三・五話 金髪幼女は偽りを切り捨てる
こんにちは。
リリィ・ロペスです。
翔太さんとの生活が始まりました。
なんだか緊張します。
翔太さんはとても優しくて、料理も褒めてくれて……嬉しいな。
……でも、どこか遠慮されてしまっている気がします。
やっぱり私が九歳だからなのかな……?
それに、寝所は共にするものだと思い覚悟を決めたのですが『流石に布団は別だよ!』と言われてしまいました。
年齢の壁が大きいなと改めて実感しました。
これからその壁を壊していけるかな?
そんなことを考えながら新しい生活を満喫しています。
そういえば、翔太さんが何かを隠している気がします。
もしかしてエッチな本だったり?
少し気になっちゃいます。
では!
三話の裏側、三・五話始まります!
同棲生活開始から数日。
翔太へのお弁当作りにも、新しい学校にも慣れた頃。
「はぁ……」
一人の金髪幼女、リリィは溜め息をついていた。
場所は山城小学校、四年三組の教室。左後ろの角の席でリリィは机に突っ伏した。
「リリィちゃん? どうしたの?」
覗き込むように声をかけたのは花渕咲菜。
「咲菜ちゃん。ううんなんでもないよ」
「そう? ならよかった!」
リリィの言葉を聞き、安心したのか飛び上がった咲菜は、ショートカットの髪を大きく揺らしながら笑顔を咲かせた。
「ねぇねぇリリィちゃん、今日学校終わったら遊ばない?」
笑顔をそのままに咲菜はそう提案をした。
「今日?」
「そうそう! リリィちゃんちに行ってみたいなーって!」
犬のように目を輝かせる。
「えっと……今日は――」
リリィは普段なら快諾しただろうが、今の生活ではそうはいかない。
翔太と過ごしている以上、誰かが家に来るのには互いの承諾が必要だろう。
「リリィちゃん、咲菜ちゃん、おはようございます」
そこに現れたのは宮代花音。
赤いランドセルにかかる長い黒髪。
柔らかい表情に、一つ一つの動作に品がある。
リリィよりも『お嬢様』という言葉が似あってしまいそうな、そんな女の子である。
「あっ、花音ちゃんおはよー!」
「花音ちゃん、おはよう」
「何を話されてのですか?」
リリィの前の席の花音はランドセルを下ろし、教科書を机に入れ始めながら質問をした。
「今日、リリィちゃんちに行きたいなーって! そうだ、花音ちゃんも今日一緒にどう?」
「ごめんなさい、今日はピアノ教室に行くので……」
一瞬目を伏せた後に、笑顔で対応をする。
「そっか今日は木曜日だったね……また今度だね」
リリィの転校前から交流のあった咲菜と花音。
曜日だけで相手の予定がわかってしまうのだから、とても仲が良いことがわかる。
「咲菜ちゃん」
(私もこんな風に仲良くなれるかな?)
リリィの思考にそんな気持ちが流れてきた。
きっと断ることですら戸惑うのなら、次の段階なんて夢のまた夢だ。
意を決し、リリィは声を出す。
「ん?」
「私も今日は用事があって……」
(……嫌な顔をされちゃうかな?)
「えー、そうだったの? じゃあ今日はダメだねぇ。また今度!」
咲菜は残念そうにしたものの、笑顔を崩さなかった。
それを見てリリィは嬉しくなった。
絶対に仲良くなれる。そう確信したのだ。
「……うん! また次の機会だね」
「うん……あっ、そうだ! 今日の体育で……」
何気ない会話が続く。
その裏でリリィは胸を痛めていた。
数時間後。
小学校の授業も終わり、リリィはアムール宝狼二〇三号室の扉を開いた。
「ただいま……って一人だよね」
ランドセルを下ろし、机の上に置いてあるスマホを確認する。
学校に持っていけないため、翔太からの連絡を確認するのは帰宅後となってしまう。
画面には二件のメッセージ通知があった。
一つは翔太からのメッセージ。
もう一つの通知の差出人を見た瞬間、リリィは目を閉じた。
スマホの画面を消し、全身から力を抜く。
「……貴女からの偽りはもういらない」
リリィは怒りの感情を少しだけ表に出した。
エプロンを身に着け、髪を結う。
「自分で手に入れてみせるから」
スマホを机に置き、リリィは台所へ向かった。
今日の晩御飯は鶏肉と大根の煮物を中心に作ろう。
そう考え、冷蔵庫を開けるのと同時にスマホに通知が入った。
『母』からのメッセージの題は『警告』だった。
こんにちは、
下野枯葉です。
今回は三話の裏側を書いてみました。
裏側と言いつつ、本編に大きくかかわる重要なことが多く出てきます。
それと、リリィの小学校生活を描けるのが楽しいぃ。
あぁ、今回はこの辺で。
めっちゃ早いケド。
では、
最後に、
金髪幼女は最強です。




