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PRIDE or BRIDE  作者: 下野枯葉
選択編
7/121

五話 ロリコンは正直者

 えーっと……こんにちは!

 リリィです! リリィ・ロペスです!

 えへへ……緊張しますね。

 翔太さんとの同棲生活が始まり、新しい学校にも慣れました。

 新しい友人関係、新しい家……新しい人生です。

 まだ寝所は一緒ではないのですが、いつかは一緒が……。

 執事のクリスに感謝しないといけません。

 このアパートの手配も、学校の転入の手続きも、何もかも手配してくれましたから。


 それと翔太さんの実家に行くことになりました。

 お義母さんが……まだ正確には違いますが、在宅だそうなので、ご挨拶できればいいなぁと思っています。

 ちゃんと、翔太さんとのことを話したいです。

 翔太さんとのこれからを……しっかりと…………。


 さぁ!

 五話、始まります!




「ただいまー」

「お邪魔します」

 俺とリリィは実家の玄関でそう声を出した。

 いつかリリィが自然と「ただいま」という日が来るのだろうか?

 ……。


 って、何考えてるんだか。


 居間に入ると、母と姉が下座に座っていた。

「あれー? 翔太帰ったの」

 母が呑気にそう声を出す。

 短い髪を一つに纏め、胡坐の母は珍しく家にいた。

「翔太にしては珍しくタイミングがいいね」

 姉はそう言った。

 その台詞の意味が理解できなかったが、居間全体を見て何となく察した。

「えっと……クリスさん?」

 上座で美しい正座をしているのは、ロペス家執事のクリスさんだった。

「お嬢様、翔太様、ご無沙汰しております」

 ほんの少し口角を上げて挨拶をした。

「クリス、どうかなさったのですか?」

 リリィはクリスさんにそう疑問を投げた。

「実は――」

「――ご挨拶に来てくださったんだよ」

 クリスさんの台詞を遮り、続きを離したのは母だった。

「んえ?」

「えぇ、特殊な状況での婚約でしたので改めて説明をと思いまして」

「ほ、ほう」

 そうだな。

 まず、婚約自体が特殊な状況だと思うんだけどね!

「翔太!」

「な、なに?」

「リリィちゃんの年齢も考えて相手すること」

 いつものふざけた表情ではなく、真面目に俺を見つめる母。

「うん、そりゃ分かってるよ」

 母の気遣いが嬉しくもあり、気恥ずかしくもあった。

 頬を掻きながら、照れ臭くもそう答えた。

 何だかんだ、親って凄いんだな。

「しくじるなよ」

 前言撤回。

 この親……親じゃなかったら殴ってやる。

「母よ、何を考えてるんだ」

「いや待て……既成事実って最強か」

 驚いた表情の後に、気付いた事実を呟いた。

「おい」

「「やっちゃえ、翔太!」」

 親子揃って最低。

「翔太さん……?」

 隣でリリィが自分の体を抱きながら、戸惑いの視線を送ってきた。

「リリィの教育に悪いからヤメテ!」

 魔の手から守るべきだ。

 そう思い、二人の視線からリリィを守る。

 クリスはそのやり取りを見て優しく微笑んだ。

「ところで翔太はどうして帰って来たの?」

 姉がそんな寸劇を切り上げ、本題へと話を戻した。

「あー、そうだそうだ、本を取りに来たんだよ」

「ふーん」

「リリィ、ちょっと取ってくるから待ってて」

「はい、わかりました」

 俺は部屋の惨状を見せるべきではないと思い、一人で部屋へと向かった。

「久しいな……マイルーム!」

 扉を開けたらそこはオタクの部屋。

 アニオタ特有のタペストリーにフィギュアの数々。

「さてさて、普通の本は……」

ラノベを置いている棚の隣、本屋大賞や芥川賞、直木賞などの本を置いている棚を指でなぞる。

 有名な賞を取った本は欠かさず購入し、ネットで評判の良い本なども買っている為本棚はパンパンだ。

「おっ、あったあった」

 フランツ・カフカ『変身』。

 一度読んだ本なのに内容をよく覚えていないのはどうなんだろう?

