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第41章

アッハ国王の命によって「呪い魔法のダイアリー」の謎を解き明かすべく、ジョルノ公爵の息子のジェノべに代表権を与えると、オレガド王国の皇后様の娘であるナディアの宮殿へと旅立つのであったーーーー








オレガド王国に入ると、アッハ国王から伝えられたのか、オレガド王国国王からの支援の幌馬車隊が待機していた。






 幌馬車隊がいよいよナディアの宮殿に差し掛かった頃、森林の広がる巨大な石造りの正門から暫く石畳の道を奥へと進む。






 壮大な規模の宮殿か目前までとなった頃、ジェノべはあることに不思議に思うのだったーーーー






それというのも、ナディアの宮殿の敷地面積のことだ。






 アッハ国王の宮殿の規模を遙かに上回るばかりか、オレガド王国国王の宮殿をも遙かにしのぎ、場所の馬引きの話によると200倍の敷地面積に相当すると第一村人が言っていた。





 ジェノべは不思議に思いながらも、ナディアの宮殿への興奮が勝り、その巨大な宮殿に足を踏み入れた。






 ナディアは優雅なドレスに身を包み、笑顔でジェノべを迎えた。






「ようこそジェノべさん。アッハ国王の使者として私の宮殿へお越しいただき光栄ですわ。」






ジェノべは謙虚に頭を下げ、その宮殿の謎について尋ねると、ナディアは微笑みながら語り始めた。






「この宮殿はパリピメロン家が代々築き上げたものよ。


 我が家は古くから魔法と芸術に満ちた歴史を有しており、その中でも特に呪い魔法に関わる秘密が守られてきたのです。」






ナディアは続けて語り始めた。






「数世代前、我が先祖は呪い魔法のダイアリーに封印された力を制御し、この宮殿を創り上げたの。


 そして、代々伝わる言い伝えによれば、この宮殿は魔法のバリアによって不老不死の存在となり、私たちの一族は栄え続けてきたわ。」






  ジェノべは興奮と驚きが入り混じった表情でナディアの話に聞き入っていた。ナディアは誇らしげに続けた。






「そして、パリピメロン家はその力を悪用せず、美と知識を広めるために努めてきた。


 私の使命はその伝統を守り、アッハ国王との協力によって呪い魔法のダイアリーの謎を解き明かし、平和を守ることなのよ。」






ジェノべは深く頷き、この宮殿の歴史と使命に感銘を受けながら、アッハ国王の娘ターシャの救出のためにも毅然と立ち上がる覚悟を固めたのでしたーーーー 








ーー☆☆ーー



ダイアリーの謎を解き明かす本題についてジェノべはナディアに切り出すのだった。





 ナディアが何故かそれをはぐらかそうとするような仕草を取ったことに疑問を憶えるや、その真相解明を開始するのであった。





ジェノべは慎重に口を開いた。



「ナディア様、ダイアリーの謎についての真相をお聞きしたいのですが、お話の中でそれに触れられていませんでしたね。」






ナディアは微笑みながら、うまくはぐらかすように返答してみせる。






「ジェノべさん、その謎は非常に複雑でして………いつか時間をかけて慎重に解明していく必要がありますわ。


 ただし、それには私たちの協力は不可欠です。


 宮殿内には古代の書物や魔法の手がかりがたくさん隠されています。まずはそれらを調査し、共に解き明かしていくことが大切ですわね。」






ジェノべは少し不安げな表情で言った。






「しかしですね、ダイアリーの謎の一件はアッハ国王の嘗ての頼みでありまして、迅速な解明が求められています。


 ナディア様、あまり遠回しに逸らすことなく、お願いですから真実を知ラせて下さい!」






ナディアの表情が一瞬にして変わるや、深いため息をついた。





「ジェノべさん、私はこの謎をあなたに隠すつもりなど御座いませんのよ。


 ただしですね、解明には慎重さが必要で、全てを一度に話すことはできません。


 この宮殿には私たちの過去にまつわる秘密の伝承が数多くありますので、見極める必要性があるのです。」





ナディアの言葉に我に返ったジェノべか彼女に理解を示す。





「では、少しずつでもいいです。どこから始めればよいのでしょうか?」





 そう尋ねるジェノべにナディアは微笑み返し、お互いに協力し謎を解明するミッションか始まろうとしていたのだったーーーー








☆☆ーー☆ーー



 星が見事なナディアの宮殿。




