第64章
イケメン3人の様子が心配なメチル女王はジェノべの脳波にアクセスしながら事の成り行きを見守る。
どうやら彼らは妖精たちに騙されて連れてこられた秘境で立往生しているのだった。
他の二人、ヒッポ君とマウリシオも途方に暮れる。
「おい、もうすぐ夜になってしまうぞ、もしかしてこの辺には恐ろしいモンスター達が住んでいて、辺りが暗闇に包まれた頃活動するんじゃないかなぁ……」
「な、なんだよぅ、怖いこと言うなよぅ……俺そういうの苦手なんだから。それより何であんな妖精たちの言う事を信じちゃったのかなぁ。」
「それはジェノべが心配ないって言ってたから、俺だってアイツラのこと最初から疑ってたんだぜ!」
「え、そうかなぁ〜、何か一番乗り気だったようでしたよ、ハハッ!」
ジェノべがヒッポ君のおどけた様子に思わず笑う。
「さ、こうしていても何も始まりません。この先は行き止まりのようですので一先ず分岐点まで戻りましょう。」
ジェノべがそう言うと、暗闇となった森の中で、此処そこの辺りから何やらヒソヒソと声がし始める。
その話し声の主の姿はまるっきり見えないでいる。
「な、なんだよう…誰なんだこんな森の中で変な声出してるのは?」
その姿なき声の主は徐々に3人に近づいている様子で、声量がまし始める。
どうやら3人を周囲から取り囲んでいる様子でーーーー
ー*ー**ーー
するとジェノべ、ヒッポ君、マウリシオの3人は、暗闇の中でざわめく声に追われながら分岐点へと向かって駆け出した。
恐怖が彼らの足を速めていた。
ヒッポ君:「な、何なんだよこの声!?やっぱりモンスターか?」
マウリシオ:「落ち着けヒッポ君!ジェノべ、どうする?このまま逃げ続けるのか?」
ジェノべ:「一旦分岐点まで戻って、そこから考えよう。おそらく声の正体はただの幻覚か何かだろう。冷静に対処しよう。」
ヒッポ君:「幻覚って…こんなにリアルな幻覚があるのかよ!?」
声がさらに大きくなり、彼らの背後から迫ってくる。3人は息を切らしながら分岐点に到達した。
マウリシオ:「ここまで来たけど、次はどうする?このままだと声の主に捕まっちまうぞ!」
ジェノべ:「まず、周囲を確認しよう。何か手がかりがあるかもしれない。」
ヒッポ君:「早くしろよ!もう声がすぐそこまで来てるんだぞ!」
ジェノべは素早く周囲を見渡し、木の陰に小さな光がちらついているのを発見した。
ジェノべ:「あそこだ!あの光を目指そう。おそらく出口か安全な場所があるはずだ。」
3人は再び走り出し、光に向かって突き進んだ。声は依然として彼らの背後から迫り続けている。
マウリシオ:「ジェノべ、あの光は本当に安全なのか?また妖精たちの罠じゃないのか?」
ジェノべ:「そんなこと言ってる場合じゃない。今はとにかく先へ進むしかない!」
光が次第に大きくなり、3人の前に広がる草原が見えてきた。
彼らは一気に草原へと飛び出し、声の追跡から逃れることができた。
ヒッポ君:「はぁ…はぁ…助かったか?」
マウリシオ:「でも、あの声の正体は一体何だったんだ?」
ジェノべ:「それは後で調べるとして、今は安全な場所を見つけて休もう。疲れた体を回復させるのが先決だ。」
3人は草原の真ん中で一息つき、夜空を見上げながらそれぞれの思いを胸に抱いていた。
ヒッポ君:「今日は本当に疲れたな。でも、ジェノべがいたから助かったよ。」
マウリシオ:「そうだな。次はもっと慎重に行動しよう。」
ジェノべ:「ありがとう、二人とも。でもまだ終わりじゃない。これからも気を引き締めていこう。」
3人は月明かりの下、しばしの休息を取りながら次の冒険に備えるのでした。
ー☆**ーーー
翌朝早く、3人が草原の真ん中で目覚めると、何処からともなくやって来た農夫たちに囲まれていた。
ヒッポ君が恐る恐るその人たちに質問する。
ヒッポ君:「あ、あのぅ……貴方がたはなんの御用で?」
すると、一人の鍬を持つた男が答える。
農夫:「そんたらこと言っとって、あんたらこそ誰なん?」
ヒッポ君:「え?あ、あの……僕たちはただの旅人で……」
農夫:「あんたらこそウチラの土地で勝手に何しちょっとばい?」
マウリシオ:「えっと、気付いたら此処に辿り着いていた訳で……」
農夫:「そんなんしちょらんと、はよこっちさ来なされりぃ。」
ジェノべ:「わかりました。お邪魔してすみません。」
3人は農夫の案内で彼らの集落へと向かうことになった。
集落に到着すると、温かい朝ごはんが用意されていた。
