第52章
奇妙な世界の遺跡の入り口に刻印されていたのは、まさにパリピメロン家の称号であることはナディアも執事シュミットも心得ていました。
そしてそれが何を意味するかも。
しかし二人ともこの遺跡の中のルートを通過するしか「呪い魔法のダイアリーNo.0666」の中に入る術はないことは百も承知していました。
そう、それというのも今や魔法使いとなってしまったダイアリーの住人でありナディアの母親メアリー皇后がダイアリーの往来が自由にできないように結界を張り巡らせたからであった。
ところがメアリーが目に入れても痛くない程の溺愛ぶりのケセラだけは自由にダイアリーの往来を許されている。
しかしケセラと同じパリピメロン家の血統であったとしても、ダイアリーの中に往来する事はメアリーによって固く禁じられているのであった。
ある意味メアリーのお眼鏡に叶った人選によって、この世界は彼女の独裁がまかり通っているのである。
だが例外として、パリピメロン家の祖先はこのルートだけ往来可能としていた。
その理由についてシュミットがナディアに説明するのでしたーーーー
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パリピメロン家の祖先がこのルートだけ往来可能としていた理由とは、古代からの家族の秘密がこの遺跡の奥深くに眠っているためでした。
その秘密はダイアリーNo.0666に関わるものであり、メアリー皇后がその力を悪用することを恐れて祖先たちは遺跡のアクセスを制限したのです。
シュミットはナディアに語り始めました。
「この遺跡は、パリピメロン家の起源との深い関わりがございます。
古代の祖先たちは私たちの血統に伝わる特別な力や知識をこの遺跡に封印しました。
その力は悪用されれば世界に大きな災厄をもたらす可能性があるとされてきました。
そのため祖先たちは「呪い魔法のダイアリーNo.0666」の力を守るためだけでなく、クセ者が容易くアクセスできないように遺跡に鉄扉を設けました。
しかしケセラのような特別な能力のある存在は例外で、彼女は祖先の許可を得てこの遺跡ルートを使わなくても自由にダイアリーの世界を往来できるのです。」
ナディアは興味深そうに耳を傾けました。
「つまり、この遺跡には私たちの家族の過去や力が封じられているということですね。
その力を手に入れれば、メアリー皇后にも対抗できるかもしれませんね。」
シュミットは微笑んで頷きました。
「その通りです。この遺跡パリピメロン家にとって未知の可能性を秘めています。
しかし力を手に入れることは容易ではありません。
遺跡の中には多くの試練が待ち受けており、貴女の知恵と勇気が試されることになるでしょう。」
ー☆☆☆ーーー
「しかし……シュミット、貴方はなぜこのルートがある事を知り、そしてこのパリピメロン家の称号のある鉄扉の鍵の在り処さえも知っていたのですか?」
ナディアがシュミットに詰め寄る。
シュミットは暫く無言で黙り込んでいたが、何故か意を決したように語り始めるのだった。
「実は…」
シュミットは口ごもりながら、過去の出来事を思い出しました。
「若かりし頃、私とマウリシオはこの遺跡を偶然見つけました。
当時、私たちはまだ若く、冒険心に満ちていたのです。皇后メアリーにこの入り口の存在を伝えたとき、彼女は驚きと同時に厳しい顔つきで私たちを見ました。
そしてパリピメロン家の祖先から引き継がれた鍵を持ち出して、厳かな表情で語り始めたのです。
『この鍵はパリピメロン家の宝であり、遺跡の入り口の扉を開くための鍵だ。しかしその中には危険が潜んでいる。
誰もがこの遺跡の中に入ることは許されず、この鍵を持つ者も例外ではない。もしこの遺跡に足を踏み入れれば、決して外の世界に戻ることはできない。その選択をするのは君たち自身だ!』
私はパリピメロン家の祖先の警告を真摯に受け止めましたが、マウリシオは若さと好奇心に駆られて入り口に向かいました。
彼は一人で遺跡の中に入り、その結果、この奇妙な世界の住人として一生を過ごすことになったのです。
私はその後、皇后の命令に従い、この秘密を誰にも口外せず、この遺跡の存在を忘れるよう命じられました。
しかし今回の出来事で、その過去が再び私たちの前に姿を現したのでしたーーーー」
シュミットの話をナディアは訝しげに思い質問する。
「でも、マウリシオが我々にこのルートを通過させる事で、我々もマウリシオと同じ運命となってしまうことはないのでしょうか?」
不安なナディアがシュミットに聞き出します。
「パリピメロン家の血筋であれば大丈夫ですよ。
しかし……私はよその家から来た執事なので、ここまでのご案内となります。
