リビングデッドとマーダーガール
「じゃあ、行こうか」
「当然のように一緒に登校しようとするな」
母に見送られながら家を出る。今朝の出来事のせいですっかり親公認のカップルみたいな事になってしまった。
「毎朝来るつもりか?」
「勿論」
自称愛妻弁当は美味しいし、正直言ってコイツは美人の部類に入る。人目があるところではいくらコイツでも下手なことはしないし、一緒に居るだけなら悪い気はしないが
「良いお母さんだね」
その言葉に殺意が湧く。コイツの愛情というのは、そういうものだ。
まき姉もそう。女手一つでここまで俺を育ててくれたあの人に手を出そうものなら
「手ぇ出して見ろ。何度死んだって必ずお前を殺す」
死なないってことはそれだけチャンスがあるって事だ。もしそんなことがあったら絶対に逃がさない。
「バカ言わないでくれ」
いきなり喉元を突かれる。が、その手にはいつもの凶器であるナイフは無く、ただの手刀。
「ボクにとって1番は君さ。君以外に興味は無い」
「そうかい」
『動く死体と殺人鬼のカップル』
反吐が出るほどお似合いだ、と自嘲する。
「あ、おはようございます。先輩」
挨拶するなぎさの視線の先を見ると、そこにはまき姉の容が。
「あ、うん……おはよ」
なんだか元気が無い様子だ。どうかしたのだろうか。
「(いや、そうか。そうだったな)」
まき姉には見られちゃったんだったな。俺たちがどう言う関係か。