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PRIDE or BRIDE  作者: 下野枯葉
英断編
73/121

五十七話 ロリコンと穢れと願望

十二月二十四日


 前回までのあらすじを説明しちゃうぞっ☆(何言ってんだ俺)

 世界規模の食事に誘われて義理の父になるであろう人に会いました。

 そしてキレられました。

 あと、実の父がいて罵られました。

 マゾだったらどうするんだ興奮しちゃうだろ。

 ドキドキな食事会が、今! 始まる……。



「なんてね。冗談さ、翔太君」

 マシューさんはリリィの頭を優しく撫でながら笑った。

 楽しくて仕方がないのだろうか?

 何度も頷いている。

「でも、大切な娘なのは本当さ」

「お父様。お久しぶりです」

 嬉しそうに挨拶をするリリィはドレスを少し摘み、会釈をする。

 ドレスならではの所作ではあるが、見るのは初めてだった。

 品がある……というのが的確なのかはわからないが、美しいと思えた。

「大きくなったね。日本はどうだい?」

「翔太さんにも出会え、友人もできました。とても居心地の良い場所です」

「そうかい……それは何よりだよ」

 視線を何度か他に配ったマシューさんは状況を判断し、会話を続けた。

 それもそのはず。

 主催であるにも関わらず、一つの場所に留まることを危惧し、状況を見ていたのだ。

「改めて……ようこそ、杠葉翔太君」

 表情を親子のものから経営者としてものに変えて手を伸ばす。

「本日はお招きいただき――」

「――ハハ、そんなに畏まらないでくれ。今宵はパーティーなのだから楽しむことが第一、そうだろう?」

 握手に応じ、無難な挨拶をしようとした時、マシューさんは肩を叩きながら笑った。

「……あっ、ありがとうございます」

 余裕の差、だろう。

 年齢とは平等であって、越えられないからこそ確かにある。

 越えられない。越えられない。

 だけど越えたい。

 強欲だ。

 でも目指さなければいけないと思った。

「そうだぞ翔太、ここなら美味い飯が食い放題だからなぁ。まったく」

 この大人だけは目指したくない。

 今までの話を少ししたところで、マシューさんは会話を自然に切り上げた。

 そしてリリィはマシューさんと話をしながら挨拶回りに向かった。

「ところで父さんはなんでここに?」

 残されたふたり。

 久しぶりの親子の会話であるが、疑問が先行し懐かしむことはなかった。

 第一に思ったことを口にする。

「あれ? 話してなかったか? 俺は今、ロペス社に雇われてんだよ」

 上品に並ぶ料理を乱雑に皿にとりながら呟く。

「は? 前の会社は?」

「辞めたぞぅ?」

「辞めたぁ?! いつ?」

「俺が覚えてると思うか? なぁ、まったく」

 モグモグと品なく食べながらとぼけた顔をする。

 殴りたい。

 殴りたいなぁ。

 殴りたい。

「……あーもう」

 諦めだった。

 こういう人間であったことを思い出し、今までの苦労まで思い出してしまった。

 忘れてたのに……。

「ところで、翔太はリリィちゃんと結婚するのか?」

「あぁ」

「試されてるからな、頑張れよ」

 鋭い視線。

 父さんのその瞳は初めて見た。

 心臓が痛む。

「随分と酷だよ……まぁ乗り越えるさ」

 不安しかない言葉で檄を飛ばされ受け止める。

「あぁ……まったく。まったくだ」

 ライトブルーが視界の端に捉えながら俺は会場を見渡した。

 改めて事の重大さを理解した。

「君が杠葉翔太君かね?」

 スーツとギラギラの腕時計を見せつけながら、背の低い老人が声をかけてきた。

 その周りには数人の老人。

 見るからに権力を持つ人間だった。

「はい」

「なるほど、ロペスの令嬢の婿と聞いていたが……」

「あの、なにか?」

 品定め。

 気持ちの悪い視線だ。

 その不快感は怒りを覚えさせるには十分で、冷静さを欠かせる。

「いいや。ただ穢すなとだけ言っておこう」

