第55章
ちっちゃなラビーが手持ちのランプで壁画の中の世界をピョンピョンと水先案内してゆく。
ナディアとストレンジャーはその子のあとを着いて奥へと続いている通路を突き進む。
ランプに照らされた石造りの通路は、緩やかに曲線を描きながら奈落の底へと下降してゆくのだった。
通路の先でいくつもの分岐にラビーが戸惑いながら進むと!行き止まりとなっているではありませんか!
ラビー: 「えっと、こっちかな?それともこっちかしら?」
ナディア: 「ラビー、大丈夫?どちらが正しい方向かわからないの?」
ストレンジャー: 「焦るな、落ち着いて。ちょっと待ってみよう。」
ラビーが戸惑いながら進むと行き止まりに到達し、通路が閉じられる音が聞こえてきます。
ナディア: 「これはまずい。どうすればいいんだろう?」
ストレンジャー: 「冷静になって、新しい道を見つける方法を考えよう。」
すると突然、通路の壁が微かに揺れ、新しい通路が現れます。
ラビー: 「やや、これは…?」
ナディア: 「もしかして、この壁も動くのかもしれない……よし、試してみよう!」
三人は力を合わせて壁を押してみると、又もや新しい通路が開かれるではないかっ!
ストレンジャー: 「ほら見て、これだを!」
三人は新しい通路を意気揚々と進んでいくのだったーーーー
***ーーーー
再びちっちゃなラビーの道先案内で新たなる通路を暫く進むと突き当りに何やら見えてきますーーーー
今度は上へと続く螺旋階段が渦高くそびえているではないかっ!
早速ナディア達は登り始めるのであったが、すると著名な考古学者でもあるストレンジャーは、何やら古代言語の調子で呪文を唱え始める。
すると螺旋階段は回転し始め、ナディア達をスパイラルしながら天井へと上昇させるではないか。
ナディア: 「これは一体…?」
ラビー: 「上に行かなきゃいけないって思ったら、こういう手段を使うのかしら?」
ストレンジャー: 「待て、これは何かが違う。あぅっ、間違えた〜〜〜っ……」
ストレンジャーが呪文を唱え始め、螺旋階段が回転し始める。
ナディア: 「な、何が違うのよっ……もう信じられない!アンタってホントに、考古学者?…」
螺旋階段が上昇し、一行が天井の扉から表に出ると、そこは広大な草原だった。
ラビー: 「わぁ、すごい景色!」
すると突然、ちっちゃなラビーの部族の宿敵、グレーラビー族が現れるや、一行を捕獲しようとする。
ナディア: 「なんてこと…どうしてこんなことになっちゃうのよ…?」
ストレンジャー: 「今、私たちは一体どこにいるのだろうか…」
するとちっちゃなラビーが二人に小声で呟く。
「彼らは我々のラビー種族とは異なった考え方をしておりますので。ある意味宇宙的な発想というか……」
ナディア: 「宇宙的?どういうこと?」
ストレンジャー: 「我々の知る範囲を超えた存在なのかもしれない。」
グレーラビー族が一行を連れ、宇宙船の中へと案内する。
ラビー: 「ここは…な、何と宇宙船?!」
その葉巻型の宇宙船は超絶的なスピードで、宇宙の彼方へと旅立ってゆきました。
ーー***ーー
ナディア: 「アタシ信じられない…私たちは宇宙へ行くのね?」
ストレンジャー: 「どうやらそれがこの種族の目的なのかもしれないな。」
宇宙船が星々の間を航行し、未知の領域へと向かう。
ー*ー*ー*ー
そして ナディア達はいつの間にか気を失っていたのだが、気づくとナディアとストレンジャーは元の世界と帰還したのか草むらで倒れ込んいるではないかっ!
もうそこにラビーの姿はない。
ナディア: 「ふう…どうしたのかしら?」
ストレンジャー: 「私もよくわからない…ラビーはどこに?」
するとどうしたことかナディアの娘ケセラがランタンを持って近づいて来るではないか。
これって……もしや宇宙的記憶の改ざんでしょうか?
ケセラ: 「あれっ、ママなの?よくわからないけど大丈夫?
