五十六話 ロリコンは出鼻を挫かれる
十二月二十四日
タイを締め、髪を整えた。
何度か鏡の前で表情を確認して冷静を装う。
心拍は収まることなく、高鳴り続ける。
どうしよう。
俺に何ができる?
今になってとりとめのない不安が頭を埋め尽くす。
「翔太さん、いかがでしょうか?」
リリィがドレスをキラキラと振りながら現れた。
ドレスへの憧れはどんな女の子にもあるのだろうか?
咲いた笑顔が年齢通りのものであって安心した。
先程までの不安はどこへ行ったのだろうか?
保有していた覚悟のみがこの身を包んで、一歩を確かにさせた。
「とても綺麗だ」
アパートの扉を開き停められている車に向かう。
リリィよりも数歩先を行き胸を張る。
「……行くよ」
「はい」
緊張を嘘で隠す為舌を二、三度噛み、痛みを得る。
震え、眩暈、渇き……その全ては痛みで上書きできる。
異常な精神状態を認めつつ無理矢理捻じ伏せて今日を生きようと決めた。
あぁ……まったく。
まったくだ。
……癖って遺伝するのかな?
夜の帳が落ち始め、数時間の車での移動が辛くなり始めた頃。
クリスさんが車を停めた。
都内にある高級ホテルの裏口。
「到着致しました。アリサ様がお待ちです」
「クリス、ありがとう」
「いえ」
リリィは一言、ねぎらいの言葉を告げて降りる。
主からのその言葉を認め、誇りを喜んだクリスさんは口角を少しだけ上げた。
「あの、クリスさん。俺は……」
遥かに大人の存在が、隠していた不安を呼び起こして弱い言葉を吐かせた。
言葉通りの弱音が続こうとしたが遮られる。
「翔太様。『過去は変えられない、未来は変えられる』という言葉があります。しかしその言葉は正しくはありません」
きっと察したのだろう。
高説とは言いません。という言葉から始まった語り。
よく聞く希望を与える言葉。
それを鼻から挫いた。
「え?」
「変えられるのは『今』です。それについてくるのが未来なのです」
いつもニコニコと笑う目元が少し力を持った。
強くて、強くて……強い目だ。
その時初めてクリスさんの瞳をハッキリと見た。
黄色とオレンジが混ざる。そしてゆっくりと赤を孕み始めワインレッドの深みが宿った。
「今、ですか」
「これから今が続きます。いつも通りに」
「はい」
強さを引き継いで会場へと向かう。
引き継いだ別の執事がアリサさんの待つ部屋まで案内する。
その間リリィは数歩後ろを歩き、少し震えていた。
「緑。安心して、ふたりだよ」
緑は緊張と知っているリリィは、その言葉を聞いて笑った。
見透かされる恐怖ではなく、見てくれる安心感。
一度、そう語ってくれたからこそ俺は全て正直に話すようにした。
以来、今まで以上に強固な信頼関係がここに顕現した。
「はい、クリスも言っていました。いつも通りですね」
そして時は過ぎ……。
会場にて。
リリィの父、マシューさんと俺の父さんが目の前にいた。
「君が翔太君だね。気軽にお義父さんと呼んでくれ」
気さくに声をかけてくれて凄く安心感を覚えたが、隣の父が気になって仕方がない。
開幕して初撃が父の登場とか不意打ちにも程がある。
冷静に……冷静にだ。
「父がいるのが不思議ですが……今日はよろしくお願いします、お義父さ――」
「――娘はやらん。どこの馬の骨わからぬ男に、お義父さんと呼ばれる筋合いもない」
は?
「えぇ……呼んでくれって」
「そうだぞ、身の程を弁えろこのロリコン野郎。まったく」
こんのクソオヤジ。
「せがれに向かって何だその口の利き方は。泣いちゃうぞ」
いつも通り……あぁ、いつも通りだぞ。
平常、平常に。
スタートダッシュで転んでしまったが、立て直すしかない。
活路を探せ……探すんだ!
あ、後で父さんは殴ろうと思います。
こんにちは、
下野枯葉です。
仕事がありませんが、職場に行かなくてはならないモヤモヤを解決する術を身につけたい。
コロナ……許さんぞ。
職がなくなったらどうすんだ。
これも書けなくなっちゃうじゃん。
いや。無理矢理続けよう。
さて、今回は出鼻を挫く。です。
いやー、始まりましたよ。パーティータイム。
どうしよう。パーティーとか行ったことないのに書こうとしてるよ。
経験者に聞きたいよ。いないよ。
どーしよね?
まぁ頑張るしかないですよね。
情報収集を徹底します。
よっしゃ、頑張るぞ。
拓也も良いキャラクターですね……こいつも狂ってるから楽しくなりそう。
さぁ、書くか。
では、今回はこの辺で。
最後に、
金髪幼女は最強です。