 嘲笑と蔑む視線。

 そして強い言葉。

「穢す――」

「――私の家族が何か無礼を致しましたかね?」

 限界を認め、身を乗り出そうとした刹那――

 ――マシューさんが現れた。

「ミスターロペス……いいえ、なにも」

「そうかい」

 老人たちはばつが悪そうに立ち去って行った。

「あの……すみません」

 口をついて出た最初の言葉は謝罪。

 不甲斐なさを認めるものだった。

「いいや、仕方がないと言えばそうだ。だが不合格だよ」

「えっ」

「これくらいで平静を失うなら不合格だ。それが立場というもの」

「……」

 ぐうの音も出ない。

 最初の謝罪が全ての責任を負うものに違いなかったからだ。

「けれど二度目がある。年明けまでに何をするべきか考えておくんだ」

「はい」

「君の父も二度目で魅せる男だからね。期待しているよ」

「……はい」

 常に見える優しさと、その裏の厳しさがあまりにも心に刺さる。

 リリィは言葉を挟むことは決してしなかった。

 それが、俺にとって良いことだとわかっていたから。

 この日は何をするでもなく、ただ今までの経緯を話しながら過ごすだけだった。

 何もない。

 虚無を感じながらアパートに帰るだけだった。




 翔太とリリィを見送ったふたりの父親は空を眺めていた。

「君はそろそろ一度目で成功するようになって欲しいがね?」

「御尤もですね、まったく」

「まぁ、求めているもの以上を返すから無理は言わないよ」

 拓也はプロジェクトを頼まれたとき、最初の提出で改善点を大きく残すが、その次で最高以上のものを仕上げてくる。

 それをマシューは認めて、ヘッドハンティングをしたのだ。

「ところで、翔太は婿なんですか?」

 胸ポケットから煙草を取り出した拓也は火を点けて、そんなことを聞いた。

「おや? 杠葉家には他の後継者はいないのかい?」

「娘一人に息子一人ですからね、まったく」

「うちは娘一人だけだよ。どうしてもと言うならきちんと話し合おうか」

「いや、杠葉家には何の未練も思い入れもないですから婿でいいんじゃないですか?」

「君はもう少し一家の柱であることを自覚した方がいいと思うが?」

「無理難題ですなぁ。まったく」

 煙草の煙が空に舞い上がる様を呆然と見つめる拓也。

 そして携帯端末でスケジュールを確認するマシュー。

 冬空の下、子との再会を果たしたふたりの父親は今後の課題をよく理解していた。

「翔太とリリィちゃんか。どう見ます?」

「うまくいって欲しいね」

「願望ですか」

「本人次第だからね」

「えぇ……まったく」

 その願望は両者が抱いており、どんなに年を取って、権力を持ってもどうにもできないことであるから、そう語るしかなかったのだ。

 だが、最善を尽くそうとマシューはクリスにメッセージを送っていた。


こんにちは、

下野枯葉です。


昨日、テレビを見ていたら緊急地震速報がながれ、びっくりしました。

久しぶりに聞きました。あの音。

頭に残る音ですね。


さて、今回は穢れと願望です。

権力を持った人たち、家柄……そんなものとは無縁だったので書くのが大変でした。

なんか代々受け継いだ家系とかに生まれてれば違ったのだろうか?

あぁ、いいなぁ。

って、思ったけど、それもそれで大変そうだなぁ。


あ、それと次回はクリスマスです。

やったぁ!!!

ボッチじゃないクリスマスだぁ!

あーあ。クリスマスかぁ。今年は……。

一人で飲んでたっけ?

あーあ。悲しいなぁ。そういうと悲しくなるから悲しくないって言っておこう。

悲しいなぁ。


いいなぁ、翔太は。

金髪幼女がいて。

いいなぁ、リリィは。

お洒落してお出掛けするんだろうな。

……なんで俺は自分で考えたキャラに嫉妬してんだよ。


ダメだぁ。


では、

今回はこの辺で。





最後に、

金髪幼女は最強です。

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