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第70章

「呪い魔法のダイアリーNo.666」の中の世界で暮らす悪役令嬢ターシャの邸宅のダイニングでは、元ターシャの侍女で親友の人魚のコスチュームのミッチご自慢の手料理で偽シャーマン☆ジュズッピをもてなすこととなったのだが、ジュズッピがシャーマンではない事をケセラには内緒にするようにターシャが気を使ったのにはある意味があったのでしたーーー






ーーー☆☆☆


ミッチ「さ、遠慮なくお上がり下さい!今宵のメニューは合鴨のテリーヌと気まぐれチョレギサラダ、上海蟹の濃厚スープ、ジェノベーゼパスタ及びデザートは抹茶ティラミスとなります〜〜〜、ジュズッピさん、ようこそターシャ様の邸宅へ!それではシャンパーニュで乾杯しましょう。」



 放浪の末にターシャの助けで泊めて貰うことになったジュズッピは、自分が偽シャーマンであることをウッカリ暴露してしまった手前、申し訳なくて目を伏せているのでしたーーー



ターシャ「さあさ、ジュズッピさん。良いのよ、さっきのことなど気にしてないから、ほらせっかくのご馳走が冷めてしまいますよ!どうぞ召し上がれ。」



ミッチ「ねぇターシャ、今の「さっきの事」ってなあに?それとジュズッピなんか元気ないみたいだし……」



ターシャ「しまった……じゃなくてね、いやコッチの事、というか大したことではなくてよ、お気になさらずに……そんな事よりほら、もうワタシお腹ペコペコよ。せっかくミッチが作ってくれたお料理も冷めてしまうわよ、さ、取り分けてちょうだいよ。」



 ジュズッピもターシャに勧められるがままにシャンパーニュを何本も開けてゆく。ミッチもノリで大分トロンとしてきている〜〜〜酔いのせいで大分砕けて怪しげになってきた2人の様子にターシャは若干の心配を感じ始めるのでした〜〜〜



ジュズッピ「それがさぁ、目の前にあんなデッカい帆船が横付けされるのを観ちゃったらさ、俺だって我慢していた流浪の旅の病気が再発されちゃったわけ!それがナディアの持ち物だと聞くと、もう居ても立ってもいられなくてね、それで盗んじゃったの。」



ミッチ「あらやだ、ジュズッピさんたら!アナタの気持ちも分からないでもないけど、駄目ねッキャピッ!!そういう時はコレよコレッ!アタシの着けているこの人魚のコスチュームさえつければ、船盗む必要もないし、ましてや海を泳ぐことなんてどこまででもへっちゃらなのよッ!今度貸したげる〜〜〜」



ジュズッピ「そりゃ良きでござるねぇ!じゃ今度僕にも貸してね〜〜〜!」



ミッチ「え、でもジュズッピって祈祷すれば何処へでも飛んでゆける術を持ち合わせては居ませんでしたっけ?」



ジュズッピ「そ、それなんですけどぅ~、アレはほんの営業トークでございましたね、アッ!」



 やはりターシャの勘は的中したのでした。よりにもよってジュズッピ本人から口走るとはーーー



ミッチ「へ?なんなの営業トークって、まさかアナタは何処かの営業なの?ていうか〜本当は祈祷師ではないということなの?」



 ターシャは一生懸命ジュズッピに目配せするのだが、泥酔状態の彼が察知することは不可能であったーーー



ジュズッピ「エイッ、それでは本当の事を申しましょう。そうです、私は何を隠そうシャーマンなどではございません!しかしこれだけは分かって下さい。貴方がたをコチラの世界やアチラの世界にご案内することは可能でしたよね。それが私の祈祷師としての能力であると私自身思い込んでおりました。

 ですが……その後何度かチャレンジしましたが、一行に異世界感移動をすることができませんでしたので、私のパワーで行ったのではなく、偶然何らかの引き寄せにより移動できていただけなのかもしれませんーーー」



 ターシャはもう駄目だという表情で頭を掻きむしっている。それを聞かされたミッチは余りの話の展開に、目をまん丸くしてジュズッピに噛み付くように質問を浴びせかける。



ミッチ「ちょ、チョレギ……じゃなくッてね、だからぁちょっとアンタ頭おかしくない?

 だってさ、ターシャが此処に泊まって良いよって言ってくれたのはアンタが「ナディアの邸宅の地下世界」へと私たちを連れて行ってくれるという交換条件だったじゃないのよッ!アレは嘘だったとでも言うのかしら?」



ジュズッピ「も、勿論ケセラ様の仰る通りで御座いますが、約束は守りますとも。きっと……」



ミッチ「何よきっとって。一体何をどうやって?まさかアンタが偽の適当な祈祷をやってる最中に神風かが吹いて、運ばれていくってことなんじゃないわよね?アンタ夢でも見ているの?」



ジュズッピ「いいえ、これが現実です。」



ミッチ「ちょっとふざけんじゃないわよッ!ヤダもうこの人、なんとか言ってやってよターシャ!もしかしてアンタもグルなのぅ?」



ターシャ「いいえそういうわけではないのですが、ケセラを心配させないためにも内緒にしていたかったのよ。やはりジュズッピには隠しきれなかったようですわね。彼の仰る通りシャーマンの能力は持ち合わせてはおりません。

 けれどね、私は彼には何かしらの「引き寄せの法則」が働いているのではないかと、密かに感じているのよ。ナディアの透視能力なら解明できなくもないでしょうがね。その証拠に、ある意味彼が祈ったタイミングで神風のように移動が可能になってこのワールドに辿り着いているのですから、これは事実として受け止めるしかないでしょうね。」



ミッチ「でもわかんないなぁ〜、ターシャはワタシのことを親友だと言ってたじゃないのよ!なのにこんな詐欺師みたいな奴と結託してこの事実を隠していたのですからね。ワタシ何を信じたら良いのか分かんなくなっちゃった。」



ジュズッピ「ミッチさん、どうかご安心下さい。このワタクシにも神風が吹くのはもはや特別な事ではございませんから。貴方がたを無事にアチラのナディア邸の地下世界までお連れしましょう!そしてターシャ様の仰る私の「引き寄せの法則」とは、もしかしてコレのことでしようか?」



 すると何とジュズッピはポケットに忍び込ませておいたニンニクを取り出すや、キッチンからパクってきたおろし金で必死に擦りだしたではないですかッ!必然的に辺り一面はもうニンニクのオイニイで充満してゆきます〜〜〜




ターシャ「なんなのぅこの私の想定を超越した見事な攻撃魔法わ〜〜〜ワタシがあんな事言ったばかりになんてことしてくれるのよぅ〜〜あ〜何故か引き寄せられるぅ〜んエッチ♡」




 そして先程まで酔いどれ天使だったミッチもオイニイ攻撃で一気に酔いが覚めるばかりか、ターシャとジュズッピのお遊びを見てからというもの、この仲良しな二人の事を二度と信じない事を誓ったのでありましたーーーー






///to be continued!!!☆☆☆〜〜〜


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