四十六話 金髪幼女の渇望
十二月十九日
山城小学校の教室では算数の授業が行われていた。
割り算の筆算についての授業では教師が解説を細かく挟みながら授業を進行していた。
マス目が描かれたノートに規則正しく筆算を書いていく児童達……頭を抱えながら計算式とにらめっこをする者もいれば、早々に解いてしまい先のページをめくる者もいる。
リリィは後者に当たる。
ただページをめくってはいるが意味は無い。
その思考が昨日の出来事を占拠していたからだ。
翔太が持つ能力とは一体何なのだろうか?
舞台と言う限定された空間に対して真価を発揮するそれと、共感覚。
他人の感情を見てしまえる今……翔太は何を見ているのか。
(私のことは見えていますか?)
奥底からの想いだった。
優奈の言葉を思い出す。
『みんな翔太を好きになっちゃうよ』
一度目……リリィの人生を変え、リリィが翔太に惚れた劇。
二度目……花音に宛てた決別の劇。
前者は無論、後者でさえもリリィの心は揺れた。
ならばその場にいた他の人間はどうだろうか?
二度目ならば花音、柊花、芽衣だろう。
一度目は地区大会だからどれだけの人間がいたのかわからない。
その全てが好きになってしまったら……。
否定ができない話だ。
瞬間震えた。
明らかな恐怖だった。
「ロペスさん、終わりましたか?」
見回る教師が進み具合から声をかけてきたのだ。
「はい」
「では、次の……この問題も解いてみましょう」
「わかりました」
授業中に考え事をしてしまったことを自責し、集中する。
恐怖を忘れるために。
放課後。
家に帰る前に夕食の買い出しをしてから帰った。
いつも通り外階段を使い二階に上がろうとしたその時、一階に花音がいた。
「……花音ちゃん?」
「こんばんは。今日は忘れ物を取りに大家さんのところに」
「忘れ物?」
「兄の忘れ物を」
花音の手には紙の束と数冊のノートがあった。
「あ……なるほど」
状況を読み、納得したリリィは買い物袋を持ち直し、花音に近付く。
「そうだ、リリちゃん」
何度かノートとリリィを交互に見た後、花音は語り掛ける。
「はい」
「これ、お兄さんに渡してください」
ノートを差し出し、瞳を閉じた。
全幅の信頼が故になんの躊躇いもなく差し出す。
「でも、これは」
「いいんです。劇に使えるものですから」
「それでは受け取ります」
翔太の為になる……そう思ったリリィはその意思に応えると共に優しく手を伸ばした。
「はい……それに共感覚のことも」
その言葉に反応し、目は大きく開かれる。
好奇心が心臓を早く、早く高鳴らせ、呼吸を乱す。
知りたい……知りたくて堪らない。
渇望し、握る手が段々と力が入っていく。
「……あの目を知れますか」
こんにちは、
下野枯葉です。
やっと鬼滅の刃を見ました。
放送当時、面白そうだから一気に見ようと思い……今まで引き伸ばし続けました。
とっとと映画を見てこようと思います。
さて……『渇望』です。
みなさんは欲しくて堪らないものがありますか?
お金で買えるものですか?
信頼との交換でしか手に入らないものですか?
努力しても手に入らないものですか?
私は欲しいものがあります。
それは目に見えず、感じ取れないものです。
なので中々手に入りません。
悔しいです。
リリィは掴みとれるでしょうか?
翔太は?
柊花は? 芽衣は?
欲しがってもらいます。
掴むまでその心と体を削ってもらいます。
がんばえー。
さて、
今回はこの辺で。
最後に、
金髪幼女は最強です。