それにしてもすごい稲妻が此処に落ちたようだったけど、一体何があったのかしら?」
ナディア: 「ケセラ、あなたがここに…私たちは…」
ストレンジャー: 「我々はどうやら帰還したようだ。でも、ラビーは…」
ケセラ: 「ラビーはもうここにいないわ。実は、案内してくれたのは彼の方なのよ。」
ナディア: 「あら、そうかも知れないわね…インチキ考古学者の彼のおかげで、何とか無事にダイアリーの中の世界にこれたわ。」
ストレンジャー: 「インチキですと?僕のおかげなのに……」
三人はしばらく黙ってそこに座り、ラビーの思い出に思いを馳せる。
「そうです、グレーラビー種族によって宇宙空間を旅したと思いきや、何とケセラの入り込んだ「呪い魔法のダイアリー」の世界の中に到着することができたのです。」
ナディアは思います。
もしかしたらグレーラビー族達は良い奴だったのではないかと。
ーーー***ー
ケセラの案内で辿り着いた、こちらの世界で魔法使いのお祖母様となったナディアの母親で皇后のメアリーと再会する事になります。
ナディア: 「ケセラ、この世界は…?」
ケセラ: 「これは私の入り込んだ『呪い魔法のダイアリー』の世界ですよ。」
ナディア: 「そうなの、無事に着いたのね…でも、私たちはどうやってここに?」
ケセラ: 「私が呪文を詠唱して、あなたたちをここに案内したの。」
ナディア: 「そうなのね…ありがとう、ケセラ。」
ナディアたちはケセラの案内で進み、魔法の森を抜けると、美しい城がそびえ立っていた。
ナディア: 「あれが…母の城なんだわ。」
ケセラ: 「そうよ、皇后メアリーお祖母様の城です。」
一行は城に入ると、ナディアの母親で皇后のメアリーが待っていた。
メアリー: 「ナディア…あなたが帰ってきたわ!」
ナディア: 「母上…!」
ナディアは母親と再会し、喜びに満ちた抱擁を交わすのでしたーーーー
ー**ーー*ー
しかしメアリーはナディアがどうしてこちらの世界に来ることになったのか疑問に思いナディアの頭の中を透視魔法によって読み取るや、お祖母様メアリーは慌てて其の場から消えてしいます。
ナディア: 「母上、私たちは…」
メアリー: (透視魔法を使い、ナディアの頭の中を読み取る)「な、なんてことなの…!」
メアリーは慌ててその場から消えてしまう。
ナディア: 「母上…?」
ケセラ: 「何が起こったの?」
ナディア: 「私の頭の中を透視魔法で見たら、母上が慌てて逃げてしまったわ。」
ケセラ: 「なぜだろう…?」
ナディア: 「私たちがこちらの世界に来ることに何か関係があるのかもしれないわ。」
ナディアは不安そうに顔を見合わせる。
ーー***ーー
こちらの世界に来てからというものすっかり魔法使いのお祖母様となったメアリー。
彼女は透視した娘ナディアが、あまりにも恐ろしいことを考えていたのを知ると逃げ出してしまった。
ナディア: 「母上が…逃げるなんて?」
ケセラ: 「でも、なぜそんなことを…?」
ナディア: 「私の頭の中を透視魔法で見たら、何か恐ろしいことを考えていたのかもしれないわ。」
ケセラ: 「それは…」
突然、ナディアの手に光が宿り、魔法の力が彼女を包む。
ナディア: 「これは…私がこの世界を支配する力?」
ケセラ: 「そ、そんなことが…!」
ナディアは玉座に座り、自身がこの世界を支配することを決意する。
ナディア: 「私が魔法使いのお祖母様となったら…」
ナディアの本当の目的は「ダイアリーNo.0666」の中の世界からメアリーを追い出し、自らがその地位につくことが狙いであった。
ーー***ーー
メアリーはジュズッピを尋ねると、彼に交換条件を提案する。
メアリー: 「ジュズッピ、私はこちらの世界に戻ってきた。」
ジュズッピ: 「メアリー、何を僕に求めに来たんです?」
メアリー: 「私は再び『ダイアリーNo.0666』の中の世界に帰りたい。しかし、その代わりに私はあの世界の支配権をナディアこら取り戻したいのだ。」
ジュズッピ: 「なるほど、それは大胆な要求ですね。しかしそれがどのように実現できるのか?」
メアリー: 「先ずナディアから実権を奪う。そして、あなたがその世界に入ることを許可する。その代わりに、私がその世界を支配する。どうだ、取引は成立するか?」
ジュズッピ: 「興味深い提案だ。しかし、ナディアから実権を奪うことは容易ではないだろう。」
メアリー: 「私が手助けする。そして、私たちの目的を果たそうではないか。」
ジュズッピ: 「合意だ。取引を成立させよう。」
メアリーとジュズッピは手を組み、ナディアから実権を奪う計画を練ります。
ーー***ーー
かつて皇后メアリーから追い出された恨みがある筈のジュズッピがいくら交換条件かあるからとして皇后の事を恨む気持ちを出さなかったのにはある理由がありました。
それというのもジュズッピがダイアリーの中のの世界に戻ったからと言って、彼はナディアから実権を返還してもらうことなんてこれっぽっちも考えてはいませんでした。
何故ならばメアリー皇后はこちらの世界では既に魔法使いでもなければ、透視魔法さえも使うことが出来ないことを知っていたからでした。
よってダイアリーの中の世界をコントロールする術などありません。
数日後、メアリー皇后は「ダイアリーNo.0666」を開いた途端、ナディアとケセラとジュズッピが幸せに暮らしているストーリーに変わっていたことで、ジュズッピの裏切りに気付いたのでした。
これに憤慨したメアリー皇后はナディア同様にダイアリーの中の世界へ続く別ルートへと向かいます。
メアリー皇后は「ダイアリーNo.0666」を開いた途端、ナディアとケセラとジュズッピが幸せに暮らしていることに変わっていたことに憤慨した。
メアリー: 「なんてこと…ジュズッピが裏切ったのか?」
怒りに燃えるメアリーは、ナディア同様にダイアリーの中の世界へ続く別ルートへと向かいます。
メアリー: 「私は彼らが幸せに暮らすのを許さない!」
メアリーはダイアリーの中の世界に入ると、そこでナディアとケセラが笑顔で暮らしているのを目撃する。
メアリー: 「くそっ…どうしてこんなことになっているんだ?」
メアリーは憤りを抱きながら、自らの力を使ってこの世界を変えようと決意する。
しかしもうこちらの世界ではメアリー皇后は魔法使いでもなければ、透視魔法で考えている事をよむこともできません。
メアリー: 「そうか、私はこちらの世界では無力なのだ。」
メアリーは落胆しながらも、何とかしてダイアリーの中の世界に介入する方法を見つけようと決意する。
メアリー: 「私は力を持たなくても、なんとかして彼らを止めなければならない。」
メアリーは懸命に考えを巡らせながら、ダイアリーの中の世界に対する新たな計画を練り始めます。
彼女は自分の知恵と決断力を頼りに、幸せな結末を導くべく行動を開始するのでしたーーーー
///to be continued!!!☆☆☆




