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Episode16-6

 その後はみんなで二種のパスタを食べ比べて、こっちが美味しい。こっちも好きだ。私はこれが好き。と、みんなでワイワイしながら食事を進める。食卓にみんなの笑い声が響き渡り、幸せそうな笑顔の花が咲く。わかってるよ、エルダ? きっと、パスタを食べてみんなが笑顔になれる日が来たのが嬉しいんだよね。そんな今日が幸せなんだよね。だって、私もそんな幸せな日の仲間に加えてもらえて、とっても幸せだもの。エルダも、エルダの家族も大好きだから。


 「それじゃあ、とっておきのデザートだよ。」


 私は魔法鞄から人数分のプリンを取り出す。パスタが好評だったから、この幸せな時間がもっと続けばいいと思ったから。ちょうど昨日、試作品として作っておいて良かったよ。


 「「エルダお姉ちゃん、これは何?」」

 「…エルダもわかんない。初めて見たよ。」


 双子ちゃんの質問に、プリンを初めて見るエルダも不思議そうに首を傾げている。


 「ふふっ。これはね、プリンって言うの。とーっても甘くって、幸せの味がするんだよ? エルダがね、いつも私と仲良くしてくれるお礼だよ。そして、ソルちゃんやルナちゃん達が私と仲良くなってくれたお礼かな。」

 「…タツキっ! やっぱりエルダはタツキが大好き!!」

 「ルナもタツキお姉ちゃん大好き!」

 「…ソルだってタツキお姉ちゃん大好きだもんっ!」


 三姉妹が仲良く私をぎゅーっとしてくれる。それが嬉しくて、私もぎゅーっと抱きしめ返す。


 「うふふっ。娘が一人増えたみたいで嬉しいわね、ミラン?」

 「ああ、そうだね、インテ。」


 そんな私達をお母さんズも優しく見守ってくれている。


 「ねぇー、タツキ。はやくプリンがたべたいよ、です!」

 「そうだね、トンコ。じゃあ、皆んなで食べようか。」


 トンコに急かされて、みんなにスプーンを配る。初めての食べ物でも、エルダ家の皆さんは一切の躊躇を見せずに口に入れる。


 「…甘い。」


 一番最初にプリンを食べたソルちゃんは、そう呟くように言うと口を両手で押さえて固まってしまう。


 「どうしたの、ソルちゃん? あまり美味しくなかったかな。」


 私は、その様子が心配になり思わず問いかける。ソルちゃんは、首を横にブンブンと振るとコクリと喉を鳴らしプリンを飲み込んでから話し出す。


 「…とっても美味しかったの。甘くて、美味しくて、口を押さえてないと美味しいのが逃げちゃいそうで。」

 「ソル、本当に美味しいね! パスタもとっても美味しかったのに、このプリンってお菓子も本当に美味しい! エルダお姉ちゃんの言う通り、タツキお姉ちゃんは魔法使いさんなのかもっ!?」

 「でしょっ、でしょっ! プリンは初めて食べたけど、こんなに美味しいものを食べられるなんて幸せすぎるよー!!」

 「皆んな、喜んでくれてありがと。私にとっては、それが一番のご褒美なんだ。」


 予想通り、プリンはこの世界の子供達にも大人気のようだ。大人達の反応はどうだろう。


 「…甘味と卵の濃厚な味わいがとても美味しいね。それにこの、とろっとした舌触りも面白い。」

 「ええ。それに甘いだけじゃなくて、このほろ苦い黒いソースと一緒に食べると、味が変わってもっと美味しくなるわ。」


 子供達ほど大騒ぎはしないが、そのぶん真剣に味わってる感じが伝わってくる。どうやら大人達も気に入ってくれたようだ。

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