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PRIDE or BRIDE  作者: 下野枯葉
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五・五話 金髪幼女の覚悟を序章と呼ぶ

 みなさんこんにちは!

 リリィちゃんの友達の花渕咲菜です!

 ちょっと前にリリィちゃんは転校してきたばかりですけど、今はもう仲良しになりました!

 でも最初は声かけるだけで緊張しました。

 英語で話さないといけないのかなーって思ったんだもん!

 そしたら日本語で大丈夫でした!


 ……そうだ!

 ちょっと気になったことがあるんですよ!

 リリィちゃんって、たぶんなんですけど、彼氏さんがいると思うんです!

 『おんなのかん』ってやつなんですけど、絶対にそんな気がするんです!

 今度はリリィちゃんちに行って真相を探ろうと思います!

 ではでは!


 あっ、そうだ! 忘れてた!

 五話の裏側、五・五話始まります!



「ただいまー」

「お邪魔します」

 紆余曲折を経て、翔太の実家に来た日。

 この日、リリィは今まで知らなかったことを知ることとなる。


 それは、翔太が部屋に戻った直後であった。

「ぐへへぇ……リリィちゃぁん」

「お姉さんたちと遊ばなぁい?」

 翔太の母と姉はよだれを垂らしながらリリィに近づく。

「ふぇ?」

「「ぐへへへへへへへへへへへへぇぇぇぇぇぇぇぇ」」

「ぴゃあああああぁあぁぁぁぁぁぁぁあ!」

 リリィはされるがまま、様々な服に着替えさせられた。

 ドレス、バニー、スク水、チャイナ、ありとあらゆる衣装を身に着けては、写真を撮られ、愛でられた。

「馬子にも衣裳ね」

「母さん、馬子じゃなくてガチ貴族だよ」

「そうだったわね! んじゃあ逆の立場になって頂こうか!」

 二人は不敵に笑いながらメイド服を取り出した。

「さぁ……我が家に仕えてもらおうか」

「も……もう、好きにしてくだしゃいぃ」

 リリィは服を脱がされ、新しくメイド服を着せられる。


 髪を結いながら翔太の母は静かに語り始めた。

「本当は同棲なんて反対なのよ」

「えっ……」

 リリィにとって衝撃の一言。

「歳は十五、社会も知らない半人前、相手は九歳の女の子。どこの親も賛成するわけないわ」

「……」

 至極当然の正論であった。

 大人の意見というものは時に理不尽で、夢や理想を否定してしまうことがある。

 据えられた瞳は、何もない世の中を知っているからこそのものだ。

「でもね、リリィちゃんの話を聞いて賛成した。そして今日、リリィちゃんに会って……応援しようと思えたわ。どうしてだかわかる?」

 変わって、試す瞳。

 しかし、どこか楽しそうに笑っている。

「いえ……わかりません」

 リリィは警戒に似た感情を抱きながらも、真摯に答える。

 自分の認識が足りないからだろうか、人生経験の差だろうか……。

「それはね……リリィちゃんの翔太に対する気持ちが見えたからよ」

「私の気持ちですか?」

「そうよ。想い……『愛』とは程遠いけど、確かにある」

 優しい視線。

 母の優しい視線。

 初めて受け取ったものだった。

「……あのっ、お義母さんとお呼びしてもいいですか?」

 お義母さん。

 その言葉に違和感のような、気恥ずかしさのようなものを感じた。

「えぇ、勿論よ」

 快く返事を返す翔太の母に、笑顔を送る。

「お義母さん、絶対に翔太さんを幸せにします」

 一転、真剣な表情から自然と台詞が紡がれた。

「阿呆者で手のかかる駄目な息子だけど……頼んだわよ」

「はい!」

 互いが笑顔になり、それを見ていた翔太の姉も笑顔になる。

 一定の間が空いた後に、リリィ以外の二人の表情はゲスに染まる。

「それじゃあ……早速仕えてもらおうかしら!」

「ショウタイムよ!」

 再びカメラを持ち出し、ポーズと取らせる。

「リリィちゃん可愛いねぇ!」

「お姉さん頑張って作った甲斐があったもんよ!」

