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PRIDE or BRIDE  作者: 下野枯葉
悲叫編
97/121

八十話 金髪美少女は羞恥を知る

四月二十二日

 桂は六限目の授業中に退屈を覚えていた。

 と、いうのは本を読み終わってしまったのだ。

 授業などまともに聞く気のない桂は授業開始十分程度でその日の範囲を理解し、残りの時間は本を読むという生活を送っているのだが図書室で借りた本が読了。

 やることがなくなり頬杖をつき、窓の外を眺めた。

 『明日はもっと見せなさい』

 昨日のアンナの言葉を思い出した。

(見せろ。と言われても今日は部活もないし無理だろ。それに素の自分なんて見せても何も面白くないのに……物好きな奴だな)

 光景が脳裏に浮かび、美しさだけを思い出す。

 踵を返し、視線は先へ。

 先へ。

 凛とした表情に惹かれ、ここではないどこかを見るアンナ。

 ……思い出す。

 胸を締め付けられるような苦しさに似た高揚感に恥ずかしさを感じる。

 机に突っ伏して桂はチャイムが鳴るまで寝ることにした。



 放課後。

 図書室で本を探している桂は停止していた。

 目当ての本を見付け、手に取った瞬間に不満そうな表情を浮かべたアンナが本棚を挟んだ向こう側にいるのを認めたからだ。

「見せなさいと命令したのにどうして会いに来ないのかしら?」

 強い言葉。

 しかし、ほんの少しだけ髪は乱れている。

 探し回っていたのだろう。

 それを察した桂は罪悪感を覚えた。

「いや……えっと、ごめん」

「謝罪ではなく誠意を見せなさい。よろしい?」

「あっ、はい。……え、教官?」

 図書室の為、小さな声でありながらも通る声で桂に忠告をした。

 桂はその言葉を受け止めてから、話し方に疑問を持った。

「早く借りてきなさい。時間が惜しいわ」

「時間が惜しい? どっか行くの?」

「私は引っ越してきたばかりなのだからここ一帯の案内がいるの」

「はぁ……。まぁいいけど」

 一足先に図書室から出たアンナを見て桂はワクワクが止まらなかった。

 案内。

 と聞きはしたが見方によってはデートにも見えると思ってしまったのだ。

 思春期なのだから可愛い子と出かけるのにワクワクしないのは無理だ。

 足早に本を借りて廊下に出るとアンナは腕を組んでいた。

「それで、どこに行きたいの?」

「とりあえず一番栄えてる場所にでも」

 先に歩き始めたアンナを追いかけながら桂はこれからの予定を決めようとする。

 夕日が差し込み眩しさを受ける。

 栄えているという単語と無縁なここ一帯。

「栄えてる……この街で? んー」

 悩み、悩んで、悩んだ。

 どこが楽しい場所なのだろうか?

 そもそも女の子が楽しめる場所も知らない。

「寂れてるというワケでもないんでしょ?」

「いいところも沢山あるけど……都会に比べたら全然だよ。とりあえず、山城通りでも行こうか」

「面白いの?」

「ゲームセンターとか? 面白いと思うよ」

 とりあえず自分の楽しめる場所を目的地として決めて、不安そうな声で『思う』と答えた。

「そう。期待しないでおくわ」

 ハッキリとした声での答えではなかったのでアンナは溜め息をついた。

 

 初めてのゲームセンターに着いたアンナは、それはもうとってもゲームセンターというものにハマってしまった。

 UFOキャッチャーの爪が壊れているとか、リズムゲームのタイミングがズレているとかクレームを吐きながら何回も楽しんでいた。

 呆気にとられつつも桂は一緒に楽しんだ。

「気に入った?」

 桂はアンナが満面の笑みを浮かべた瞬間にそう質問をした。

「えぇ! いえ。まぁまぁね」

 流れで笑顔のまま答えた後にアンナは表情を引き締めて咳払いをした。

「なんだ、いい笑顔じゃん。そっちの方が好きだな」

「うるさいわよ。お世辞なんて求めてないわ」

 隙を見せてしまったことを恥じていつもの調子に戻る。

 UFOキャッチャーで獲得したクジラのぬいぐるみで顔を隠し、呼吸を整える。

 桂には自分の弱いところを見せるわけにはいかない。

 けれども、桂の言葉が自然に、不意に、本音で紡がれたものであったからこそアンナは照れてしまったのだ。

「本気だよ」

 アンナの様子を確認した桂は、追い打ちをかけるように次の言葉を続けた。

「……八点」

 が、その言葉に演じている感覚を認め、アンナは一瞬で冷めた。

 大きな大きなため息で評価した。

「十点満点で?」

「百点満点よ。次は赤点越えなさい」

「はいはい」

 本当に本気で言っていたのだが。と残念さを浮かべて落胆した。

「そんなことより次はアレよ」

 と言ったアンナの視線の先にはいわゆる格ゲーの筐体があった。

「わかったわかった」

 桂の告白は失敗に終わり、今日は楽しむことだけを考えようとアンナの背中を追った。

(次は赤点を超えろ……か)




 あと何回、あの笑顔を見ることができるのかと考えつつ桂は格ゲーでアンナをボコボコにした。


こんにちは、下野枯葉です。


気温の変動でしっかり体調を崩しました。

つらいぃぃ。


さて、続いていきます桂とアンナのお話。

今回もまだジャブ程度の進展しかありませんが、次から進められそうかなーなんて思っています。

多分無理だけど。

本当は翔太とリリィが主役なんだからこのふたりを追いかけたいとも思っているんですけど、桂とアンナ。そして光と雅も深堀りしたいと思っています。

どうしよう。

どっちが正解なのかな?

……俺の考えが正解だ!!!

続きを書きまーす。


では、

今回はこの辺で。





最後に、

金髪美少女は最強です。

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