています」
「馬鹿が 折角ライラックが命がけで持って来てくれたのに
はぁ~ どうするのだ この事態を上の連中は・・・」
「デニス・バウムガルトさん 私は冒険者です この事態を
収拾する手立ても有ります また アリス アルフ カズトも
わたしの考え方に賛同して貰っています」
「魔族が荷馬車を襲った程度なら ギルドの討伐依頼で良いと思いますが
魔国と共和国との争いになって居ますので 国選依頼を出して貰わないと
冒険者ですので動けません」
また思い出したのだろう リーナは涙を流していた
「話は解った 侍従長経由で国王様に話を通してみよう 暫くはこの近辺に
居て貰えるかな」
アリスが
「解りましたわ 吉報をお待ちしております」
ライラックは退室し、酒場の個室に入り
「俺から説明するが リーナがあれ程泣くのは 冒険者は他国に
簡単に行けるが 農民は畑が有るので逃げられない 踏みにじられ
そして無残に・・・」
「それと仮に逃げられたとしても 流民になり国内を放浪するしかない
大抵は奴隷商に捕まり 奴隷制度の有る 帝国か魔国に売り飛ばされる
鎖に繋がれる生活しかなく 未来はない これが現実だ」
重苦しい雰囲気の中 リーナが
「ごめんね わたしの事で」
「いいえ リーナは 凄く 優しいから 他人事と 感じられ
なかったのよね 優しいリーナを わたしは好きです」
「あ~ん リーナは本当に可愛くて優しい ギュッとして食べて
しまいたいわ」
「何時もは ボケと突っ込み のノリで 言うけれど 今のアリスの
気持ち わたしと同じ」
「俺だって ギュッとしたいの 我慢しているんだぞ」
変な笑いが起きて
「みんな ありがとう」
頬をパンパン手で叩いて気合を入れ
「今後のどうするか 決めようと思うけれど いいかな?」
みな頷いていた
「わたしとしては 農民の手助けをしたい でも 国選依頼を出して
貰わないと 此のまま王国に戻る事も考えるけれど 意見聞かして」
「王国の許可書はまだ有効だとしても わたくしも依頼が無いと
気持ちの整理は やはりつかないですわね」
「わたしは リーナに 命を預けます」
「俺は 矜持を絶対に曲げてはならないと 何となく思う
直感がそう教えている様に感じている」
「普通冒険者は こんな事考えないのだろうにな」
「リーナは 意思の強さと気高い誇りを感じますわ 仲間思いは
1番強いですし・・・」
「其れならば ギルマスに 1週間 此処に滞在している間に
国選依頼を 出して 貰わなければ 帰国すると言う 提案はどうですか」
「国難なのに 国選依頼を直ぐに出せないのでは 体裁だけ取り繕っている
貴族の言いなりって事だから この国の未来は暗い と 俺は思うが」
「アルフの意見で行こう また悪いけれどギルドに行くので アリス付き合って」
「アルフとカズトは 何時もの情報収集お願いね」
2日後に国選依頼が発行されて、ギルマスとの打ち合わせで、ライラックは
独立した遊撃隊として動き、各町のギルドに魔族軍の位置とポーションや
消耗品の手配をしてもらう事になる
翌日ギルドの執務室に行き、国選依頼を今日からする旨 話をし
「フォーメーションは何時もの 前衛2で行くよぉー」
《オォ~》
まず襲われている村を統括している町に行き、ギルド支部で敵の位置を
記した地図とポーションを受け取り、それと解放した地域の後始末も
依頼した
「この地図だと4つ有るね 一筆書き出来るか試して見る?」
「どうしますの 敵の武器や装備品は」
「持ってはいけないから 燃してしまおうか」
「それが一番簡単かな 集めて壊そう」
《了解》
最初の敵地に着き様子を窺うと、魔族は野営の準備をしていて
みんなで魔兵の鑑定して、特別注意するのが居ないので
「この陣形だと 何時もの攻撃で良さそうね じゃあいくよぉ~」
敵陣に殴り込みかけた状態で、魔法連発接近戦では歯が立たない
鞭攻撃しても効いていない、魔族軍は混乱の極致に陥り壊滅した
「国選依頼をしている時は 毎回損耗チェックするよ 矢とポーションと
特に念入りに 武器は刃こぼれね」
「わたくしのポーションはまだ有ります」
「弓の 在庫も まだ 大丈夫」
「俺の バスタードソードも刃こぼれなし」
「わたしも レイピア 問題ないよ では 武器装備を集めてくれる?
