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2)王宮の書庫管理官をしておられるウーゴ様

 書庫の管理官ウーゴ様も、王国と皇国との関係改善の立役者の一人や。

「私は主に国内の貴族を相手にしていただけだからねぇ」

謙遜してはるんかもしれんけど、十分立派なことやと思う。とくにあの夜会で真真っ二つに割れた貴族を見た後は、あれをかつてまとめはったんやと思うと、むっちゃ尊敬したくなる。それをまた分離させようとする今の王家のあり方には、呆れてものを言いまくりたいわ。言わへんよ。大地母神様から授かった一人一個の命は大切にせんといかんもん。


 まぁ、ウーゴ様は、ライをここに連れてくるくらい危機感ない人やから。尊敬はちょおっとだけしかしてあげへんけど。


 実際に歴史を経験した人からの説明は、本当に勉強になった。書庫にも人が来るようになった。ウーゴ様のお客様やね。書庫の書類にご用事があるかというと、そうでもない。


 ウーゴ様とお客様のお話し合いに、うちが同席することはない。ライは一緒や。辺境伯様のお屋敷で、フィデリア様が呼んでくれはった先生方から教えてもらっとった時と似とるけど、少し違う。


 王国はいびつや。フィデリア様もウーゴ様も書庫にウーゴ様を訪ねてくる人たちも、この王国が抱えるひずみと戦っていはるんやろう。実際に、あの署名のない孤児院への支援は、ウーゴ様とウーゴ様を訪ねてくる人たちのお仕事やった。

「ありがとう。ただ私は、あの御方が大切にしておられたことを、絶やしたくなかっただけだ」

うちの感謝の言葉に、ウーゴ様はそうおっしゃった。


「あの頃は、シルベストレ殿下やライムンド殿下にも、色々とご尽力をいただいていた。私の意地だね」

管理官様の言葉に、ライが悲しげに微笑んだ。

「そうやったの。ありがとう」

『どういたしまして。もう関われないのが悔しいけれど』

悔しげなライの手から石墨を借りた。

『ライのせいやないよ』

今、ライは生き延びんといかんねんから。他人のために何かをしとる場合と違う。


 うちは、この王国のためには、ライが、やなくて第二王子ライムンド殿下が次の国王陛下になるべきやと思う。


 うちなりに精一杯の協力をするために、うちは書庫の掃除を頑張った。ライがここでウーゴ様やウーゴ様のご友人といろいろしている。他の人が来たらややこしいから、事情を知るうちが、ずっとここの掃除担当のほうがえぇはずや。うちもここにおったらライと一緒にウーゴ様に授業もしてもらえるし。ちゃんと掃除して、綺麗にしとったら、移動させられる心配もすくないやん。


 とはいえ、そもそも誰も掃除の仕上がりを確認におへんねんけど。うち頑張って綺麗にしてるのに。最初と比べて、本当ほんまに綺麗にしたのに、見せる相手がウーゴ様とライだけや。つまらん。後は時々いらっしゃるウーゴ様のお客様やけど、全員ウーゴ様とライに用事があって、書庫には用事はないねん。綺麗にしたのに、誰も見てくれへん。仕方しゃあないけど。


 ウーゴ様のお客様には、色々な人が来はった。その中には、フィデリア様のお屋敷でうちとライの先生をしてくれてはった人たちもいはる。


 うちは王宮の書庫で、フィデリア様のお屋敷にいた頃のように、ライと一緒にウーゴ様やウーゴ様のお客様の授業を受けた。ここは王宮や。ライにとっては安心できない人の方が多い場所のはずや。でも、書庫では穏やかな時間が流れた。


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