第3章
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数日後ターシャはこともあろうに女王から呼び出された。彼女は女王が宝石を盗んだ一件について問い詰めるつもりと勘ぐっていたのだが、その実そんな生半可な内容ではなかったのだーーーー
「ターシャ、そこへお座り。あなたは先日の宝石を盗んだ一件で気に病んでいるようですが、その事はベルリーナの采配で全て戻ってきたからもうおしまい。 誰に似たのですかね!よりにもよって…少なくても王様ではない筈だから、きっと貴方のお母様のせいね!
女王の言葉に戸惑いながらも、ターシャは深呼吸しました。彼女は女王の厳しい性格をよく知っており、このまま逆鱗に触れることは避けたいと思いました。
「女王陛下、私の母は関係ありません。私は宝石を盗んでいません」
ターシャは静かに答えました。 女王は笑顔を浮かべ、その美しい王冠を少し傾けました。
「あら、それは良かったわ。私はあなたを疑っていなかったわ。ただ、私の予感があってね。」
ターシャは不思議そうな顔をしました。
「予感、女王陛下?」
女王は深いため息をつきました。
「それでは、ターシャ。実は私にはひとつお願いがあるのよ。」
ターシャは驚きました。女王からのお願いは滅多にあるものではありません。女王は更にターシャに意地悪な質問で苦しめました。
「ターシャ、もしもあなたが女王になることができるとしたら、どのような国を築きたいと思いますか?」
ーーーーさすがのターシャにも驚きを隠せない様子は鮮明となる。
「女王陛下、そのような考えはまったくありませんでした。ただ、この国が平和で繁栄し、国民が幸せであることを願っています。」
「あら、それは素晴らしいことね。でも、もしあなたが王になるなら、何を優先するか教えてくれないかしら?」
「まず第一に、法の下の平等を確立し、貧富の差を縮めることです。また、国民の教育へ関心を広げ、国内外の文化を尊重する社会を築きたいです。」
「なるほど、それは立派な目標ね。でも、あなたはそのためにどのようにしてリーダーシップを発揮するおつもり?」
「私は国民と共に努力し、リーダーとしての責任を全うします。また、賢い顧問団を組織して多くの貴族階級からの意見を取り入れることで、より良い国を築くために努力します。」
「それは良い考えね。あなたは賢明なリーダーになりそうだわ。」
女王の意地悪な質問にも応えたターシャは、自分の理想と信念を明確に示しました。女王の懸念も解消され、彼女はターシャに対する信頼を深めました。 ターシャと女王が関係を修復したのを知って、侍女たちは、何故か急にターシャの言うことを聞くようになりました。そのその後事態がまさかベルリーナとの義理ながらも親しい姉妹の関係が崩壊する事などこの時点ではターシャは知る由もなかったがーーーー
ターシャの周りの侍女たちは彼女に対して気を使い、礼儀正しく接しました。女王との関係が修復されたことで、ターシャは宮廷での地位と影響力を増していきました。その間、ベルリーナとの関係については何も変わっていないように見えました。彼女たちは依然として親しい姉妹として過ごし、宮廷の中で笑顔を見せていました。ところが事態はじわじわと変化し始めました。 それからというもの宮廷の中では例の噂が広まり始めました。ベルリーナが宝石の盗難事件について女王に陰口を叩いているというのです。これによりベルリーナと女王の間に新たなる緊張が生まれ、宮廷内の空気が冷え込んでいきました。 ターシャはこの情報に驚き、姉妹が対立していることを知りませんでした。彼女はこの事態を穏やかに収める方法を模索し、家族の絆を保つために尽力することを決意しました。ベルリーナはそんなターシャに強めな口調で言い放ちました。
「ターシャ、貴方のせいで私までも泥棒の片棒を担がされたのにお礼の気持ちもないのね!お母様の機嫌を治すまでアタシがどんなに苦労したか…あなたお判り?」
「そうね、ベルリーナ。私がどんなに貴方を悩ませたか計り知れませんね。ゴメンナサイ。」
「そう、いいのわかってくれれば。そうだ、ちょうど良い、貴方のお母様の話聞きたくない?そろそろあなたも良いお年頃だから聞かせても分別がつきますわね。貴方が小さい頃にあなたを置き去りにしてあなたのお母さんはこの地から他の国へと出ていかれました。残されたあなたの身を憂いた国王は、程なくして次なる妃を貰うことになったのです。隣国からの未亡人で子連れの私のお母様がその座に選ばれたのですが、お母様は私達よりも貴方のことをとっても溺愛なさりました。 それは私と兄アーサーが貴方に嫉妬するほどに…実は兄のアーサーは、お母様が友達から託された子供で、本当は私とも血のつながりは御座いませんの。そのせいもあって彼から留学の話が始まるや、それからトントン拍子に話が進むと、海外の寄宿学校に自ら進んで留学されたのです。」
ターシャは母が私を置き去りにして失踪したこと、気になっていたアーサーの真実をこのとき初めて知ったのでしたーーーー
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ベルリーナの言葉に、ターシャは驚き酷く傷付きました。混乱の気持ちの中でさらに耳を傾けました。彼女は母の失踪とアーサーの秘密についてまったく知らされていませんでした。
「待って、悪い冗談よね……本当にそのようなことがあったなんて、私の母が失踪し、アーサーが本当の兄ではないなんて…」
「はい、そうよ。母がこの国から去ったこと、そしてアーサーが友達から託された子供だったことは、貴方が大きくなるまでは伝えない、と、私と兄で秘密にしていました。」
ターシャは言葉に詰まりました。これらの驚くべき真実は、彼女の人生観を揺るがすものでした。そして、彼女は母の行動やアーサーへの優遇について新たな理解を深めました。
「これは本当に驚きで言葉も出ません。しかし、なぜ今の状況で、これを話すのですか?もう私の頭の中は混乱しています……」
「私たちは、それでも家族なのです。私はあなたと母との仲を修復したいし、アーサーにも真実を伝えるべきだと思ったの。
そして、あなたが大人になり、これらのことを理解できる年齢に今日、達したからなのです。」
「あ、そういえば今日は私の20歳の誕生日……でも、こんな誕生日なんて悲しい……」
ターシャはしばらく考え込みましたが、姉妹の絆を取り戻すためにも、これからの道を共に歩む覚悟を決意したのでした。
その後どんな酷い未来が彼女に待っているとも知らないまま……。
///to be continued!!!☆☆☆