くれぐれもこの遺跡ルートの中の世界で様々な試練が襲いかかるかと思いますが、あなたならきっと大丈夫だと思われます。」
シュミットはナディアの不安を理解し、優しく微笑みながら言いました。
「ありがとう、シュミット。私はあなたの言葉を信じます。
この遺跡の中で何が待ち受けているかわかりませんが、一緒に乗り越えましょう。」
シュミットは彼女の手を取り、優しく握りしめました。
「ナディア様、勇気を持って進むのです。そしてこの遺跡に秘められた魔力を駆使し、パリピメロンの過去と思い切り向き合うのです!」
ナディアはシュミットに見送られながら、そのまま遺跡の入り口に向かうと、未知の世界へと足を踏み入れていった。
ー☆ーー☆☆ー
ナディアはたった一人でこの真っ暗闇の遺跡ルートを通過し始めると、過去の彼女と母親メアリーの辛い試練の日々を思い出すのでした。
ナディアは暗闇の中を進む。足元には古代の石畳があり、その先には見えない闇が広がっていた。
彼女の心は思い出に引きずられ、過去の出来事が次々と蘇ってくる。
彼女は母親メアリーとの辛い試練を思い出す。
彼女がまだ若かった頃、メアリー皇后は厳格な教育と訓練を課し、彼女を完璧な後継者にしようとした。
毎日のように厳しい試練が待ち受け、失敗することを許されなかった。
ナディアは孤独とプレッシャーの中で成長し、母親への反発心と同時に彼女への理解も求めていた。
そしてその中でナディアは自らの力や信念を見つける。
メアリーの期待に応えようと努力する一方で、自分自身の道を切り開こうとする決意を強めていく。
彼女の内なる闘争は深く、時には自信を失うこともあったが、母親の厳しさの中にも愛があることを理解し始める。
闇の中でナディアは、自分の過去と向き合いながら、前に進む決意を固める。
母親の影響や過去の試練は彼女を形作った一部であり、今こそその経験を活かして遺跡の試練に立ち向かう時が来たのだと感じた。
そしてメアリーはこの遺跡ルートの中であることに気づく。
もしかしたらこの試練は母親メアリー皇后が自分の忍耐や精神力を試しているのではないか、と。
そしてナディアは更に真っ暗闇の中でルートをすすんで行くと、いきなり辺り一面が花畑の世界に飛び出した。
そこにはたくさんの妖精たちが飛び交っており、口々にナディアの悪口や予言めいたことや、パリピメロン家の秘密についての内容などをナディアの耳もとで飛び交いながら呟いてナディアを混乱させます。
彼女は驚きと同時に、この試練が自分だけでなく母親にとっても意味深いものである可能性を考え始める。
そのとき、突然辺り一面が花畑の世界に変わった。
色とりどりの花が咲き乱れ、妖精たちが舞い踊る姿が目に入った。
しかし妖精たちの口からはナディアに対する悪口や予言めいた言葉が次々に飛び出し、ナディアの耳に届いた。
「パリピメロン家の血筋は堕落している。」
「遺跡の力を手に入れれば、世界は破滅する。」
「あなたは母親の影に隠れた弱い者だ。」
「真実を知ることはあなたにとって苦しみだ。」
ナディアは錯乱状態し、妖精たちの言葉に惑わされそうになるが、彼女は心を落ち着かせる。
彼女はこれらの言葉が試練の一部であり、自分の信念と強さを試されていることを理解した。
彼女は母親や家族の過去に立ち向かい、自分自身の道を見つけ出す覚悟を決める。
すると次のステージへと妖精たちに案内されると、そこには大勢の過去に悪事を働いた妖精たちが捉えられている牢獄に案内されるのでした。
その妖精たちも口々にパリピメロン家の事を妬む誹謗中傷をナディアに洗脳しようとするように脅します。
ナディアは次のステージへと妖精たちに案内されながら、そこには過去に悪事を働いた妖精たちが捕らえられている牢獄があった。
彼らはナディアに対し、悪意に満ちた視線を送りながら口々にパリピメロン家に対する誹謗中傷を繰り返した。
「あなたの家族は優越感に満ちた虚偽の王族だ。」
「パリピメロン家の血筋は汚れている。」
「我々はあなたの家族の邪悪な行いを知っている。」
彼らの言葉はナディアの心を揺さぶり、彼女の自信を揺るがせる。
しかし彼女は自分の信念を取り戻し、彼らの言葉に惑わされることはなかった。
彼女は毅然と立ち向かい、自分の家族や家の誇りを守る決意を固める。
「あなたたちの言葉に惑わされることはない。私の家族は誇り高き者たちであり、過去の過ちを乗り越え前に進んできた。
そして私もその一部であり、彼らの名誉を守る責任がある。」
彼女の言葉は妖精たちの心を打ち破り、彼らは彼女の強さと誇りに感銘を受けた。
彼らは敬意を示し、彼女を次の試練へと案内する。ナディアは決意を新たにして、前に進んでいくのだった。
///to be continued!!!☆☆☆




