冗長戦隊ジョウチョウジャー!
ヒーローには条件がある!
心に熱き魂を宿していること! そして、心に冷たき魂を宿していることだ!
そんな信念を掲げるジョウチョウジャーに新たな危機が迫っていた――
『なにぃい!? ここをやめるだって?』
赤いカラーを宿した男が小さな部屋で叫んだ。
ここはジョウチョウジャーの事務所、冗長局である。
「はい、辞めさせていただきます」
そう言って白い紙を置いたイエロー。
「くっ……仕方ない!」
冗長と言えど、戦隊の団長は去るもの追わず来る者拒まず!
「また守りたいものができたら、戻ってくるのだ」
「失礼します、団長」
下がっていくイエローに思うことはもうない!
冗長な後ろ髪が引かれることはもうないのだ!
「……三人になっちまったなあ」
団長は不安を漏らす。平和を守るのに不利は必要ではない。
『そだな』
答えたブルーマン。
『大変ですわ』
便乗のピンクウーマン。
「ここは一つ、募集をしてみよう」
ジョウチョウジャーはWebページをデザインし、早急な募集に取り掛かった!
数日後! 一名の応募が!
『よろしくお願いします』
早速、冗長局では団長面接が執り行われていた。
『君は魂を持っているか?』
「はい?」
「熱き魂、冷たき魂」
「守りたい思いはあります! そして悪には冷酷な死も!」
「両方そなわり、最強に見える」
「は?」
「君の加入を認めよう、今日からお前はイエローだ!」
彼の名はイエロー、熱き魂が輝きを与える!
「あ、ありがとうございます、ジョウチョウさん……」
「ん? 違うぞ、ダンチョウだ」
「えっ?」
団長の名前は掟冗長。
しかし、本人はダンチョウと読んでしまっているのである!!
気がつけば団長! その名前は本当となっていた!
「団長、だ」
「は、はぁ……」
不意に冗長局でジリリリと危険信号が発せられる。
『怪物が現れました、車を食べています』
「なんだって! 行くぞ、お前ら! イエローくんも来るんだ!」
冗長局を飛び出ると平和助長バイクに跨り現場に急行する団長!
「イエローくんはブルーのバイクに乗ってくれ!」
「はい!」
車と風を抜き去り、現地に向かう。
爆発音のお出迎えは何度でもある!
まるで音が歩いているかの如く!
「君、何か面白いことはできる?」
「いえ、とくには……」
「なんてこった! くっ、冗長していたばかりに」
「…………」
「冗長していたばっかりに!」
「す、すみません」
ブルーマンの運転で団長に追いつくと作戦会議が始まる。
「紅茶はあるかな?」
「ありはしない!」
「そうだろう」
団長は片手運転で危険を助長していくスタンス!
「本当はいらない、ただ冗長したかったんだ」
現場に着くとそこは大惨事だった。
燃え盛る車が亀のようにひっくり返り、瓦礫のうさぎが動かずに身を潜める。
この悪路は地獄送迎バスと仮定してもおかしくない!
『そこまでだ! 怪人たちよ!』
団長の声に気づいた怪人二人組が破壊活動を続ける!
「そこまでだって言ってんだろうが!」
渋々、中断した怪人がこちらを見やる。
『なんだお前』
「ダンチョウ戦隊ジョウチョウジャーがお前を許さない!」
団長は片足で立つと強き光を放つ。
「ぐわわっ……」
怪人が眩しさに顔を隠す!
キラキラキラと光るだけではないのか、その光は収まりを見せる!
「お前達! 時間を稼げ!」
「おーけー!」
「わかったわ!」
ウーマンは前に出るとその場で正座した!
「ちょ、なにしてるんですか、戦うのでは?」
「そうだ、戦う、お前も考えておけ……」
ブルーはそう言って行く末を見つめる。
『はーい、今日もやって参りました』
「お前何を言っている」
「今日のお話は桃太郎です!」
ピンクウーマンはこんな戦場で場違いな日本昔ばなしを取り出す!
「なんだと?」
「むかしむかし……」
シャラシャラとスライドされていく紙の束。
普通の昔話だが、内容はただものでは無い!
『桃が流れてきましたが、足腰が弱いおばあさんは間に合いませんでした』
『もう四日も桃見逃してるじゃねえか!』
常軌を異しているほど、冗長なのである!!
「桃が流れ~」
「もういい! 殺す!」
「お待ちください! 桃太郎が旅立つところから始めさせてください!」
「……仕方ない、待とう」
ピンクウーマンの桃太郎ポエムを聞き流す怪人。
「そして鬼ヶ島に向かうには船が必要です、船はありません」
「おい」
「桃太郎達はキジに木を切らせ、団子で数日凌ごうと――」
「もういい!」
怪人ビームがウーマンに直撃!
炸裂した中で甘い声と共に吹き飛び、破れた服からバサバサとハトが!
「ならばマジシャンズウーマンとして一つ……」
「ならん、死なす」
「きゃああああ」
怪人攻撃に気を失ってしまったウーマン。
「さて、次は誰だ」
「お、俺だ!」
ブルーが今度は立ち塞がる!
「はあ、見てやろう」
「お前は正気で居られるかな?」
目の前でスタンドマイクを立てるブルー。
「漫才、よくあること」
そう言ってペラペラとブルーは怪人に畳み掛ける!
「そんな訳でよくあることに戻るのですが、先日は怒られたりしましてね、その時に俯いてはお茶を良く見たりします――」
マシンガントークでやり過ごす作戦だ! 数打ちゃ当たる!
「それで、よく言われるんですよ『それ茶柱じゃなくて目頭だよ』って」
面白おかしく! 直撃する!
「ふふっ」
「な、何笑ってんだお前」
「ち、違う! クソしょーもねえから笑ってしまったんだよ!」
「有り得ねーな、どこが面白いんだこれ」
「そ、そうだろう!? 怪人ビーム!」
無慈悲なビームでブルーが弾ける!
「くっ……まだだ!」
それでも受け止める! こんな吹き荒れた戦場に立っているから!
傷だらけのまま、ビリビリに破けたまま、風を仰いだ!
「それではやらせてください、ホットリミット」
「やるなやるな」
追撃の怪人ビームは著作権にキビシかった。
「最後は……いないな」
「います!」
イエローがピッと手を挙げ、前に出る。
『頼んだぞ、イエロー!』
「はい!」
団長の声に振り返り、イエローとして怪人に立ち向かう!
「モノボケします」
「この瓦礫の山で物を合わせてボケれるとでも言うのか!」
「できます」
そう言ってイエローは砕けた瓦礫を取る!
そして、積む!積む!積む!
「バランス感覚が凄まじいな」
怪人は揺れながらも維持されるふしぎな状況に関心する。
「それで、なんなんだ? これは?」
『イワーク』
「……はっきり言おう、お前にセンスはない」
怪人ビームがイエローを襲う!
『準備万端! よくやったイエロー!』
そんなビームを団長は防ぎ切った!
「な、なにぃ?」
「これがジョウチョウジャーの結束! 受けてみろ!」
「させるかっ!」
ビームは団長に聞かない!
「この世界を滅ばされるなら、団長が消えよう。その時、既に星は幾万と輝き……そしてそれは金色にも似た――」
『長い!!!』
頑張った!良かったら評価して…(´;ω;`)ウッ…