4)証拠
スレイとアスとライとフィデリア様と。場違いなはずのうちも一緒に執務室で、書庫の管理官様を囲んだ。
「コンスタンサ、君の言葉に思いついてね。現宰相閣下の領地や屋敷を調べたら、色々と面白いことがわかったよ」
ウーゴ様が広げはったのは帳簿や。
「いろいろと不審なものを仕入れていた。かの宰相閣下は、領地を管理している者たちに色々と強いていてね。いくつかの盟約をした。これらの帳簿と引き換えに、彼らに新しい領主を与えることも約束をしている」
先の先まで決まってきてると思うと、もうこの騒動の終わりも近いんやろう。
「これだ、ここ。これは毒物だ。フロレンティナ様がお亡くなりになる前に仕入れている」
大きく息を吸い込んだライの手をうちは握った。スレイも身を乗り出していた。
「フロレンティナ様の件、当時を知る薬師も見つけた。彼は、何かがおかしいと思っていたそうだ。彼の知る毒物ではないが、なにかの毒物かもしれないと、記録を残し、今も保管している。薬師はフロレンティナ様が口にされるもの一つ一つを全て監視していた。それでもフロレンティナ様の体調は回復なさることなくご逝去された。毒は、食べ物ではなかったんだ。口にされていたものではなかった。女性が肌に塗るクリームに混ぜられていたんだ」
沈黙を破ったのはスレイやった。
「証拠だ。ようやく証拠が手に入った。あの女を始末出来る。母上の敵をとれる」
スレイがライの手をとった。
「ようやくだ」
感極まっとるんやろう二人の目には涙が浮かんどった。
「ありがとう。ウーゴ」
『二度も旅をしてくれた。ありがとう』
スレイとライの言葉に、書庫のウーゴ様が微笑んだ。
「いやいや、儂の手柄ではないのですよ。そもそもはコンスタンサの思いつきだ」
突然出てきたうちの名前にうちは驚いた。
「私の思いつきって」
うちは何も覚えとらんのやけど。
「君は言ったろう。現宰相閣下が職務熱心でいらっしゃらないことに関して。領地がどうなっているだろうかとね。それで見にいったのさ。当時の資金繰りがわかればとね。他にも色々収穫があった。その話もゆっくりしよう。これからいろいろと準備が必要だ」
ウーゴ様、今の書庫の管理官様、先の宰相閣下の微笑みに、獲物を見つけたという声が聞こえた。
「せっかく戻られたのです。我が屋敷の歓待を受けてくださいますわね」
「喜んで」
フィデリア様のおっしゃる歓待が、戦いの前の宴に聞こえた。