「これなら翔太だって――」

 得体の知れない危険因子が近づいている。

 脳がそう囁く。

 どうしよう、どうしよう。

「リリィ!」

 好きな人が助けに来てくれた。

 湧き上がる喜びが止まらない。

「……翔太さん」

「これは一体」

「へいへーい、同大翔太君よぉ? 可愛いじゃろ?」

 翔太の姉はいやらしい笑みを浮かべた。

「まさか、作ったの?」

「義理の妹になるワケよ? 愛でようじゃないの」

「姉さんの本気になるタイミングがわからないよ」

「私はいつだって本気よ」

 キメ顔のサムズアップ。

 煽るような表情。

「二人ともリリィをからかわないでくれよ」

「妬いてるの?」

 翔太の母はケラケラと笑いながらそう言う。

「そっか、リリィちゃんは翔太のだもんねぇ」

「なっ……それは……それは」

 翔太の戸惑いがリリィに大きな不安を与えた。

「それはぁ?」

 舐めるような、試すような視線。

 翔太は一瞬俯き、悩みを表す。

 しかし、その表情は切り離され覚悟が宿った。

「一応婚約しているわけだ。……否定はしない」

「ふえ?」

 予想外の言葉だった。

「リリィは俺の未来の奥さんだ。母さんと姉さんだとしても、やりすぎは容認できない」

「……っ」

 奥さん……恥ずかしさが込み上げてきて口元が揺れる。

 何も考えられなくなる。

 奥さん。

 奥さん。

 奥さん。

 脳内でずっとリピートする。

「「ほおぉぉぉ」」

「な、なんだよ」

 翔太も照れを隠せずにいる。

「いや、頑張れよって思っただけだよ」

 右手をヒラヒラとさせながら翔太の姉はそう言う。

 翔太は少し驚く。

「おう……んじゃ、帰るわ」

「はいよ、困ったことがあればいつでも来なさい」

「ありがと。リリィ、行こうか?」

 翔太の声が聞こえた。

「……はい」

 なんて言ったかハッキリとわからなかった。

 だからリリィは、曖昧な返事しかできなかった。




「リリィ?」

「……奥さん」

 リリィの口から声が漏れる。

「え?」

「私は奥さんとしてどうですか?」

 リリィは自分の評価が気になった。

 でも、真実が残酷なものであったらとも考えた。

 しかし、聞かずにはいられなかった。

 顎を触りながら悩む翔太。

 どんな答えが……どんな答えが返ってくるのだろうか?

「んー……控え目に言って」

「控え目に言って……?」

「最高だね」

「えっ?」

 驚き。

 疑問。

 どうしてそんな答えが返ってきたのだろう。

「炊事洗濯掃除、どれを見ても完璧だ」

「そそそっ、そうですか?」

 照れ。

 歓喜。

 普段の頑張りが実ったのだろう。

 翔太は嘘なんてついていない。

 感覚でそうわかる。

「それに……あれだ」

「あれって何ですか?」

「俺のことを好きでいてくれる。それが一番嬉しいさ」

「……翔太さん」

 涙を堪える。

 泣いてしまっては、翔太の言葉を最後まで聞けない。

 耐えろ。

 耐えろ。

「と、言っても俺も人生経験が少ないからね、参考になるかはわからないけどね」

「いいえ、とっても嬉しいです。私が欲しいのは翔太さんの評価です」

 心から嬉しかった。

 偽りのない言葉だ。

「そっか…………よし帰ろうか」

「はいっ!」

 翔太が、夫が導となる。

 夫婦になりたい。


 この人から……愛がほしい。


 九歳の幼女は、自分の気持ちを知った。

 その覚悟が、新しい生活に波乱を齎し、二人の人生を大きく変える。

 そう……誰も経験できない最高の『喜劇』を。


こんにちは、

下野枯葉です。


五話の裏側。

書いてみました。

金髪幼女の覚悟を見ていただけたでしょうか。

指が弾み、リリィの気持ちを綴れました。

きっとね。


最近、リアルでよい刺激がありまして。

創作意欲がドバドバです。

始まるんです。

翔太とリリィが始まるんです。

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