 まぁ、何回も読み返せばいいだけだもんな。

「よし、さっさと帰ろう。リリィにとって母さんたちは教育に悪い」

 部屋を出て扉を閉めた瞬間、何者かの存在に気付く。

「翔太様」

 直立不動でクリスさんが立っていた。

「うぉおおおあ。クリスさんか……どうしたんですか?」

「いくつか質問をさせていただいても?」

 クリスさんは目を伏せたまま会おう呟く。

「は、はい」

「翔太様はお嬢様のことを『好き』ですか?」

「えぇ、好きですよ」

 質問に対し、口が勝手に動いた。

「偽りなく?」

「勿論です。最初は戸惑いましたが、今は自身を持って言えます。俺はリリィが好きです」

「それは良かった」

 薄く開かれた瞳がとても悲しく見えた。

「婚約に関してはまだ実感もないし、リリィが成長していく上でどうなるのかもわからないですから……何とも言えませんけどね」

「それでは――」

 深呼吸をしたクリスが真っ直ぐに俺を見た。

 息ができなかった。

 ほんの一瞬だけ、苦しかった。

「――愛していますか」

「……愛」

「えぇ、愛です。お嬢様を、リリィ・ロぺスを愛していますか?」

「……」

「心から必要とし、必ず守ると誓えますか?」

 言葉の意味を理解し、処理する前に次の言葉が投げられた。

「愛……はい。愛してます。勿論……です」

「迷いですね?」

「わかりますか? 愛というものを理解するには経験が足りないんだと思います」

 正直な気持ちを語った。

 クリスさんを前に嘘をついても意味はないし、見抜かれるのが関の山だ。

「それもそうですね。その歳で全てを理解していたら可笑しな話です」

「あはは……ですよね」

「きっと、翔太様も『愛』を知れると思いますよ」

「だといいんですけど」

「望めば自ずと手に入れることができるはずです。どうか、お嬢様に『愛』を」

 クリスさんが見せた優しい笑みは、きっとリリィを想っているからこそなのだろう。

「……はい」

「あぁ、それと」

「はい?」

「翔太様のご家族は皆さん面白いですね。お嬢様にはとても良い刺激です」

「はぁ」

「今も何やら楽しくなさっているようで」

「……」

「では、私はこの辺で失礼させていただきます」

 クリスさんは礼をし、玄関から外へ出ていった。

 直後に訪れた静寂の中、居間から声が聞こえてきた。

「リリィちゃん可愛いねぇ!」

「お姉さん頑張って作った甲斐があったもんよ!」

「これなら翔太だって――」

 嫌な予感、嫌な予感、嫌な予感。

 脳内でアラートが鳴り響き、足が回った。

 高速で居間の扉を開け放つ。

「リリィ!」

「……翔太さん」

 リリィがメイド服を着て恥ずかしそうに身をよじらせていた。

「これは一体」

「へいへーい、どうだい翔太君よぉ? 可愛いじゃろ?」

 姉がいやらしい笑みを浮かべていた。

「まさか、作ったの?」

「義理の妹になるワケよ? 愛でようじゃないの」

「姉さんの本気になるタイミングがわからないよ」

「私はいつだって本気よ」

 キメ顔でサムズアップした姉。

 非常にイラっとしました。

「二人ともリリィをからかわないでくれよ」

「妬いてるの?」

 母がケラケラと笑いながらそう言った。

「そっか、リリィちゃんは翔太のだもんねぇ」

「なっ……それは……それは」

「それはぁ?」

 舐めるような、試すような視線を姉は俺に送る。

 どう答えるべきか。

 恥ずかしくてたまらない。

 濁した答えで乗り切ってしまおう。

 そう思った刹那、クリスさんの言葉がリフレインした。

 『愛』

 わからない。わからない。

 けど。

 正直に語ればいいじゃないか。

「一応婚約しているわけだ。……否定はしない」

「ふえ?」

「リリィは俺の未来の奥さんだ。母さんと姉さんだとしても、やりすぎは容認できない」

「……っ」

 プルプルと震えながら耳まで赤くするリリィ。

「「ほおぉぉぉ」」

 ニヤニヤと笑みを浮かべる母と姉。

「な、なんだよ」

 皆の反応がむず痒くて、そう言葉が出た。

「いや、頑張れよって思っただけよ」

 右手をヒラヒラとさせながら姉はそう言った。

 『頑張れよ』

 姉の口からそんな言葉が聞けるとは。

「おう……んじゃ、帰るわ」

「はいよ、困ったことがあればいつでも来なさい?」

 母はそんな心配の声をかけてくれた。

 やっぱり親なんだな。

「ありがと。リリィ、行こうか?」

「……はい」




 姉からもらったメイド服を紙袋に入れ、手荷物が大幅に増えた帰り道。

 その途中、リリィの様子が変だったので声をかけた。

「リリィ?」

「……奥さん」

「え?」

 リリィの呟きを聞き取れずに聞き返した。

「私は奥さんとしてどうですか?」

 不安を抱えたような顔で、そう質問したリリィはどこか元気がない。

 元気づけるために、お世辞でも言うか?

いや、正直に答えるべきだ。

 嘘は傷付けるだけだから。

「んー……控え目に言って」

「控え目に言って……?」

「最高だね」

「えっ?」

 驚き。

 疑問。

「炊事洗濯掃除、どれを見ても完璧だ」

 いたって正直に、嘘など混ぜずに答える。

「そそそっ、そうですか?」

 照れ。

 歓喜。

 金色の髪をかき上げ、その手を頬に当て笑みを浮かべる。

 これはリリィが嬉しい時にする仕草だ。

「それに……あれだ」

 つい濁してしまった。

「あれって何ですか?」

 正直に、正直に答えるんだ。

「俺のことを好きでいてくれる。それが一番嬉しいさ」

「……翔太さん」

「と、言っても俺も人生経験が少ないからね、参考になるかはわからないけどね」

「いいえ、とっても嬉しいです。私が欲しいのは翔太さんの評価です」

「そっか…………よし帰ろうか」

「はいっ!」

 当たり前になりつつあるこの生活で、リリィが喜んでくれるのはとても良いことだ。

 そう、当たり前になった家に二人で帰り、ご飯を食べて……生活を共にするんだ。

 こんな完璧な奥さんなら、ロリコンを認めても……。

 いや、まだ決断するには早いな。

 今はこの生活を楽しもう。


こんにちは、

下野枯葉です。


できるだけ毎週投稿していこうと思っているのですが、リアルの事情で投稿できない時があります。

☆社☆畜☆


さて、今回のお話は実家に帰るお話です。

タイトルでは正直者がキーワードとなっています。

えぇ、正直者になりなさいと言われていた記憶が私自身にもあります。

だから、ロリコンさんにも正直な気持ちを語って頂こうと思い、今回のお話を書きました。


次回はリリィを軸に書いてみたいなと思っています。




私は今、一つの結末に向けてキャラクターを動かしていますが、中々動かすのが難しいですね。

できるだけ少人数にしているつもりなのですが、これから登場するキャラクターとか、管理が大変です。

ちゃんと表に纏めてるのですが……もっと効率よくできないかなぁ。


そんな近状報告を最後にして、続きを纏め始めたいと思います。


では、

今回はこの辺で。


最後に、

金髪幼女は最強です。

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