第78章
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ヒッポ君「マウリシオ、この地下のVR世界にいつまでいなきゃいけないんだよ!どんだけ歩いても「呪い魔法のダイアリー」の中の世界にはたどり着くことなどできやしないんじゃないか?」
マウリシオ「あれぇ〜、君はあの世界から逃げ出してきたんじゃなかったのかな?そんなことよりこの世界の方が神秘的で、食べたいものだって君が望めば叶えられるんだから住心地悪くないだろう。折角の理想的な世界から何故君はあの呪われた世界に戻りたくなったのかな?」
草むらで大の字に寝転んで奇妙に移り変わる空を見上げるヒッポ君。マウリシオはそんなヒッポ君を差し置いて呆れたように何処かへ行ってしまったーーー暫く草むらでそうしていると、何処からともなくいつかの天使が舞い降りてきてヒッポ君の鼻先にとまると呟くのでした〜〜〜
天使「まだ見つからないのですか、「ダイアリーの中の世界」に行きたくはないの?ならば私の後をついてきて!」
ヒッポ君はまた天使に騙されるのではないかと始めは疑っていましたが、兎に角この状況を打破するためなら手段を選んでいる場合ではないという焦りも手伝ってひとまず天使の後を追う事にしました。
天使「さ、こっちよこっち。ほら、足下の草むらが何だか変化し始めましたよ、気を付けて!」
ヒッポ君「お前、本当に僕を騙しては居ないんだな?ならその証拠を見せてくれよ!」
天使「わかったわ。ほら、あの向こう側に見える山並みに向うと、途中に洞窟があります。そこはあなたが目指している世界への近道になるのです。しかし日が暮れる前にその洞窟を見つけなければ、変化し続けるこのVR地下世界から逃れることのできる機会をまた失ってしまうでしょう。さぁ、急ぐのです!」
ヒッポ君「もう、何だか分かんないなぁ……何を信じたら良いのか俺には分からなくなってきた。」
天使「ならば私の言う事を信じなくても良いのですよ。そしてまた、この地下世界の住人マウリシオの言いなりになって彷徨い続ければ良いわ。」
ヒッポ君「だってアイツ、俺もここの住人になれば幸せに暮らせるって、何でも夢が叶うって言ってるから……どうしよう……」
天使「ならばお好きに。だけどチャンスはそんなには巡り会えないものよ。じゃ貴方に聞くけど、あなたの夢ってなあに?」
ヒッポ君「そんな事考えたことないよ。ただ、ダイアリーの中の世界で出会った皆のことが忘れられないだけで……」
天使「その人たちに会いたいんでしょ?夢というのはそんなに大げさなことでは無くてよ。ささやかな幸せを掴むことこそ大事だと思います。あなたにとって幸せってなあに?」
ヒッポ君「とりあえず、この地下世界には無さそうだな。よし、じゃ「呪い魔法のダイアリー」の中の世界への近道へ案内してくれ。」
天使「わかった。でももう後戻りは出来なくてよ。そしてその洞窟の中でどんなに大変な出来事が起こるかもしれないけれど、覚悟は出来てるの?」
ヒッポ君「なんだって?大変な出来事って、一体……」
天使「あなたが本気でそれに立ち向かう意思がありさえすれば大丈夫。自分に自信を持つのです、そして本気で願うのです!」
ヒッポ君「わかったよ、やってみるよ。」
天使は全力を振り絞って山並みへと羽ばたく。ヒッポ君も変化し続ける草むらに足をすくわれないように駆け足で目指してゆくーーー
日が大分傾いた頃、辺りが夕陽に染まり始めると、ヘトヘトの天使とヒッポ君も焦りを憶える。
天使「ほら、あの先に洞窟が見えてきたわ。あとは一人で行くのよ、では私の案内はここまで。さようならヒッポ君、ご無事で!」
天使がそう言い放つや、天に向かって羽ばたくと、やがて天使は見えなくなっていった。
ヒッポ君「あれが近道なのか。だけど真っ暗で先が見渡せない、どうしよう……手探りで行くしか無さそうだな……」
しばし心細くなってきたヒッポ君がなんとか日暮れ前までに洞窟まで辿り着くと、真っ暗闇の中へと駆け出してゆく。すると……
マウリシオ「よう、何やってんだお前さん、さては逃げようってわけじゃないよな?待ちやがれっ!」
あれだけヘトヘトになりながら洞窟まで辿り着いたヒッポ君に対し、マウリシオは息をきらすでもなくづかづかと現れる。まるで魔法でも使ったかのように……そして尚も駆け出すヒッポを捕まえようと追いかけてくるではないかッ!そのあまりの形相におののくヒッポ君ではあったが、ここでマウリシオに捕まるわけにはいかない、と必死に自分にいいきかせながら真っ暗闇の洞窟へと突入してゆくーーー
ヒッポ君「まさかマウリシオの奴、魔物か?」
マウリシオ「フフッ、バレちまったようだな!待てコラッ!」
真っ暗闇の洞窟を手探りしながら必死で魔物マウリシオから逃れるために駆け出すヒッポ君。すると洞窟の奥先に、一点の光がこちらに照らし出されたではありませんかッ!あれは一体……
///to be continued!!!☆☆☆〜〜〜