 その夜からジェノべはナディアの要望で今回の謎解きが終わるまで宮殿に宿泊することとなった。






 此処の宮殿の執事の中でも最も長老なシュミットがジェノべの担当となりました。






 彼はナディアの母親である皇后様の担当をかつてはしていたと聞くや、彼から皇后様とナディアの不思議な話を聞かされました。






シュミット: 「ジェノべ殿、ようこそお越しいただき、宮殿にご宿泊いただきありがとうございます。」






ジェノべ:「今日からお世話になります、宜しく。このダイアリーの謎について色々とお聞きしたいのですが、どう進めていくとしましょうか、良いアドバイスいただけませんか?」





シュミット:「まず、皇后様のお話から始めましょうーーーー


 かつて私が執事を務めていた時、彼女は宮殿の奥深くにある図書室でいつも、古代の様々な魔法の研究をしておられました。


 そしてナディア様もまた母親の足跡を追い、その研究を継承してきたのであります。アッ、この事はどうぞご内密に。ナディア様に叱られてしまいますので……」





ジェノべ:「魔法の研究とは具体的にはどのようなもので?」





シュミット:「皇后様は古代の呪い魔法に関する書物を愛読し、その知識を深めていました。


 そして何か特別なものがこの宮殿に封じられていることを感じ取り、その力を利用して富を築き上げたようです。」





ジェノべ: 「それがダイアリーに隠された謎の件に繋がってくるのですね。」





シュミット:「はい作用で。しかし皇后様はその力を慎重に扱い、後継者にはその秘密を伝えることを避けてきました。


 ナディア様も母の教えに従い、その力の正体について大分後々まで知らされないままに育ってきたのであります。」






ジェノべ: 「では、なぜその後謎を解き明かそうとしてきたのでしょうか?」






シュミット: 「それは……何よりも時が迫っていると感じているのでしょう。


 皇后様の研究によれば、その力には制限があるようでして、その制限を乗り越えるためには特定の時期が必要なのだそうです。」






ジェノべ:「なるほど。では一緒に協力してその辺りから謎解きをしていくことにしましょう。」






シュミット: 「お言葉に従わせていただきます。皇后様とナディア様のためにも、そしてこの宮殿の未来のために。」








ーー☆☆☆☆ーー



そしてシュミットとの話が「呪い魔法のダイアリー」の話に到達すると、彼は急に青ざめ、口ごもるように呟くのであったーーーー






ジェノべ: 「シュミット、一体どうしたんですか?」






 ジェノべの問いかけにシュミットは青ざめたまま、グッタリとしている。






シュミット: 「あ、あ、あのダイアリー… 実はそれがもともと皇后様の手にあったものではなく、なんとナディア様の先祖であるパリピメロン家の創始者が持っていたものだったのです。」






ジェノべ: 「なぜそのような?」





シュミット:「パリピメロン家の創始者は、富のパワーを手に入れることで国を守り、繁栄させることを望んでいました。


 しかしその力には大きな代償が伴い、彼は最終的にその力に取り込まれてしまったのです。


 皇后様はその後、その力を抑えるためにダイアリーを手に入れ、宮殿を今日まで伝承するに至ったのですーーーー」







ジェノべ: 「つまり、そのダイアリー自体が呪いの根本だったんですね。」







シュミット: 「はい作用で。しかし皇后様もその呪いを完全に解くことはできず、それが何世代にもわたって受け継がれてきたのです。


 ダイアリーがどのような力を発揮しているのか、まだ正確には分かっておりませんが…」







口ごもるようなシュミットの言葉は突然途切れ、大理石造りの宮殿の中では、急に重い沈黙が広がる。






 ジェノべは不安と興奮が入り混じる気持ちを抱えながらも、新たな展開が待ち受けていることを感じるのだった。








ーーーー☆☆



明くる日からナディアが社交界の元ママ友達といちご狩りツアーに参加することになり、3日間家を空けました。





 シュミットもお暇を頂いたので、彼の故郷のミルゴーニュ地方への旅に誘われた。





 ジェノべも彼に同行し、地方特産のテーズとワインでもてなされると、シュミットが酔いも手伝ってか、過去に執事として皇后様に仕えていた頃の信じられない程の恐るべき本性の事についてつぶやき始めるのでしたーーーー



