第13章
メチルとザマンサにダイヤリーの内容よりももっと重大な懸念事項が降りかかろうとしていた。
旧友ザマンサがメチル王女に先程侍女ミッチがスラスラと呪われたダイアリーを読み上げたことに興味を引かれていた。ザマンサがメチルに呟く。
「何故私達それぞれの王国の言語でもない呪い魔法のかけられた文章を、あの娘は流暢に読み上げることができたのでしょうね?
もしかしてあの娘は特殊な能力を持ち合わせているのかも……」
ザマンサの不思議な話に耳を傾けるメチルは驚く。
「嫌だ、気色悪いことおっしゃらないで!きっとあの娘の出身地の言語なのよ。日常生活で使っていなければあんなにスラスラと読めるわけ無いじゃない!」
ザマンサが訝しげに遮る。
「そうかしら?もし、もしもよ、あの娘が魔法使いの血統だとしたら……
もっと凄い事ができちゃう筈よね。」
メチルがまたまた驚き目を丸くする。
「凄い事?それって何なの?」
ザマンサが返答する。
「嫌だ、私にわかる訳ないじゃない。例えば誰かの運命を変えることが出来ちゃったりして…」
メチルが飛び上がらんばかりの形相で、
「そ、そんな恐ろしいことがあの娘にはできちゃうの?ヤダ!」
意地悪そうな目つきでザマンサが嘲笑うように言う。
「だから〜、例えばの話よ。そしてね、此処にいる誰かとくっついてこの国を支配しちゃったり!フフッ。」
メチルは同様し青ざめ始めてゆく。
「何よそれ、そんな事になったら大変なことになるじゃない!」
ザマンサは尚も続ける。
「でもね、大丈夫。このオレガド王国はあんな小娘如きには乗っ取れないわ!ほら、あんなに可愛らしい仕草のあの娘がそんな事するはずないじゃない……」
「そ、そうかしらね。でも気をつけたほうが良さそうね。」
ザマンサとメチルの会話は興味津々にヒートしていった。
ザマンサは微笑みながら言った。
「でも、魔法使いの血統が本当だとしたら、ある意味彼女は私たちが想像もしないような素敵な力を持っているかもしれないわよ。
彼女の能力を知ることは、私たちにも何か役立つことがあるかもしれない。」
メチルは考え込んだ後、
「確かに、私たちの王国には安全な仕組みがあるけれど、他の王国ではそうじゃないかもしれないわ。
彼女の力が誰か悪用する可能性もあるし、私たちはそのことを警戒しなければならないでしょう。」
ザマンサは深くうなづいた。
「そうね、気をつけなければいけないわ。そして、彼女についてもっと知る方法を見つけなくては。」
この謎めいた魔法のダイアリーを巡る状況が、ザマンサとメチルを新たな旅に導くことになるのかもしれないーーーー
ー☆☆☆ーーー
不安な二人の心境が続く中で、尚も今宵のダンス大会は盛り上がりを増して続くのだったーーーー
噂の侍女ミッチが今度はイケメン・ハンクスと仲良さげに踊るのを見つけると、ザマンサが動揺する。
「ね、ねぇメチルったら、あれ見てよ!とうとうあの魔性の女がウチの息子をたぶらかし始めたわ!どぅしましょう……」
メチルが横目でニヤニヤしながら呟く。
「アナタ何言ってんのよ?いつからあの娘が魔性の女になったのかしら?魔女ならわからなくてもないけどね、フフッ!」
「な、何がおかしいのよ。魔女ならもっと酷いじゃないのよ!ウチのイケメン息子が食われちまうかもしれないじゃない!」
ザマンサの泣きそうな顔に思わずプッと吹き出すメチル女王。
「何よもう、落ち着きなさいよ。貴方のイケメン息子は食べ物ではありませ〜ん!」
その言葉に我に返るザマンサ。
しかしいよいよあの魔女がお近づきになったことでこの国の未来は大変なことになるだろうとザマンサ不安に思うのだったーーーー
ザマンサとメチルは今宵のダンス大会で、ミッチとハンクスが楽しそうに踊っているのを見つめて不安に思いながらも、やりとりを続けていた。
ザマンサ:「でも、メチル、ミッチとハンクスが仲良さそうに踊っているのを見ると、何か心配になるわ。」
メチル:「まあ、あの娘は魔女じゃないし、ハンクスは大丈夫よ。彼はしっかり者だし、自分を守れるわ。」
ザマンサ:「でも、彼女って何者なのかしら?私たちは彼女のことをよく知らないし、彼女が何をたくらんでいるのか心配なのよ。」
メチル:「そんなに不安に思う必要はないわ。彼女が何か悪さをするとしたら、私たちが注意深く見張ることができるわ。」
ザマンサ:「でも、メチル、これからの日々がどうなるかわからないわ。この国の未来が大変なことになるかもしれないって、本当に心配なのよ。」
メチル:「あなたも落ち着いて。私たちは一緒に立ち向かう方法を見つけることができるわ。未来は明るいものにできるはずよ。」
不安と興奮が入り混じるこの夜、ザマンサとメチルは共に未来に立ち向かう覚悟を決めるのだった。
ー☆ー☆☆ーー
しかしどうやらザマンサの不安感は的中したようだ。
踊り続けるイケメン息子・ハンクスの様子がおかしい。
瞳はうるみ、侍女で魔性の女ミッチとの距離感が明らかに縮まっている。
ザマンサは再びグスングスンとべそをかきはじめる。
涙で化粧が崩壊したザマンサの荒れ果てた様子に思わずポッカリと口を開くメチル。
こうなっては誰にも止められない筈。
そんな事も露知らず、魔性の女は最初より大分上達したステップで軽やかで華麗にハンクスを魅了してゆく〜〜〜
ザマンサの不安感が現実のものとなり、ハンクスの様子がますますおかしくなる中、メチルは無力感を感じながらも驚きを隠せず、魔性の女、ミッチの踊りを注視していた。
メチル:「あら、あの娘、踊りがますます上手になったわね。」
ザマンサは泣きながら叫んだ。
「ど、どうしてこんなことになったのよ!私たちのイケメン息子を取り戻す方法はないの?」
メチル:「落ち着いてザマンサ。今は冷静になるべき時よ。」
魔性の女ミッチは華麗なステップでハンクスを魅了し続け、二人はダンスフロアで目立つ存在となっていた。
その場にいる人々も二人の踊りにもう釘付けで、何か異常なことが起きはじめていることに気づいていなかった。
未来の展望はますます不透明となり、ザマンサとメチルはどのようにしてこの状況に立ち向かうかを考える必要があるようだ。
///to be continued!!!☆☆☆




