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PRIDE or BRIDE  作者: 下野枯葉
英断編
70/121

五十四話 ロリコンと金髪幼女の伝心

 ◇


 千円と少しの会計を終えて、小さなテーブルを挟み座った。

「それで……本当に欲しいものとかは言ってないの?」

 芽衣は諦めたような口調で訊ねつつ、冬だというのにフラペチーノに舌鼓を打っていた。

 一方の俺は、それを正気の沙汰ではないと決めつけ、温かいカフェラテを楽しむ。

 体の内側から広がる温かさを感じつつ、今までの生活を振り返る。

 長考。

「んー、家事で必要なものは揃ってるだろうし、趣味は……わからん」

 得たい情報は何一つなかった。

「え? 本当に婚約してるの?」

 疑いの目が悲しい。

 凄く悲し……いや、痛い。

「してる……してる、うん。してるんだよ」

「パッとしない返事だねぇ」

「そういや趣味も知らないとか……情けないなぁ。本当に、本当に……」

 頭を掻きながら溜め息。

 言葉通りの情けなさが全身を包む。

 あぁ。

 こんなにもこの言葉は重かったのだろうか。

 反省の言葉を口から吐こうとした……と同時にスマホがメッセージの受信を知らせる。

「お? んん?」

 リリィからのメッセージ。

それを目で追い終わったと同時に、先程とは別の意味を持つ溜め息が一つ。

 芽衣がそんな俺を見ながら疑問の顔を浮かべた。

「参ったなぁ……いや、リリィからでさ」

「どれどれ?」

 身を乗り出し、腕を掴んで引き寄せる。

 画面を覗き、文面を辿る。

『翔太さんへ。ワガママを一つ。最近、圧力鍋が壊れてしまいました。買って頂けませんか?』

「かなわないねぇ」

 関心。

 肩を落とし、首を傾げ、目を閉じた。

 誇らしさからのその行動はとてもリラックスできる。

「へー……翔太よりしっかりしてる」

「否定できないのが悔しい」

 眉間にシワを寄せつつ唸った。

 唸った末に静寂。

 手を握った状態で硬直しているこの状況。

 一秒、また一秒と刻むだけで羞恥心を煽られる。

 互いの記憶に焼き付いた思い出が鮮明に蘇る。

 感触。

 心拍。

 呼吸。

 蕩けてしまいそうな酷く正しい青春のひととき。

 あの……ひととき。

 芽衣がゆっくりと引き寄せる。

 記憶と同じく引き寄せる――


 ――刹那。

 館内放送が流れた。

『……羽衣石二千翔ちゃん八歳のお連れ様。一階、サービスセンターまで……』

 目と目が合うがトキメキは無い。

 が、ドキドキはする。

「あの先輩って年齢偽ってたっけ?」

 突拍子もないことを言ったが、そう言わざるを得ない。

 その可能性は感じていたから。

「いや、同姓同名の別人でしょ? ……でしょ?」

 二度目の問いで目が泳ぎ、震え始めた。

 あぁ。芽衣も飛び級を否定しきれてないな。

「……歩きがてらサービスセンター寄らない?」

 女性を誘うという行為に抵抗を感じることが無かったのは……なぜだろう。

「いいよ。胸騒ぎしてきた」

 ドキがムネムネとかふざけようとしたがそれどころではない。

「杞憂でありますように」



 頼む――



「杞憂ではありませんでした」

 半べその先輩はサービスセンターの職員に手を引かれ現れた。

 目を覆う。

 現実を見たくないよぉ。

「あぁ……もう、先輩は八歳でいいですよね」

「よくないよくないよくなーい! ヒドイ! ヒドイよ! 私、十八歳! 十年違うよ! 十年あったら何ができると思う? 小学四年生になれるよ! リリィちゃんと同い年! つまり私は小学生!」

 胸に手を当て、大見得を切る。

「「あーあ」」

 やっちまたぁ。

 と、片や天を仰ぎ、片や頭を抱えた。

「ん? 何か間違ってた?」

「「いいえー」」

 人生、諦めが肝心。

 もういいや。

 そして羽衣石先輩を真ん中にして両サイドに並んだ俺と芽衣は手を繋ぎ、買い物をした。

 最初は『子ども扱いしないで!』と叫んだが、芽衣が飴を差し出したら従った。

 チョロ。


「そういえば、ゆず君、めーちゃん」

 自然に呟いた問いかけに、このふざけた状況を忘れた。

「なんですか?」

「どうしてウチに入ったの?」

 言葉が足らなかったが全て理解できた。

 なんだかんだ演劇部に入った理由を話したことが無かった。

 自信無さ気に目を合わせる姿に、らしさを感じず、茶化す気は失せた。

「部活紹介でのふたりの演技が凄かったからです。世辞抜きで」

 当時の光景が脳裏に浮かんでいる。

 あのワクワクを忘れない。

「……ホント?」

「私もですよ。恥ずかしいから先輩たちには言いませんでしたけど」

 芽衣も優しい笑みで続いた。

 同じく、当時を思い出しているのだろう。

「紫雲の演技……好き?」

「いえ」

「えっ?」


「憧れてます」


「そっか………………そっかぁ」

 次第に歩調が跳ね始め、両腕で吊り上げられながらスキップを踏む。

 無邪気さを最大限に開放し、喜びを全身で表す。

 思わずこちらも笑顔になってしまう。

「じゃあゆず君を討伐できそうだね」


「は?」


 ニッコニコの笑顔はそのまま。

 ドスの効いた低い声を響かせた。


こんにちは、

下野枯葉です。


もう、麻雀が楽しくて仕方がないです。

この前二盃口を達成した後に、槍槓達成です。

チュウレンしてないので、まだ死にません。


さて、伝心が題です。

伝心せずに困った経験や、予想以上に伝心したことがありますよね。

私自身も前者の経験でいざこざが起こってしまったことがあります。

そういう時は、伝心の言葉通り、文字など目で見える情報で伝えるのがいいと思います。

あぁ、なんか当時を思い出して泣きそうw


と閑話休題で。

英断編も長く続けてきましたが、結末が決まりました。

そこに向けて物語を紡いでいますが……相当長くなりそう。

でもすごく楽しみです。


うん。

みんながみんな、それぞれの役割を担い進むのが楽しみで仕方がありません。

言葉が溢れて、あぁ……きっともっと広がるんだ。

凄く興奮しています。


これからも頑張ってまいりますので、続きも読んでいただけたら幸いです。


では、

今回はこの辺で。





最後に、

金髪幼女は最強です。


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