五十九話 ロリコンと聖夜とオレンジ色と
十二月二十五日
「えー、本日はお集まりいただきありがとうございます」
アムール宝狼二〇三号室で羽衣石先輩はグラスを片手に軽く頭を下げた。
朝九時に羽衣石先輩から『クリスマスパーティーのお知らせ』という題で連絡が届いてから数時間……料理と飲み物が並び、飾り付けが施された部屋はパーティー会場に相違ない。
演劇部メンバーが集まり、各々がグラスを持っていた。
「私と紫雲の青春最後のクリスマス……是非、楽しませてくれ!」
眼鏡の位置を整える動作とウインクが一つ。
因みに眼鏡は身に着けていない。
「はい、先輩」
ここまで堪えていた想いを伝えるべく右手を真っ直ぐに伸ばす。
「はい、ゆず君」
俺の行動を見て羽衣石先輩は右手で示しながら発言を許可する。
「今朝連絡を受けてから準備をしたことに対する感謝が欲しいです」
現在午後五時。
連絡を受けた時点で、苦い顔をしながらリリィに伝えたら嫌な顔を一つせずに全て準備をしてくれた。
勿論、買い出しや飾り付けの手伝いをしたがほんの少しの助力にしかなっていない。
「ゆず君。先人の知恵を授けよう。感謝の言葉は自分から求めちゃあいけないんだよ」
「俺にじゃなくて、リリィにですよ」
そんな説法を聞いているんじゃあない。と腕を組みながら口を尖らせた。
だがしかし、リリィの方は見ないようにした。
見たくない現実があった気がした。いや、あった。
「だからこうして感謝をしているんだよ」
両手をヒラヒラとしながら主役登場と言わんばかりにリリィを真ん中に立てる。
そのリリィは『本日の主役』と書かれた襷をかけ、サンタの格好をしている。
笑顔ではあるがどこかぎこちない。
一種の圧力が見えた。
――が、サンタ姿があまりにも可愛かったので止めることはしなかった。
「それは感謝になってるんですか?」
だが、黙り続けるわけにもいかないのでツッコミ混じりに状況を変えようという意思を見せる。
「…………(ニコッ)」
返ってきたのは満面の笑み。
しかも天国先輩までもが笑みを返すのだ。
「パワハラ?」
「愛情だよ」
「愛情さ」
やってられないと頭を抱えたのを見て羽衣石先輩は逸れた話の道を戻す。
「ゆず君にはリア充として私を見下した罰を用意しています」
先輩が拍手をし始めたのを皮切りに、俺とリリィ以外が拍手を始めた。
「身長的な問題ならリリィにも見下さ――」
「――蹴っちゃうぞ?」
リリィにも見下されてますもんね。という言葉は膝の裏に直撃した蹴りによって遮られ、俺はその場に跪いた。
「蹴ってから言わんでください」
四つん這いになりながら泣き言を一つ。
なんで俺は家でこの状態になってるんだ。
「リリィちゃんにはプレゼントを用意しています。期待してね!」
指をパチンと鳴らしてから芽衣が視線をリリィに送った。
ここまで堂々と宣言したのだからハードルはかなり上がってるぞ?
それと、俺との差は何だい?
「あっ、ありがとうございます」
きっとリリィは楽しんでいるのだろう。
わけも分からない状況だが、仲良くしている人を見て笑顔になる、笑顔になれる。
リリィはそんな人間なんだ。
「それじゃあ乾杯と行きますか?」
天国先輩は場の流れがあまりにも伸びすぎたのと、一段落したのを認めて話を次に進める。
一度、戻りそびれたのは一体だれが原因なのだろうか。
知らない方が良いな。
「そうですね」
いつも通り静観気味に参加していた柊花は退屈そうにしていたグラスを見ながら呟く。
あぁ、そうだよ。料理だって寂しそうじゃないか。
「ハイ、じゃあリリィちゃん。乾杯どうぞ!」
そこだ! と叫ぶように羽衣石先輩が右手でリリィを指した。
突然のことにあたふたと、二、三度周りを確認したが、呼吸を整え、前を見た。
さぁ。始まるぞと言う瞳。
それはこの後への期待を込めたオレンジ色。
「えっ……えっと、メリークリスマス」
「「「「「メリークリスマス!」」」」」
控え目に掲げられたグラスを合図に、他のグラスが高々と掲げられた。
こんにちは、
下野枯葉です。
最近麻雀に飽きはじめました……一日に三半荘で満足してしまいます。
病気かな。
さて、巷では様々な出来事がありました。
ポケモンのダイパリメイク決定。ウマ娘のアプリリリース。シン・エヴァ公開日決定。
そろそろ地球が終わる気がします。
アーマードコア……?
知らない子ですね。
さて、聖夜です。
……この話題やめない?
辛いよね。前も話したよね。作者にクリスマスの思い出はありません。
でも、翔太には作って欲しいんだ!
頼む、楽しい思い出を……頼む!
いや、俺が作る!!!
というワケで、次回はクリスさんへのメールの真相を明かす前に、クリスマスパーティーです。
学生らしいパーティー、書けるか不安ですが、頑張ります。
では、
今回はこの辺で。
最後に、
金髪幼女は最強です。




