第59章
パリピメロン家の秘密と「呪い魔法のダイアリー」との関連性についてオレガド国中を情報収集で飛び回っていたジェノベ。
彼はあまり各地で有益な情報を得られなかった為にもう一度ナディアからの聞き込み調査をするつもりだったーーーー
ジェノベは四頭立ての馬車をナディアの宮殿へと走らせていました。
ようやく宮殿のロータリーに到着するや、物凄い形相の執事シュミットが正面玄関からあたふたと飛び出してくる。
「ああ、ジェノベ様、丁度良いところにお戻りになられましたね、メチル女王様もお待ちかねですよ。」
執事シュミットに促されるがままにリビングへと向かうジェノベ。
リビングではソファーで苛立たしげな表情のメチル女王が迎える。
メチルの隣にはジェノベの見知らぬ日焼けした青年もちょこんとかしこまった様子で座っている。
「あら遅かったわね、ジェノベ。あなたからの情報が全然伝わって来ないもんだから、アッハ国王もご乱心よ!
それにこちらに居るヒッポ君、彼はがダイアリーの中の世界から戻って来たそうよ。
彼の事はナディアから聞いていたので、未だ帰らぬターシャを連れ戻すため、相談に来たんです……
しかしね、此処に来てみたら肝心のナディアが居ないじゃ無いの!
彼女は自分の娘ケセラの事でダイアリーの中の世界に旅立って行ったらしいのよ。
シュミットから今聞かされて驚いていたところなんですーーーー
まったくこんな事になろうとは……
一体私はこれからどうしたら良いのかと途方に暮れていたところだったのよ……」
するとシュミットがメチルの話に付け加えるように言う。
「皇后メアリー様がこちらの世界に戻られたのを良いことに、ダイアリーの中の世界でケセラをたぶらかせたジュズッピが支配政権を敷き始めるのを阻止するため、パリピメロン家の使命を感じたナディアでした。
そしてナディアは図書館の床下の世界に居る、かつての執事マウリシオの協力であちらの世界へ向かう事を決めたの。
数々の試練ミッションを乗り越える事で「呪い魔法のダイアリー」の中の世界に辿り着くそうなの。
そこでジュズッピ支配下から脱却し今後もパリピメロン家の支配権を得るためにも乗り出していったのでしたーーーー
今頃ジュズッピとの覇権争いが繰り広げられていると思うと、私、心配で…ジェノベ、私達どうしたらいいの?」
ーーー***ー
そこでメチル女王、ヒッポ君、そしてジェノベは、パリピメロン家のダイアリーの中の世界を目指す決意を固めたのでしたーーーー
図書館の床下から広がっている世界に入り、そこの住人マウリシオの案内を受けながら、彼らはダイアリーの魔法によって作られた試練に立ち向かっていくのでした。
そこでマウリシオからイメージトレーニングのレクチャーを受けることになりましたーーーー
先ず最初の試練は、時間が歪んでいる森を抜けることだった。
木々が生きており、動き回る不気味な場所である。
次に彼らは幻影の町に足を踏み入れ、自分たちの過去や未来を見せつけられる。
メチル女王は自らの過ちに直面しヒッポ君は彼の運命について考えることになる。
最後の試練は、ジュズッピの支配する城に潜入することだ。
そこで彼らはナディアと再会し、パリピメロン家の運命を変えるために協力することを誓うーーーー
このプランについてマウリシオと相談します。
マウリシオはまだダイアリーの中の世界への旅に出るのは早い、と反対しました。
それにもかかわらずメチル女王、ヒッポ君、そしてジェノベは自分たちの信念に従い、世界を目指す決意を貫くことに決めるたのでした。
彼らはマウリシオに感謝の意を示し、彼が提供する情報を受け取りながら、旅の準備を進めます。
マウリシオは心配そうに彼らを見送ると、それでも彼らの安全を祈りました。
