3)でっかい子供たち
辺境伯様のお屋敷に帰ってきてからは、うちは相変わらず、ライのお手伝いをしとる。
「ライの仕事も増えました。コンスタンサ、しっかり手伝ってくださいね」
お兄さんのスレイが帰ってきてからずっと、ライは忙しいそうや。
「色々させておかないといけなかったのですよ」
フィデリア様の思わせぶりな溜息にライは不機嫌になった。スレイとアスが人の悪い顔でライを小突くから、ライがますます臍を曲げるし。仕方ないなぁもう。このでっかい子どもたちは。
「忙しくても、ちゃんと休みや」
うちの一言で、甘えたなライの機嫌はすぐになおったからえぇけど。スレイとアスのお兄さん二人組って、ちょっとライで遊びすぎやで。
スレイは今も公式には行方不明になっとる御方やし。そもそも何年も王国を離れてはったから、ウーゴ様とライがいろいろと手を回しとる。そやからライは忙しいのに。ライで遊ぶのはちょっと恩知らずやね。あかんお兄さんや。
「スレイもアスも、今日明日と、どなたかとお会いになるのではありませんでしたか。色々とご準備やお支度があるのではありませんか。ライを小突いて遊ぶお時間はあるのですか」
本来は、うちがお小言なんか言うたらあかん方々やけど。うちは、フィデリア様に御許可をいただいているからね。
「無いな」
弟をからかう兄は、けしからん態度を一瞬で脱ぎ捨てて、第一王子シルベストレ殿下になった。
「君がエスメラルダの友人というのが、よくわかる気がしますね」
第一王子シルベストレ殿下の腹心兼護衛の顔になると、アスは本当にイサンドロ様にそっくりや。
「さっさと生き返って、お前は妻子を迎えに行って立派な式を挙げないとな」
スレイの言葉に、アスが照れくさそうに微笑む。
うちは、近々辺境伯様の御領地で、大きなお祭りがあるから、貴方もぜひいらっしゃいなというご招待のお手紙をカンデラリア様からいただいとる。きっとそういうことなんやろうなとおもうと、お招き頂いたことがとっても嬉しい。
アスのお嫁さんと赤ちゃんは、赤ちゃんが小さいから長旅は無理やというカンデラリア様直々のお達しもあって、辺境伯様の領地にいはる。アキレス様は新婚さんやのに、王都で一人やから、時々ちょっと機嫌が悪い。
「お前、焦って下手なことするなよ」
せっかく立派な第一王子殿下になったのに。スレイがまた余計なことを言い出した。
「スレイ、あなたに言われたくありませんね。未来の義兄に向かって、何という態度ですか。義弟のくせに」
アスの反撃や。
「あ、悪い。私が悪かった」
素直に謝るのはえぇことやけど。余計なことを言うのはよくない。
スレイ一人に国王陛下をやらせてえぇんやろうか。スレイのほうが国王陛下に向いとると思ったのは、うちの勘違いやったんかなと思えてくる。
クレト爺ちゃんはライをでっかい息子と言うとったけど。うちにはスレイもライもアキレス様も、でっかい子供にしか見えへんかった。




