今日、君を殺した暁には
『ダーメ。秘密だよ♪』
結局その後深月はクラスメイト達にそれ以上の情報は与えず、しつこい追求にもヒラリと躱していた。
「………」
ただ問題なのがそれが無駄に相手の興味を煽る様な言い回しで、当のクラスメイト達は手当たり次第に探し回っていて気がきじゃなかった。
そして放課後。
「何の用だ」
奴は今、1人教室に残った俺を見下ろしている。
「何の用だって、聞く意味あるかな?」
「………」
スッと俺の首に手が伸びる。ああ、また殺される。今日も惨たらしく、ただただ惨めに。それなのに。
「っ……」
俺は抵抗出来ずにいる。
「すっかり従順になっちゃって、可愛いなぁ。そんなに可愛いと」
ついついやり過ぎてしまうよ。
唇に柔らかい感触、挿入される舌、全身を包む体温。
そして、首には鋭い痛み。
思考を完全に鈍らせるそれは俺に第三者の接近という危機を感知させない。
「………ぷはっ……大好きだよ、光くん。んちゅっ、ボクが、今日こそ、んぷ、今日こそ君を」
グチャッ
「殺してあげる。んっ」
「光、いる〜?………って、え」
俺は何も考えられずに、ただただ深月、いや、なぎさと言う名の毒に侵され続ける。
「な、なにしてんの……?」
まるで見せつける様に、ただただ、されるがまま。
離れる唇から銀の糸が、伝う。
「今日、君を殺した暁には……甘い、甘い、愛を捧げよう。ボクの、ボクだけの君に」
そして俺は、静かにそっと、意識を投げ捨てた。