第81章
〜〜〜〜〜〜☆☆ー
自分が天使によりかけられた催眠効果のある魔法をかけられたため、マウリシオの事を魔物として幻覚し彼の事を完全に悪者にしていたのだった。魔物はメチル女王率いる家族3人の方で、襲われるすんでのところでヒッポ君はストレンジャーにより救出されたのだったーーーそして再び辿り着いた「呪い魔法の中の世界」に自分が存在していること自体、とても複雑な心境であった。
ヒッポ君「結局僕はこのダイアリーの中の世界で育ってきたから当然の如くこちらを人生の拠点として歩んでいくつもりだが、外の世界からあらゆる形で召喚された者たちはどちらをメインとして生きてゆくのが幸せなのだろうか……それを選択するのも人それぞれだろうけどね。マウリシオは地下世界を選んだのだが僕はこちらの世界を選択した。ただそれだけのことさ!」
ストレンジャー「君の道は当然君が選ぶべきだからね、誰にも左右される必要など無いから。もっとも僕はというと、根無し草のような放浪生活を選んだんだがな、誰に何と言われようともそれが僕の選択なのだから悔いは無いよ。また気が変わって何処かに定住するかもしれないしな!」
ヒッポ君「君の人生って中々カッコ良いよね!憧れるなぁ……だけど大変そうだし、僕には向かないよ。」
ストレンジャー「まぁ君はまだ若いから色んな経験を積んで選択肢を広げてゆけばいいのさ!焦ることは無いと思うな。」
ヒッポ君「そうでもないよ……ホントはね、初恋の彼女と別れてから忘れられないのが本音なのかもしれないな。まだ僕の中にはこちらの世界に未練があるのだろう。」
ストレンジャー「ハハハ、そんな事もあるよな!思い通りに行かないのもまた面白いよ、何が起こるかは誰しも一寸先は闇だから。僕の場合は何にも縛られないから思いっきり冒険をしている、ってとこかな、よく言うとね!」
ヒッポ君「僕だって別に縛られてなんかいやしないさ、ただ彼女の事が……」
ストレンジャー「ほうら、そうゆうのが縛られているのさ!過去に囚われて一歩も踏み出せないでいるように僕には見えるのだが、それが悪いってわけじゃないけど僕は君とは違う考え方なのかもしれないな。好奇心が止まらない……」
ヒッポ君はストレンジャーに笑われたことよりも、彼の考え方の哲学が自分とは違う次元であることに恐れすら感じていた。もしかしたら僕の引き出しが少なすぎて理解できていないことから来る恐怖なのか、或いはこの人は単に変わってる奴なのかと……
ストレンジャー「君は勝手にするがいい、さっきの魔物たちの人生に囚われるような事が無いように祈るばかりだ。僕も勝手に生きるから、心配するなよ!じゃ、あばよ!」
そしてストレンジャーは大きなリュックサックを担ぎ上げると旅路につくのだったーーー
ーーーー☆☆〜〜
メチル女王「あらら、私達一体どうして?」
ベルリーナ「なんでこんな洞窟なんかに?それにしても怖い夢だったわね……久しぶりに出会えたヒッポ君を私達がこともあろうに意志に反して襲っていたみたいなんだけど、わからない……」
アーサー王子「なんだって!お前も俺と同じ夢をみてたって事か?これは何かの間違いだ……」
メチル女王「どうやら私たちは呪い魔法にかけられていたようね。だいたいこんな洞窟を探索する時点で本当なら私からお断りなのに、私たちどうかしちゃったのね。私もベルリーナと同じ夢でヒッポ君の首筋を噛みついて生き血をすすろうとしていたのだから、まるで魔物よね。」
アーサー王子「ヒッポ君は確かマウリシオに追われている様子だったけど、もしかしたらマウリシオも何かしらの呪い魔法にかけられた可能性があるな。となると……こうしては居られない、マウリシオを捕まえて奴から話を聞こう!」
こうしてメチル女王一行は昨夜の騒動におののきながらも、その呪い魔法がどのようにして使われたのかを解き明かす為のキーマンと思しきマウリシオに事情を問いただすために洞窟から地下世界へのルートを辿るのでした……
メチル女王「そろそろ私限界よ……こんな過酷な思いをするならアンタ達に全部任せればよかったわ!」
ベルリーナ「お母様って普段から贅沢三昧な食事をとって、デザートまで食べて、あとは昼寝をしているんだから当然の報いよ!」
アーサー王子「そうさ、運動不足だからこの機会にダイエットしなよ!ランチも野菜サンドだけにして。」
メチル女王「そんなわぁー、こんな事なら来るんじゃなかった!アタシ帰る!」
ベルリーナ「ええ、どうぞご勝手に。だけど一人でこの洞窟にいる別の魔物に食べられちゃっても知りませんからね〜だ。」
メチル女王「何もそれ!ひどいじゃないの、アンタ達も一緒に来なさいよ!」
アーサー王子「お母様、そろそろこちらの地下世界の出口が見え始めましたよ。考え直して地下世界に行きましょうよ、もしかしたら美味しいビュッフェリストランテがあるかもしれないんですから、ねッ!」
メチル女王「何さ、アンタこの女王を安飯で釣ろうってこしゃくなこと考えてんじゃないだろうね。許さないよ!」
ベルリーナ「あら、お母様ったらどうなさって?そんな怖い顔しちゃったらまたまたシワが増えますわよ~オホホッ。」
メチル女王「アンタって一体どんな育ち方したのよ!年寄りをバカにすると痛い目に遭うよっ!アンタたちみたいなヒヨッコとは重ねた年輪が違うんですからねっ。」
そう強がりつつもメチル女王は若い2人の子どもの後をトボトボと地下世界の出口に向かって歩き出すのであった。長い洞窟をランタンを元に暫くゆくと、ようやく出口が現れる。そして出口の先に満天の星空が3人を迎えるのであったー☆ー☆ー☆ー
マウリシオ「ようッ!また会ったな、お疲れさん。」
アーサー王子「おやおや、昨日とは随分態度が違うようだけど、心境の変化なのかい?」
マウリシオ「それがさぁ、俺にも不思議なんだけどなんだってあんなにヒッポ君に襲いかかろうとしてたのか、自分に問いただしても思い出せないんだよ……」
ベルリーナ「アンタなんか悪い果物でも食べたんじゃないの?それで気がおかしくなってヒッポ君に襲いかかろうとしたのでは?」
マウリシオ「それはもしかして……心当たりがあるのは、この洞窟の道案内をした天使にそそのかされて「命の湧き水」を口にしたのだが、それが原因?」
アーサー王子「なるほど。マウリシオもヒッポ君もやはり天使にそそのかされていたのだな。しかし我々もこの洞窟に入った途端に豹変したようだが、まだその原因がわからないんだ……」
メチル女王「もしかしてパリピメロン家の誰かに脳波に訴えかける魔法を施されて遠隔操作された可能性はないかしらね。それはちょっと話が飛躍しすぎましたかしら?」
ベルリーナ「いいえ、飛躍でもなさそうよ。だって皇后様ならばそれくらいの呪い魔法は朝飯前でしょう。それとも透視魔法を操るナディアが呪い魔法を身に着けた可能性だってあり得るわね。」
洞窟から脱出した一同は満天の星空のもとこの不思議な出来事について思案し始めるのであったーーー
///to be continued!!!☆☆☆〜〜〜




