八十一話 ロリコンは嫉み妬まれる
四月二十五日
「さて、アンナはどうする……」
金曜の部活終わり。
昇降口にはアンナが誰かを待っている様子で立っていた。
アパートに戻ればリリィと食事会の為に出かけてしまうので、アンナに一緒に帰るかどうかを確認しようとした。
が、そこには左手をグルグルと回し、右手で叩く動作を繰り返しているアンナがいた。
「何……してるの?」
奇々怪々。
意味不明。
コイツは一体何をしているんだという率直な疑問を持った。
そしてストレートで投げた。
「昇〇拳コマンドよ。見てわからないの?」
よく見れば確かに昇竜〇コマンドだった。
しかもウメ〇ラ持ち。
「いや、そっちじゃないんだよ。コマンドは知ってるんだけどさ、どうしてアンナがそれを練習してるんだ? ってことだよ」
「桂を倒す為よ。だから私はゲームセンターに行かなければならないの」
桂と一体どんなことをしていたんだ?
いつの間にか仲良くなったのならそれはいいことだから、そのままスルーした。
そして一年全員がこの調子で仲良くなってくれればいいなと、老婆心に似た気持ちを抱いていた。
「はぁ……そうなんだ。頑張って。俺はリリィと帰るから」
けれどもそんなお節介は黙って流れに身を任せてくれと願い踵を返した。
「そうだ、翔太」
手を止めることなくアンナは俺を呼ぶ。
「ん?」
半身だけ振り返る。
冷たい風がスッと抜ける。
寒い。
リリィの為にも早く帰ろう。
呼び止められたのにも関わらず、そんなことを考えていた。
「マシュー叔父様の会社……辞めたら?」
「なんで?」
「……」
返答は無く、遠くから車の走る音が聞こえる。
そして帰路に就く生徒達の声。
アンナと目が合う。
薄紫の色は空の色だったのだろうか?
それともアンナの色だったのか?
美しい色だ。
ハッと、口角が上がるのを感じた瞬間にアンナは俯いた。
「えっ?」
「なんとなくよ」
左手をヒラヒラとさせながらあしらう様に、鬱陶しそうに吐き捨てるように言葉を放った。
「はぁ……辞めないよ。やることがあるから」
アンナを見て何故か悲しい気持ちになってしまって、柄にもなく真剣に答えた。
そうだ。
やることがある。
色を見なければならない。
そうだ。
やりたいと思えるんだ。
「やりたいこと、ね。リリィと選べと言われたら?」
もう一度視線がある。
瞳の奥まで見えた気がする。
今回は確実にアンナの色だった。
眩しい、眩しい水色。
アンナの言葉は正しい言葉だった。
俺はリリィと結婚する。
しかし、仕事もしなければならない。
そんな中でどちらかを選ぶとなる状況は必ず出てくるのだ。
それを今。
この未熟な今叩き付けてきたのだ。
「……アンナ意地悪だなぁ。そんなの両方だ。貪欲強欲なんでね」
だから冗談二割、本音八割で応えた。
そう。
本音だ。
アンナは視線を一切動かさず手も、体さえ動かさなかった。
「それじゃあ帰るわ」
一段落したことを認めて今度こそリリィの元へ向かった。
「……いいな」
アンナの小さく短い言葉は聞こえないふりをした。
こんにちは、
下野枯葉です。
いやー、久しぶりになってしまいましたね。
色々と重なりに重なり、こうなりました。
とりあえず、生きています。
そして、書けます。
書きたいです。
なので まだまだ続きます。
がんばおー。
さて今回から本格的に『悲叫』に向かっていきます。
まぁ、複線的な意味では前々から向かってはいますがね。
いやぁ。
いいな、高校生。
青春だな。
って。
本だけは読めたので、三十冊くらい読んでました。
長生きをしました。
その中で青春を走る人を見て、体験して……。
いいなーって。
もっともっと見たいなーって。
だから書きます。
もう一度。
がんばおー。
では、
今回はこの辺で。
最後に、
金髪幼女は最強です。




