五十話 ロリコンは星を回す
十二月二十一日。
西宮高校では終業式が行われていた。
冷え切った体育館を温める為、業務用のストーブが床にを揺らす音を轟かせながらフルパワーで動いていた。
独特の臭いが鼻腔を擽り、眠気を吹き飛ばす。
校長の話は相も変わらず何度も聞いたことのある台詞を並べるだけのものだった。
年末年始の過ごし方や、年始のアルバイトに関する注意事項。
年明けにはテストや試験があることを釘刺し、降壇した。
去り際の言葉が頭に残り、進学と就職という言葉がリフレインした。
二年後、俺はどちらの道を選んでいるのだろうか…………そんなことより、三日後、俺はどんな状況に置かれるのだろうか。
ロペス社の食事会って、なんそれ。
結果次第では社会的に死ぬかもしれない。
リリィと同棲を決めたあの日の、姉さんの言葉を思い出したよ……崖っぷちかぁ。
と、そんな考え事をしているうちに終業式は終わり、教室に戻る。
終業式の為、昼過ぎには全ての授業が終わり放課後を迎える。
部室。
鍵を開け、ストーブの電源を入れる。
田舎だからなのだろうか? エアコンは使わず灯油ストーブを使うことになっている。
先程の体育館での臭いと似たものが部屋中に広がる。
それを堪えながら弁当を開き、昼食を始める。
昼食を摂りつつ台本に書き加えや、アルカナについて知識を深める。
半分程食べ終えたときに羽衣石先輩と天国先輩が部室に来た。
「こんにちはー、ってゆず君だけか」
「あ、先輩、いいところに」
丁度先輩ふたりに台本のことを聞こうと思っていたので箸を置いて、台本を手に近付く。
「ん?」
「台本を見てもらいたくて……タロットって詳しいですか?」
「タロット……翔太、今更中二病を拗らせたのか? それと今からはきついだろう?」
咄嗟に右目を抑えながら笑う天国先輩。
どうして俺が中二病の時に右目に悪魔が宿っていたと知っているんだ。こわい。
話を戻して。
「わかってはいるんですが、どうしても水瓶座がビビっと来てしまって」
ふたりは顔を見合わせてから肩を一度竦めた。
「詳しく聞かせて」
その仕草はふたりが呆れつつも昂ぶりを隠しきれなくなったものであるのは昔から知っていた。
俺は自分の口角が上がるのがよく分かった。
さあ見せつけてやる。
どんな反応が来るかはわからないが、この目と演劇に対する熱がある限り、最高を見せてやろうと思う。
「はい。単純に星とタロットへのシナジーは昔から考えてはいました。水瓶座と星のカードの性質は今回の物語の神田と星宮に良い影響を与えると思うんです」
「設定の処理は? 多すぎるぞ」
天国先輩は紙とペンを取り出し、現在の状況を纏めてから確認。
「上手く使えます。まず序盤で天文学を学び、協力体制になってもらいます。協力、理想家、そして互いの意見をぶつけ合う……その背景に正位置と逆位置を置きます」
「面白いね……要所でぶつけるのではなく、全体に入れると」
「えぇ……まぁ、今から変更は辛いですからね」
「逆位置の意味は」
「将来への不安から進めないと言った所ですかね。酷く相応しい」
「オッケー、それでどこまで纏まってるの?」
「とりあえず……」
それから俺は柊花と芽衣が来るまでの数十分を使って説明をした。
羽衣石先輩の瞳が輝き、ライトイエローが見える。
リリィにも見た色だ。
さぁ、台本の道は見えた。
手に取る為には全員の協力。協力の為には惹き付けるだけの魅力。
懐かしい気持ちを抱えながら右目に手を寄せる。
中二病のあの頃は悪魔を宿したが、今はそんな物騒なものではなく……もっともっと特別な力が宿っている。
魅力を感じる心の色はもう知っているから、後は俺の頑張り次第だ。
高校生活一年目……最後の劇は入学当初からは想像できない最高のものになりそうだ。
俺は右手を離し、ペンを取り、舞台図を描き始めた。
直上の星と恵みを注ぐ女性が回る舞台には、若き男女が躍る。
こんにちは、
下野枯葉です。
コロナ。
コロナ。
コロナ。
テレビをつけるのをやめた。
辛い状況が続き、職に対する不安が最高潮になってます。
マジでヤバいかも。
ずっと書いてられるーーーとか言ってる場合ではありません。
さて、そんな作者の近状は捨て置いて。
星。
あーあ。
書いちゃった。月並みだよぉ。
いいけど。
星です。
大アルカナ17。
水瓶座とのシナジーを知って書いてしまいましたが、大変魅力的です。
二千翔と紫雲の反応は今回描きませんでした。
それは次週からふたりのお話が始まるからです。(多分)
クリスマスはしばらく来ません。
まず、作者がクリスマスへの気持ちを整えて。
クリスマスへの憎悪を振り払って。
クリスマスの良い思い出を作ってから書きます。嘘です。普通に書きます。
……ぼっち。
さて、
今回はこの辺で。
最後に、
金髪幼女は最強です。