彼らの旅はまだ始まったばかりであり、彼らが直面する困難はいまだ想像を絶するものであろう事に間違いはないのです。
ーーー***ー
メチル女王は暗い洞窟の通路の先へと歩みを進めるも、心細くなったのかヒッポ君を先頭にしてランタンで先を照らしながら進んでゆく。
ジェノベといえば、長旅の疲れから二人から大分遅れてついて行く。
すると彼の周りに何処から飛んできたのか妖精たちが行く手を阻む。
「そっちへ行ってはいけません、まだあなたには経験値スキルが足りません。」
「メチル女王の言うことなど知らん顔して良かったのに、バカだね。」
「これは全てこの床下の世界のマウリシオの罠なのに、何故そんなに信じるの?」
「この先へあなたが入り込むと、もう元には戻れませんが、大丈夫?」
妖精たちはジェノベの不安をまるで煽るかのように、口々にジェノベを引き返すように仕掛けてきます。
その様子を心配した二人が引き返してきました。
「ジェノベ、妖精たちの罠にハマってはなりません!これがマウリシオの行っていた「呪い魔法のダイアリー」の中の世界に入るための試練ミッションなのですから……
良いですね、此処は耐えるのです!」
メチル女王が錯乱するジェノベを促します。
ーー***ーー
ヒッポ君はジェノベの肩を叩き、
「大丈夫だよ、ジェノベ。俺たちが一緒にいるから、何があっても乗り越えられるさ。信じてくれ!」
と励まします。ジェノベはヒッポ君の言葉に勇気をもらい、自信を取り戻して強く歩き出すのでした。
すると……不思議なことに先程まで暗闇に包まれていた洞窟の通路が、地平の彼方まで広がる美しい花畑に変わっていました。
「これはーーーー信じられない…」
ジェノベが驚きながらそう呟くと、花畑の中から妖精たちが不思議なことに笑顔で現れるのでした。
「よくやったね、ジェノベ。この先に進む準備ができたみたいだね!」
一匹の妖精が微笑む。
ジェノベは心から安堵し、仲間たちと共に花畑を進んでいきます。
彼らの冒険はまだ始まったばかりであり、多くの試練が待ち受けていることを知っていたが、彼らは団結し前に進もうと決意を新たにしました。
ーーー***ー
しかしそれはまだ序の口、この花畑にも妖精たちの罠が隠されているとも知らない3人ーーーー
甘い香りに誘われ、メチル女王、ヒッポ君、そしてジェノベは花畑の奥に現れたリストランテに入っていきます。
扉を開けると、そこは豪華で美しい内装のレストランでした。
妖精たちが彼らを出迎えます。
「ようこそ、冒険者たちよ。このリストランテでは、あなたたちの冒険の疲れを癒すことができます。」
妖精たちの微笑みに3人は驚きながらも、疲れた体をリラックスさせるために着席する。
するとテーブルには美味しそうな料理が次々と運ばれてくるではありませんか!
しかしメチル女王が一口食べると、突然彼女の姿が透明になり、ヒッポ君も同じように消えてしまいますーーーー
ジェノベは驚き恐れおののくが、その時リストランテのオーナーである妖精が笑いながら現れ、
「実はね、このリストランテは媚薬魔法のパワーで人々を誘い、その心を捕らえる場所なのさ。
君たちがこの世界を探求するのならば、きっとさらなる試練を乗り越える必要があろう。
そのためにも、君たちは媚薬魔法の罠から抜け出す方法を見つけるんだな。」
妖精たちは尚一層の追い打ちをかけるようにジェノベに告げたのだった。
そんなジェノベは決意を込めて、リストランテから脱出する方法を探すため、一歩づつ動き出すことにするのでした。
そしてジェノベは今後、妖精たちの罠に囚われること無く仲間たちと共にミッションをクリアし続ける、そんな決意ができるのでしょうかーーーー
///to be continued!!!☆☆☆