燃やすから」
みんなでファイヤーボールこんがり焼いてから、ウォーターボールで消化し
次に向かう
残り3つの敵陣を破壊解放してから、町のギルド支部に戻り報告した
敵の拠点が半分程になった時、食事しながら反省会をしていたが
「わたしは 此のまま魔族の拠点攻略して行くのが 怖い」
「どうして怖いのですか」
「アルフ わたしが拉致された時 確かにライラックが居たぞ と聞こえて
いた 最初からこの中の誰かが狙われていた・・・」
「わたしも 魔族が そう 言っていたのは 聞いた」
「わたし達は 泳がされている感じがするの いまは精々200体位の
部隊ばかりですが わたしを殺すなら簡単に出来るから」
「どうゆう意味だ 俺には分からないが」
「10倍の2000体の部隊だったらどう? 魔法攻撃だけでわたし達は
死ぬね 魔物の討伐だとそんなに多いのは無いよね」
「国と国との戦いなら 可能だよね だから今までは ライラックの
戦い方と役割分担を見られていたのだと思う」
「だから わたしか 仲間かこのままでは死ぬ直感が強くするので 怖い」
「あぁ~ 解りましたわ スキルの感覚強化値も++で最大 だから
リーナの直感が働いたのね」
「無視 するには 危険です リーナの 話は 最もだと思う」
「俺は 臆病だと思われても調べてみよう 何も無ければそれで良い」
「全員生きて戻る事が大事ですわ 今後臆病な位 慎重に行動しましょう
ギルド支部に行き 魔国の本隊を索敵したい旨 伝えますわ
リーナ 一緒に行きますわよ」
何時もとは違い、アリスに引っ張られてギルド支部に行き
ギルドマスターに説明し終わった後、酒場の個室で地図を見ながら
「何処に敵本隊が居るか みんなの意見聞きたい」
「普通に考えれば 本隊は共和国にまだ侵入していないと思うぜ そうすると
この山間に隠れて様子見ているかも」
「今まで 敵部隊を 殲滅した所 地図にマークすると 穀倉地帯の
北側しか 考えられない まだ 魔国の陣地 少し共和国に 有るしね」
「索敵するには 山岳地帯にかかる前に街道から離れないと 見つかって
しまいますわね」
「それでは山岳地帯の調査にしよう 山ごもりになるから糧食を
多めにもって行こうね 明日出発で良いかな?」
みんな頷いた
最初はカズトが示した山岳地帯に行く事にして、途中から街道をそれて
獣道を進み、3日くらい進んだ山の中に敵本隊は隠れて居た
じっくり観察してたら
「アリス 前衛の兵士何だか変じゃ無い」
「う~ん 確かに 兵士では無いですわね 恐らく攫われた農民に
武器持たせて前衛に立たせているみたいね」
「もし 何時もの様に 奇襲掛けたら リーナとカズト 農民を 盾に
取られて 降伏 させられたかも」
「リーナは優しいから有りうるな 俺も農民には攻撃出来ないから
リーナと一緒に捕まってしまうだろう・・・」
「これでは リーナの直感通りになってしまいますわ」
「魔族の兵隊 大体2000体位居るみたいね 前衛の農民と
兵士を分断させるには わたし達と国軍と冒険者の混成 2面作戦しないと
無理か」
「一度ギルド支部に戻ります」
ギルド支部の執務室にて、魔国軍の中に共和国の攫われた農民が
500人位いる事と、敵軍の総数は2000体位、前衛の位置に居たのは
農民らしいので、農民を盾にして攻撃してくる可能性が有る事、対処する
共和国軍には、弓師 魔法使い等遠距離攻撃をメインに組んで下さい
近接戦だと絶対に勝てません、魔国の鞭は相手の行動力を無くす効果が
有る秘密兵器です
至急ギルド本部に伝えて下さい、共和国軍が来るまでは残っている魔族の
拠点を潰しています
報告してから退室し、残っていた敵の拠点を3日で解放した
ギルドに皆で行くと、執務室に行くように言われ入ると、ギルドマスターから
ジム アーロンを紹介されたが・・・
「国立騎士団長は 別の方だと 聞いていましたが?」
「ライラックは 騎士団長殿と知り合いなのか?」
「ライラックはな 国立騎士団と冒険者と組んで 皇女様の救出した
功労者だぞ」
「わたし達は 皆さんの手伝いを しただけですよー」
「相変わらず 謙虚だなぁ~」
騎士団長は笑っていた
「さて私が来たのは、前任の馬鹿がライラックがもたらした情報を
放置した結果 騎士団と冒険者を多数失った 更迭されたよ」
「俺はライラックの要請で 弓師 魔法使いをメインにした部隊を
引き連れて来たぞ 敵陣をどう落とすのだ?」
アリスに視線を向け説明を促し
「敵は前衛に農民を配置し盾に使ってきます 騎士団長殿の部隊は基本
敵を誘い出すおとりに徹して下さい 魔族の鞭に抵抗出来ないから」
「魔族が挑発に乗って攻撃して来る時 前衛が最初に動くと思いますわ
前衛と中衛の間が空いたら わたしたち4人がその間に飛び込みまして
分断しますから 農民の中にいる魔族を遠距離攻撃で倒して下さい」
「もし敵がすり抜けて来たら 3人1組で戦って倒して下さい 絶対
1対1では鞭にやられますから」
「魔族兵士を排除したら 農民を避難させて守って下さい」
「それでライラックはどうするのだ?」
「前衛と中衛の間にアースウォール作り 分断してから 中衛に飛び込みます」
「わたし達は 円陣を組んで 弓矢 魔法 接近したら剣 体術 等を
駆使して攻撃します」
「農民の保護が終わりアースウォールが消えましたら 遠距離攻撃して下さい」
「ライラックは狙わないで下さいね」
「敵を殲滅するまで 戦い続けます」
「わたし達しか 鞭の効果を無効に出来るので これしか作戦が無いのです」
「アリス アルフ カズトは わたしの矜持を理解し協力してくれます だから
絶対にわたしは この作戦を成功して 終わらせたい」
「勿論 誰1人も欠ける事の 無い様にね」
国立騎士団と冒険者達は、魔国軍の潜んでいる地域に向かった。