シュミット: 「ジェノべ殿、このミルゴーニュ地方の美しい風景は、かつての私の故郷です。」






ジェノべ: 「本当に素晴らしい場所ですね。テーズとワインの香りが漂っています。」







シュミット: 「それなら、どうぞお好きなだけ召し上がってください。ここでは美味しいものがたくさんあります。」






ジェノべはおいしいテーズとワインを楽しみながら、シュミットが何かを思い出すような表情を見せた。






ジェノべ: 「どうしたんですか?」





シュミット: 「皇后様のことを思い出してしまったんです。昔は本当に信じられないようなことが…」






ジェノべ: 「どのようなことがあったのですか?」






シュミット: 「彼女は社交界では優雅で知的な女性として知られていますが、実は…彼女は酔うと、とても恐ろしい本性を現わすのです。」






ジェノべ: 「本性?どういうことですか?」






シュミット: 「酔うと、何でも知っているかのように振る舞い、誰に対しても容赦ない非難の言葉を浴びせるんです。


 それはとても皇后様とは言えませんが、その悪魔の形相があの時私にも降りかかり…」






ジェノべ: 「それは驚きです、私にはとても信じられません。もし、それが本当ならば、社交界での彼女のイメージとは真逆ですね。」






シュミット: 「ですが、彼女はそれに気づくことなく、朝になれば何も覚えていないかのように振る舞うんです。」






ジェノべ: 「信じがたい話ですが、なぜそれを貴方は突然、今話すことになったんでしょうか?」






シュミット: 「昨日のダイアリーの話で、何かがずっと引っかかっていまして…… 思わず口に出してしまったのでしょうね、私としたことが。」






ジェノべは驚きと疑問を抱えながらも、これからの謎解きがますます難解になってゆくだろうことを気付かされるのであった。








ーー☆ーー☆☆



 ジェノべは皇后様の育ったパリピメロン家と伝承され続ける「呪い魔法のダイアリー」のもう少し突っ込んだ話を、チャンスとばかりにシュミットに迫り始めたーーーー






 すると酔いが更に増したシュミットは、すべて暴露するかの如く、絶え間なく話し始めたのであったーーーー






ジェノべ: 「シュミットさん、もっと詳しく教えていただけますか?パリピメロン家と「呪い魔法のダイアリー」の伝承について。」






シュミット: 「ああ、パリピメロン家… 彼らは力強くもろく、そして何よりも欲望に満ちた家系でした。


 ダイアリーの力に取り憑かれた先祖が、その力を手に入れる代償として、一族に伝わる呪いが生まれたんです。」






ジェノべ: 「呪い?それは一体何なのです?」






シュミット: 「詳細は伏せられていますが、ダイアリーに封じられた力は、その持ち主に対しても、不幸や苦痛をもたらすものだったとされています。


 何代にもわたって、家族はその力との戦いに苦しんできました。


 そして皇后様も、その呪いの影響を受けながら生きていたのです。」






ジェノべ: 「それは…本当に大変そうですね。」





シュミット: 「はい作用で。しかし、皇后様はその呪いを打破しようと研究に余念がありませんでした。


 いつかダイアリーの秘密を解き明かし、その力を制御できるようになることが、家族の負の歴史にとって終止符を打つ為の唯一の手段だ、と心から信じていたのでしょう。」






ジェノべ: 「それが彼女がダイアリーの謎を解く本当の理由なんでしょうね。」







シュミット: 「はい作用で、でも… その過程で何が起きるかは、未だに誰もが分からないままなのです。


 力強くも、もろい一家の歴史が今後どのように繋がってゆくのやら…」






シュミットは大分酔いが増し、口ごもるようになりながらも、皇后様とパリピメロン家の呪われた過去について明かし始めました。

   





 ジェノべはその驚くべき真実に、ますます深みに引き込まれていったのでしたーーーー








///to be continued!!!☆☆☆




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