第2章
「きっとこの宮廷の王家には多くの謎と家族の秘密 があるに違いないのね…」
ターシャは宮廷に迷い込んだ事を悔やんでいた。
そこに風のように現れたベルリーナの兄のアーサーのことが、しかし何故か気にかかる今日此の頃であることも真実ではあったーーーー
彼女は傍らのベンチでアールグレイを嗜むベルリーナに問いかける。
「ねぇベルリーナ、私にもわからないのだけれど、一体私は何の罪に問われているのでしょう?」
ベルリーナはターシャの言葉に信じられない様子で向き直る。
「ターシャ、貴方この間から変なことばかり言ってるけど、どうしちゃったのよ。
あなたは罪になんか問われてはおりません。全て風のうわさーーーーきっとお母様の嫌がらせなのよ!」
そう云うやターシャに手を差し伸べた。ターシャは尚も質問する。
「でもベルリーナ、私は何で王女からも侍女たちからもこんなにも嫌がらせを受けなきゃならないの?私が一体何か悪いことでもしたというの?」
するとまたもや戸惑いを隠せない様子のベルリーナ。
「だってそれは…貴方と私がお母様の宝石を勝手にアンティークショップに売りに行ったからじゃないの?
私は彼女たちの噂を聞いて慌ててアンティークショップに向かったところで貴方を見つけたのよ。まさか貴方…」
そう言うとベルリーナは引き寄せたターシャの手を振りほどくや、何故か部屋の外へと駆け出してゆくのであった。
ターシャはベルリーナの言葉に驚き、そして恥ずかしさと驚きの入り混じった表情で立ち尽くしました。
「それじゃアーサーもこのことを知っているの、ベルリーナ?それに、私たちは本当に宝石をアンティークショップに売ったの?」
彼女は自分の記憶があいまいで、混乱していました。
ベルリーナはドアの外に立って、ふり返って言います。
「ええ、アーサーのことも知っているわ。母には内緒で、私たちは宝石を売りに行ったんだから。
でも、なぜこんなことが明るみに出たのかしら?」
彼女の声には混乱と焦りが感じられました。
ターシャは戸惑いながらもベルリーナに追いかけるように部屋を出て、彼女の肩をつかみました。
「ベルリーナ、待って!私たちは何かを見逃しているはずだ。このままでは何も解決しないわ。アーサーが突然留学先から戻った事についてももっと知りたいし、この宝石のことももう少し詳しく話してくれない?」
ベルリーナは深呼吸をし、ターシャの側に戻ってきて手を取りました。
「ターシャ、私たち義理の姉妹だけど力を合わせてこの謎を解かないといけないのよね。
アーサーのことや宝石のこと、そして母の隠された秘密。何だかそれらがすべて繋がっているような気がするのよ。どうやって調べ始めたら良いの?」
ターシャも頷きながら言いました。
「まずはアーサーのことを調べないとね。彼がなぜここに現れたのか、そして何が起こっているのかを知る必要があるわ。
そしてその後、宝石のことも詳しく調べよう。母の隠し事を暴く時が来たみたいね。」
二人は協力して謎を解き明かし、家族の秘密を明るみに出す決意を固めました。
ー☆ー☆ー☆ー
その日からターシャは侍女たち一人一人に変な質問を問い詰める日々が続いたのでした。
「貴方どこで私が宝石を盗んだって聞いたの?」
「あら、あなた本当にお母様の宝石を盗んだのね!」
「いいえ、そういうことじゃなくって、誰からこの情報を知ったの?」
「それは……いいえ、言えないな。だってもしその事を私がバラしたって事が皆にバレたら仲間外れになってしまうもの。そうよ、昔あなたが私になったようにね!そうねぇ、貴方好い気味よね、フフッ!」
侍女たちに聞いてみても皆一様に断られてしまう。 どうやら私はこれ迄、彼女たちにどれだけ多くの意地悪をしてきたのかに、改めて気付かされるのだったーーーー
しかし……ターシャにとって一番の気がかり、それは全てを知っている筈の立場であるベルリーナが、私のことを知らぬ存ぜぬで決め込んでいる事だった。
きっと彼女には私に言えない何か重要な事を隠しているに違いないと思うのだったーーーー
///to be continued!!!☆☆☆