表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PRIDE or BRIDE  作者: 下野枯葉
英断編
78/121

六十二話 ロリコンと青

一月三日

 新年あけましておめでとうございます。

 という挨拶を使い飽きはじめた今日……人生で一番緊張のする新年の挨拶をすることになる。

 車から眺める摩天楼に意識を飛ばしそうになる。

 二度目のこの道を前回と変わらぬ状況で辿る。

 姉さんの忠告通り深い青のタイを締め、心の整理をする。

 成る程。理解した。

 リリィのドレスと合わせ、調和のとれた衣装と言うことだ。

 どうしてリリィのドレスの色を知っているのかは……きっと前々から聞いていたはずだ。

 でもね、姉さん。色を合わせても緊張はどうにもできないよ。

 気休めにでもなる……と肩を竦めたところでリリィがタイに手を伸ばした。

「曲がっていますよ」

 慣れた手付きでタイを直し、何度か顔を離して確認をした。

「ありがとう」

「翔太さん。緊張なさらずに」

「……」

 車内に連続的に差し込む光と、藍色のドレス。金色の髪に華やかな香水の匂い。

 その魅力が脳を数回掻き回した。

「如何なさいましたか?」

「いい青だなって」

 誤魔化すようにいつもと違う状況を口に出した。

 実際、とても綺麗な青だった。

 素直に褒めたつもりだったが、いつものような笑顔は返ってこず、真剣な瞳で刺される。

 一度深呼吸した後、ゆっくり口を開いた。

「はい……青はロペスの象徴です。彩度が下がれば威光を、上がれば気高さを示します。私は今日、この威光を全てのお客様に示します」

「……」

 紡がれた言葉にその通りの威光が見えた。

 圧倒されたんだ。喉が震えるどころか息さえ出なかった。

「行きましょう」

 強く唾を飲み込み、声を絞り出す。

「俺はそんな力を持っていないからこの青は認められないね」

 せっかく締めてもらったタイに手を当て、目を伏せる。

 俺にそこまでの力量は無い。

「いいえ」

「え?」

「翔太さんと共にいるからこそできるはずです。手を取って頂けますか?」

「…………あぁ」

 伸ばされた手。

 あぁ……なんだ。俺は俺を笑ってやろうじゃないか。



 会場に到着して俺は父さんのところへ向かった。

 まぁ、どこにいるかは容易に想像できた。

 煙立ち込める喫煙所だ。肺がんになるぞー。

「よう、来たか」

 まるで来ることを見透かしていたように煙草を吸い終え、手を挙げた。

「まぁ、うん。なんだ、懐かしもうかなって」

 思ってもない適当な台詞。

 姉さんに会ってみろと言われたが、何を話せばいいのかわからない。

 わからない。

「お前は嘘がヘタだな、まったく」

 誰に似たんだか……と笑う。

 胸ポケットにある煙草の箱を取り出し、残りの本数を数えている。

「狡猾だっていいことばかりじゃない。その、なんだ……頼りに来たんだよ」

 いつも通りの会話を一つついてから、らしくなく、目を合わせてそう言った。

 確かに、頼った。

「お前が? 俺を?」

 素っ頓狂な表情と声。

 自分と俺を交互に指差し、目を引ん剝く。

「そうだよ……俺はどうすればいい? 教えて欲しい」

 漠然とした不安とその活路を求めて淡々と声を出した。

 迷い続ける俺を見て父さんは溜め息を一つついて、煙草を一本取りだした。

 火を点け、一度深く吸い込んでから「んー」と唸り、一言。

「知らね」

「えぇ……」

「俺は九歳……いや、今日で十歳だっけ? 十歳の女の子と結婚はしないし、ロペスなんていうでっかいモンと相対する気もない。ましてやその周りのお偉いさんと仲良くなる気だって毛頭ないんだよ、まったく」

 もう一本煙草を取り出し、俺に差し出しながらそう言った父さんは気怠そうにしている。

「流石にその歳で十歳相手はマズいよね。でもここに来てるならお偉いさんとは仲良くした方が良くない?」

 煙草は受け取らず、親指を下に向けた。

 未成年喫煙ダメゼッタイ。

 それと会社に関係のある人間をなんだと思っているんだ。

「俺は相手を選ばない」

「うわぁ……」

 頭を抱えたのは煙草の煙の作用か、絶望感か、呆れか……。

「ま、とにかくだ。青を着けて来たんだ……覚悟があるんだろ?」

「あぁ……いや、たまたまと言うか」

「偶然なのか? じゃあ適当に赤いタイでも貸すぞ?」

 試されている気がした。

 逃げることは容易だが、残念。

 リリィの手を取ったのだから進むしかないんだ。

「いらないよ。意味を知って丁度いいって思ったんでな」

「重畳か。運命と思えばそれも良し。自らの力と思えばそれも良し」

「……どっちでもいいさ」

「そうかい……まったく」

 何だかんだ最後の空気はいつも通りだったが、その前の感じは……悪くない。

 あぁ。悪くなかった。

 そう毎回は嫌だけどね。

「そんじゃ先に行ってるわ」

「おーう」

「そうだ、父さんも青着けてみる? ハンカチならあるよ」

 流石にこの空気に耐えかねてからかう。

「勘弁してくれ。お年玉やらねぇぞ…まったく」

 冗談じゃないと煙草の火を叩き付けるように消して次を咥え直した。



 そしてその日、俺はロペス家の後継者になると高らかに宣言することになった。


こんにちは、

下野枯葉です。


もーつかれたー。

仕事が本当の本当にゼロに近付き始めました。

ヤバくない? こいつは本当にまずいよね。

そのくせして会社には行かなくてはならず、そこそこに暇を持て余しながら仕事をします。

これが辛い。

何もなく立っている時間がちょこちょこあります。

なので、この物語のことは考えられるような時間は無いのですが、ほどほどに暇。

めんどくせぇー。でも給料欲しいし。

頑張るしかないね。

それと、PCを組み直したいです。

ミニサイズなのですが、もう少し拡張してミドルケースを買おうかなと。

それに合わせてマザーボードも新調して……金がないっ!


さて、今回は。

青。です。

青色はとても綺麗ですよね。

屈折による海の青。散乱による空の青。

そして、ブルーな気持ち。

自然に多く存在する色ですが、毒性を持っていたりすることもあったり、落ち着かせる効果があったりと凄く良い色です。

……。

あぁ。水族館……行きたい。


次回、リリィちゃんハッピーバースデー!

翔太君、一体何をしたんだい!

お楽しみに。


では、

今回はこの辺で。





最後に、

金髪幼女は最強です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