第63章
VRマウリシオの言う、パリピメロン家のみ操れる注入魔法「心を入れ替える力」とは、果たして自分にも使うことが出来るのか、ジェノべはそろそろ試したいという要望が渦巻き始めていたのであった。
「この注入魔法を上手に行使すれば、悪い心の人々を更生することも出来よう。
しかしともすれば、自分が悪いことを考えて相手を操るために行使することができてしまったら……」
ジェノべが自問自答している様子を監視していたメチル女王が透視魔法を駆使してジェノべの脳波にアクセスしていた。
「あら、あの子はどうやら魔力の脅威に気付いてしまったようね……
注入魔法の使い方を誤った場合、かけられた側だけでなく、かけた側にもダメージがあることは、まだ知らないようね。」
メチル女王はジェノべを心配しながら事の成り行きを見守るのであった……
ジェノべはVRマウリシオに注入魔法をかけると、期待と不安が入り混じった心境で彼の反応を待った。
「マウリシオ、これから君に注入魔法をかける。心を入れ替える力を使って、私たちは世界を変えることができるんだ。」
ジェノべはそう言うと、マウリシオは驚きを隠せない表情でジェノべを見つめた。
「ジェノべ、君がそんなことをするつもりだとは思わなかった。でも、僕は君の言葉を信じるよ。」
しかしジェノべが注入魔法をかける瞬間、マウリシオの表情が変わった。
彼は笑顔を浮かべながら、
「ジェノべ、君が呪い魔法のダイアリーのルートを案内してくれてありがとう!」
と言ったのだ。あまりにも意外な言葉にジェノべは混乱する。
「ダイアリーのルート?何を言っているんだ、マウリシオ?」
「そうだよ、ジェノべ。僕は君を騙して、本当のルートを隠していたんだ。
だって、呪い魔法のダイアリーはそもそも僕のものなんだからねっ。」
とマウリシオは自信たっぷりに言った。
それを聞いたジェノべの心は落ち込んだ。
自分が信じていた友人が裏切り、そして自分が彼を変えようとしていたのにもかかわらず、逆に自分が変えられてしまったことを悟ったのでした。
「マウリシオ、なぜ君はイケメンな友達の僕にそんなことをするんだい?」
ジェノべは悲しみと怒りを込めて問いかける。
マウリシオは冷たく笑った。
「いいかい、この奇妙な世界では力こそが全てなのだ。
そして君の力は今、僕の手の中にあるのさ。
これからは僕の望むように動くがいい。さもなければ、呪いの力で君を地獄に叩き落としてやるぞ。」
ジェノべは絶望の中で、自分の行動がもたらした結果に苦しんだのでしたーーーー
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その様子を影から監視していたメチル女王であったが、流石にジェノべが気の毒で見ていられなかった様子で、彼の助っ人を用意することにしました。
彼女はこちらの奇妙な世界の天に向かって、どぅしたというのでしょう、いきなり呪文を唱え始めたではありませんかッ!
そして彼女は願いを呟き始めまるのでしたーーーー
「天知る地知る我が神よ、どうかジェノべに味方を授け給え〜〜〜っ。」
するとどうしたと言うのでしょう、いきなり天空から真っ黒な雨雲が迫りくると、一気に暴風雨が降り出したではありませんか。
言い争っていたジェノべとマウリシオも流石に近くの軒下を見つけて避難します。
すると雷鳴が轟くと、物凄い轟音を立てて地面に直撃します。
ふとその瞬間、何やら蒼白い光に包まれた人影が現れたのでした。
それはなんと、あのときのVRヒッポ君でした。
ヒッポ君が二人の間に入り、彼らを落ち着かせるために努力しました。
「ジェノべ、マウリシオ、君たちは友達じゃなかったのかい?どうか落ち着いてください!」
ヒッポ君は力強く言いました。
「この争いは何の解決にもなりません。お互いが心から話し合い、理解し合うことが必要です。」
ジェノべはまだ怒りが収まらない様子でしたが、ヒッポ君の言葉に耳を傾けました。
マウリシオも彼の隣に立って、少し落ち着いた様子でヒッポ君を見つめました。
「ジェノべ、マウリシオ、お互いの立場や思いを聞いてみましょう。」
ヒッポ君は提案しました。
「どうしてこのような状況になったのか、お互いの心の内を語り合いましょう。」
ジェノべとマウリシオはお互いに視線を交わし、少しずつ話し始めました。
ジェノべは自分の理想と失望を、マウリシオは彼の野心と恐れを打ち明けました。
ヒッポ君は彼らの話を注意深く聞きながら、それぞれの立場を理解し、仲裁に努めました。
「二人とも、自分の思いや考えを大切にしています。
しかし、争いや裏切りは解決の道ではありません。お互いを尊重し、協力して未来を切り開くことが大切です。」
ジェノべとマウリシオはヒッポ君の言葉に心を動かされ、互いに手を取り合いました。
彼らは再び友情を取り戻し、共に未来を築いていくことを誓いました。
そしてVRマウリシオはついに本当の「呪い魔法のダイアリー」のルートを導き始めたのでした。
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ようやく3人が本当の「呪い魔法のダイアリー」のルートを辿る途中、森の中で突然妖精たちが現れました。
「あらあら、こんなところで何をしているのかしら?」
妖精たちが興味津々の声で囁きました。
ジェノべとマウリシオは驚きながらも、妖精たちに対して礼儀正しく挨拶します。
「私たちは呪い魔法のダイアリーの真のルートを探しています。」
すると妖精たちは楽しそうに笑いながら言います。
「それは危険な旅ね。でも、もし私たちが手助けするとしたら、どうかしら?」
と言いました。ヒッポ君は疑念を抱きながらも、3人の話を聞き入れました。
しかしジェノべとマウリシオは妖精たちの甘言に騙され、彼らの案内に従うことにしました。
妖精たちは彼らを森の奥深くへと導き、次第に道が迷い始めました。
ジェノべとマウリシオは不安そうになりながらも、妖精たちの言葉に惑わされ、彼らを信じ続けました。
しかしやがて彼らは見知らぬ場所に迷い込み、混乱と恐怖が心を支配し始めました。
「あれ、ここはどこ?妖精たちはどこへ行った?」
ジェノべが不安げに言いました。マウリシオも同じく混乱していました。
「まさか、妖精たちは私たちをだますつもりだったのか?」
ヒッポ君は心配そうに周囲を見回しましたが、妖精たちの姿はもうどこにも見当たりませんでした。
3人は妖精たちの指南で遂に立ち往生し、次なる道筋を模索しなければなりませんでした。
///to be continued!!!☆☆☆




