第85章
皇后様によるナディアとケセラを探すミッションが遂行されていることも知らない二人は古代神殿の厳かさに圧倒されては感嘆の声を上げるのだったーーー
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ケセラ「ほら、あれは何の壁画なんでしょうかねぇ、お母様。幾何学的な模様が文字の羅列みたいで深い意味がありそうに思えるのですが。」
ナディア「あら、勘がいいのね!そうよ、我がパリピメロン家の古代文字を何らかのカモフラージュのために装飾絵画のようにしているとお祖母様の皇后様から聞かされてたから、ケセラの勘はほぼ的中よね。そうよ、きっとあの「呪い魔法のダイアリー」が我が家に伝承されてきた事の本当の理由についてのヒントが隠されているかも知れないわね。」
ケセラ「あ、あちらにも同じようなへきがが見える。ということは何かしらの儀式的な意味合いもあるかも知れませんね……」
ナディア「確かにお祖母様もそのような観点から調査されたようですが、なにせ幾世代も経過しているので…私も蔵書の信憑性のある書物を片っ端から漁ってはみたけれど、これという回答が得られなかったわ。残念だけど……だけどね、今回の訪問は何故か手がかりが得られるような気がしてね、胸が高鳴っているのよ!偶然ではない何かに押されて此処に辿り着いたような気がしてきたわ!」
ナディアは落ち着きを失った様子でその先にある壁画の前に辿り着くや、文字の羅列に見入ってなんとか解読しようとでもしているようにケセラには伺えたのだった。するとやはりナディア同様、中腰で念入りに壁画と対峙して解読に励んでいるような男がナディアと並んでいた。その男は何となく見覚えのある風体だと思うやいなや、ジユズッピだと気付く。するとジユズッピはナディアに呟く。
ジユズッピ「やはりこちらにお出ででしたか!もっとも私が貴方がたを呼び寄せたと言ってもいい。要するにこの古代文字の解読はパリピメロン家のみならず、我々の血族との血筋がミックスされなければその能力は発揮できないのですからな!」
二人は突然現れたジユズッピに驚きを隠せないばかりか、その不思議な理屈に怪訝な表情を浮かべるーーーー
ナディア「あらお久しぶり。でも貴方何を言いたいの?またまた意味不明な事を仰って我々を欺くのが関の山よね!一体私たちに何を望まれるの?」
ジユズッピ「いやはや、お気を悪くされたのでしたら失礼致しました。確かに意味での私の行動パターンからはそのような解釈に至っても不思議はございませんがね。しかし、我々の血族だけが持っているパワーについては先祖より言い伝えられては来ましたが、実際、私もその能力を引き出すためのスイッチが何かを理解しては居らず、何かの偶発的な拍子で今まではたまたま希望が叶えられた、という本音に至ります。決して皆さんを騙すつもりでは毛頭御座いませんでして、正直その魔力を操るすべを理解していないだけなのでして……ですがね、我が娘でもうすぐこちらに到着するであろう侍女ミッチには遺伝子の突然変異的な現象なのでしようか、古文書をスラスラ読解できてしまうんですから我ながら驚いておりましてね……」
ケセラ「な、なんですって!ミッチは貴方の娘だったんですの?何故今まで黙っていたのよ?」
ジユズッピ「それには深い訳が御座いまして、実際当人である彼女にも知らせてはおりませんから。」
ナディア「それはミッチも驚くことでしょう、きっと貴方のようなペテン師が父だと知ってしまったら皆の前で泣き出してしまうに違いありませんわ!」
ジユズッピ「で、ですからぁ〜、ペテンとかそういう訳ではごじゃりませんで、なんていうか今までは適当な雰囲気で呪術めいたフィーリングを醸し出してみた所存でごじゃりまする……」
ジユズッピは顔を真っ赤にしてまるで心臓が飛び出さんばかりな動揺を押し殺しているのは、しどろもどろな口調が物語っていた。
ナディア「そう、その様子だとよっぽど複雑な訳があるのでしょうけれど、もう過去のことなんだからお忘れになられて。我々には未来しか存在しないのですからね!なるほど、そういうことならこの壁画の装飾文字の解読になんとか漕ぎ着けることができそうね。それは願ったり叶ったりよ、なにせあの「呪い魔法のダイアリー」の起源を探す上では心強い味方の登場なんですから!」
ジュズッピと娘ミッチの登場がパリピメロン家の未来の鍵を握っている事に不安が残る中、ナディアは子供のようにはしゃぐのであったーーーー
///to be continued!!!☆☆☆〜〜〜