ヒッポ君:「うわぁ、美味しそう!いただきます!」
マウリシオ:「ああ、こんなに美味しい朝ごはんは久しぶりだ。」
ジェノべ:「皆さん、本当にありがとうございます。」
農夫の妻:「そげんこつ気にせんでよかばい。旅人は大事なお客さんじゃけん。」
3人は満腹になったところで、昨夜の出来事を話し始めた。
マウリシオ:「実は、昨夜森の中で不思議な声に追われて、ここまで逃げてきたんです。」
ジェノべ:「その声はすごくリアルで、まるで私たちを狙っているかのようでした。」
農夫:「ふーん、それは妙な話ばいね。でも、ここの森には昔から伝説があるとよ。」
ヒッポ君:「伝説ですか?」 農夫:「ああ、この辺りの森には妖精たちが住んどるとされてるんじゃ。昔から、妖精たちは悪戯好きで、迷い込んだ者を驚かすことがあるとよ。」
ジェノべ:「それじゃあ、あの声も妖精たちの仕業だったんですか?」
農夫:「可能性は高かばい。でも、最近は妖精たちも大人しゅうなっとるはずなんじゃけどな。」
ヒッポ君:「じゃあ、どうして僕たちを追いかけてきたんでしょうか?」
農夫の妻:「そりゃ、あんたらが何かしらの理由で彼らの領域を侵したんかもしれんね。」
ジェノべ:「領域を侵した……。私たちはただ妖精たちの誘導に従っただけなのに。」
農夫:「かもしれんね。でも、無事にここまで辿り着いたんじゃけん、妖精たちも本気で危害を加えるつもりはなかったんじゃろう。」
マウリシオ:「それなら良かった……。でも、これからどうすればいいんでしょうか?」
農夫:「ひとまず、ここで少し休んでいきなされ。安全な道を教えてやるけん、また旅を続けなさい。」
ジェノべ:「ありがとうございます。お言葉に甘えて、少し休ませていただきます。」
こうして3人は農夫たちの集落で休息を取り、妖精たちの謎を少し解明しつつ、新たな冒険に向けて準備を整えたのでしたーーーー
ーーー☆**ー
農夫:「そんなら、この先にワシラの憩いの温泉場があるけん、すったらところに寄ってから先へ行くばい!」
農夫のカミさん:「これ、お手製の鯖寿司とタルタル唐揚げのお弁当じゃけん、道中で食べんさい。」
ジェノべ:「ありがとうございます!本当にお世話になりました。」
ヒッポ君:「温泉か、楽しみだなあ!」
マウリシオ:「よし、出発しよう!」
3人は農夫たちに見送られながら温泉場へ向かった。
程なくして辿り着いた温泉場でひとっ風呂浴び、体も心もリフレッシュした後、農夫から聞き出したルートを頼りに再び先を急いだ。
いくつものつづら折れの道を下っていくと、やがて眼下に広大な景色が現れ始めた。
ヒッポ君:「え、もしかして此処は、海ですよね~!」
ジェノべ:「間違いない、海だ!こんなに綺麗な海は初めて見た。」
マウリシオ:「ちょっと休憩して、海水浴でもしようか。」
3人は海の砂浜に到着すると、早速海水浴を堪能し始めた。
波の音に包まれながら、久しぶりの自由な時間を楽しんでいた。
ヒッポ君:「最高だな、ここは。海も綺麗だし、何もかもが完璧だ!」
ジェノべ:「本当にリラックスできるね。こういう時間が必要だったんだ。」
マウリシオ:「あれ、あそこに誰かいるぞ。あれは……メチル女王?」
メチル女王:「お待たせしました、みなさん!もう待ちわびていましたよ!」
ジェノべ:「メチル女王!どうしてここに?」
メチル女王:「だってあなたたちが無事にここまで辿り着けるか心配で心配で……
アタシ、先回りして待っていましたの。
それに、今日は特別に浜焼きをごちそうしますよ!」
ヒッポ君:「うわぁ、嬉しいですぅ〜!浜焼きなんて最高だ!」
マウリシオ:「これはまさにご馳走ですね。」
メチル女王が用意した浜焼きの宴が始まり、3人は存分に楽しんだ。
ヒッポ君:「この鯖寿司もタルタル唐揚げも最高だけど、この浜焼きは本当に格別だね。」
ジェノべ:「本当に素晴らしい。皆でこうして美味しいものを食べられるのは幸せだ。」
メチル女王:「あなたたちが無事でよかった。これからの冒険も気を引き締めて頑張ってくださいね。」
マウリシオ:「ありがとうございます、メチル女王。これでまた頑張れます!」
ジェノべ:「さあ、みんな、もう少し休んだら次の目的地に向かおう。」
こうして3人はメチル女王と共に楽しいひと時を過ごし、新たな旅への準備と、再び旅立つ前の彼らの絆はさらに深まっていくのでしたーーー
///to be continued!!!☆☆☆




