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1)王弟殿下と王弟妃殿下1

 王国の王都にある大地母神様の神殿で、ライとうちは、結婚のお祈りを捧げることになった。今回は、婚約式とは違って結婚式や。結婚式よ、結婚式。緊張するわぁ。まだ今日は打ち合わせやけど。


「結婚の式典や。神殿は、国王夫婦の式典を執り行ってから日も浅い。基本的に任せとったらえぇ」

うちの打ち合わせにハビエルお祖父様が同席してくれはったのはえぇねんけど。王都の大地母神の神殿の神官様たちに、聞こえるように言いはるから、うち慌てたわ。


 ハビエルお祖父様は前の大神官様やから。神官様たちが緊張しはるとうち思ったんやけど。

「おっしゃいますねぇ」

余裕の表情で笑う神官様たちに、うちが驚いたわ。

「そりゃ、可愛い孫娘の嫁ぎ先の神殿や。少々の重大な仕事を任せたくらいでへこたれる連中は選んどらん」

「調査の最中さなかに、突然すべておまかせをいただけるほどの厚い信頼を頂いておりましたことに、驚かされたことを、昨日のように思い出しますよ」

「そやろ」

神官様のお言葉に、どことなくお小言が混じっるけど。ハビエルお祖父様は悪びれた風もなく、和やかな雰囲気や。


 うちは、ハビエルお祖父様が、突然一座の天幕に現れた日のことを思い出した。


 ほな、この神官様たちが、大神官ハビエル様だった頃のお祖父様に逃げられた神官様たちなんや。紙切れ一枚って皇太子殿下が言うてはったけど、当時は慌てはったやろうに。それにしても、うち、いつからハビエルお祖父様の孫娘になる予定やったんかな。何かいろいろありそうやわ。あとでライに聞こう。


「簡単に申し上げますと、馬車で正殿の真正面に乗り付けていただいて、正殿の祭壇まで真直ぐ歩いていただきます。ライムンド殿下は祭壇でお待ちです。祭壇までいらしていただいたら、ライムンド殿下とご一緒にお祈りを捧げていただき、署名をして、またお祈りを捧げていただいたら結婚の式典は終了です」

あまりに簡単でわかりやすい説明に、うち唖然とした。

「そのあとは、バルコニーから民に手を降っていただいてから、馬車で王宮に戻っていただきます」

「本当にそれだけですか」

びっくりや。信じられへん。あとでちょっと、エスメラルダ様に確認しよう。


「婚姻の式典ですから。大地母神様の御前ではすべての魂は平等です。婚姻の儀式は、誰であっても変わらないのですよ」

本当ほんまにそんなんでえぇの。本当ほんまかな。ハビエルお祖父様が、大神官様として最後に執り行った皇都の大神殿の収穫祭は、ものすごい大掛かりやったのに。


「収穫祭に比べたら、楽なもんやな」

「あれは来賓が沢山いらっしゃいますから。先日は相当いらっしゃったのではないですか」

「そやな。コンスタンサが随分と頑張ってくれてなぁ。助かったで」

「ほう。それは素晴らしい」

ハビエルお祖父様の孫自慢が始まってしまったんやけど。


「神殿は世俗とは無縁です。式典のみを執り行います。高貴な方々は、そのあとからが、本番でいらっしゃるのではないでしょうか」

ハビエルお祖父様に丸投げされるだけあって、賢そうな神官様や。

「その後と、おっしゃいますと何でしょうか」

さっきの神官様の説明してくれはった式典だけで、全部が終わるわけないやんね。やっぱり。


「婚姻の式典で来賓は、式典に参加してそのあと王宮に移動されますから。王宮での行事のほうが、重要ではないかと思いますよ。世俗を離れたものの邪推ですが」

なんとなくうちにも意味がわかった。ここで話し合うより、フィデリア様とエスメラルダ様に相談するほうがえぇよね。


 あとは心配なのは、ライや。この神殿でライの身にあったことを考えたら、ライはここにおるだけで、つらいんとちゃうやろか。



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