表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PRIDE or BRIDE  作者: 下野枯葉
英断編
56/121

四十一話 ロリコン大食い大会!

 星奈柊花です。

 みなさん、チャンスです。

 巡ったチャンスを逃すつもりはありません。

 私が持ち得る全てを以って迎えます。

 好きな気持ちは伝えて失敗したし、絶対的な相手もいます。

 それでも全力を尽くします。


 翔太君自身も、翔太君が描く世界も、全てが欲しいから何も躊躇うことはありません。


 四十一話……行きます。



 ピンポーン……。

 呼び出しベルを押した瞬間に音が店内に響く。

「お待たせしました。ご注文どうぞ」

 店員は慣れた作業をするように淡々と決まった台詞を投げてくる。

「ドリア二つとポテト一つ」

 柊花はメニューを指差しながら丁寧に注文をする。緊張感が包んでいたが流石に第三者がいればいつも通り。

「と、シーザーサラダと旨辛チキン」

 サラダか。男だけで来ると頼まない印象が……偏見か。

「と、たっぷりマルゲリータピザと」

 ん?

「フォッカと」

 んんん?

「ペペロンチーノ……それとドリンクバーを二つ」

 本気で言ってる?

「ご注文繰り返させていただきます。ドリアが二つ、盛り合わせポテトが一つ、シーザーサラダが一つ、旨辛チキンが一つ、たっぷりマルゲリータピザが一つ、フォッカが一つ、ペペロンチーノが一つ、ドリンクバーが二つ……以上で宜しいでしょうか?」

 大量注文に対しても動じずPDTを確認しながら復唱。

 有り得ないとは思わないのだろうか?

 普通の男子高校生と女子高校生のふたりでそんなに食うと思うのかね?

「はい」

 柊花、承諾しないでよ。

「ドリンクバーは店内中央にございます。ごゆっくりどうぞ」

 一礼し、次の仕事に向かう店員の背中を軽く追ってから柊花の考えを探る為に視線を合わせた。

「翔太君は大食い女子、可愛いと思う?」

 ゲ〇ドウポーズでの質問……え、流行り?

「食えるの?」

 純粋に思ったことを投げかける。

 伝票を確認し数えた。

「……お金は払うから手伝ってもらってもいいかな?」

 柊花にしては珍しいドヤ顔だった。

「食べきれる注文をしましょう」

「御尤も。それで大食い女子は好き?」

「まぁ美味しそうにご飯を食べる人は素敵だと思う……けど無理して食べてる姿は見たくないよね」

 テレビ等で放送されている大食い対決を見ると魅力的と感じることは多々あるが、後半の苦しそうな表情と口を目一杯膨らましている姿を見るとスポーツ観戦に似た感情を抱く。

 こう、諦めるな! もっと泥臭く最後まで抗え! って声を荒げたくなる。

 熱くなっちゃう。


「そうだよね……お兄ちゃん」


 突然の上目遣いから、声色を変えた囁き。

 視線の揺らぎと口角の上がり方が俺の好みにドンピシャのそれだった。

「ッスゥゥゥ……」

 目を覆いながら天を仰ぐ。

 リリィや花音ちゃんの顔が『何故か』脳裏を過り、笑顔を咲かせていた。

 何だろう癒されちゃってる……え? 小学生相手だよな。

「え、妹が好きなの?」

「いやっ」

 頭に浮かんだふたりは決して妹ではないので即座に否定を返したが、悪手だった。

「ロリ……だね?」

「ッハァアアア……」

 会心の一撃が脳天一直線。

 覆った手をゆっくり下ろしながら天井に描かれている天使たちを眺める。

 この欧州の協会の壁画みたいなデザインはどういった理由で採用されたんだろう。

 因みに俺の嫁が一番の天使。

「でも、ロリにはなれないから無理。同い年だもん」

 肩を落としたものの笑顔があった。

 現実を見て、諦めに似た笑顔……見ているだけでなんだか心が擽られる、というかざわついてしまって居心地が悪い。

 堪らず目を合わせて励ましの言葉を投げようとした……。

 

 青い。

 

「悔しい?」

 美しすぎる青さが考える余地を無くし慈悲の無い声を出させた。

 声に出してから後悔した。

「それを聞かれると何も返せないね」

「……ごめん」

 俺の顔を見て柊花は気を遣ったような表情を一つ。

「翔太君は謝らなくていいんだ。待つことをやめて歩き続けると決めたんだから、これくらい乗り越えてみせるよ。……とりあえず飲み物取ってくるよ」

 青がゆっくりと赤を交えて元の薄紫に戻った。

 そして立ち上がって飲みたいものを訊ねる。

「あ、俺行くよ」

 こういうのは男が行くべきなのだろうか? と考えて半分腰を上げたところで止められる。

「ううん、私が行くよ。仕込みたいから」

 あー行かせたくない。

 仕込みって何だ? これも即興劇の続きなのか?

「ドジっ子でジュースをぶち撒けるのはやめてね。あ、ウーロン茶で」

 抑止力として最悪の事態だけ回避する。

「そんな安直な作戦は使わないから期待してね」

 あー期待したくない。

 不安に胸を膨らませ(こんな言葉使いたくなかった)座して待つ。

 意味もなくスマホを開き意味もなく画面を左右に動かす。

 心を落ち着かせる為のこの一連の行動は本当に意味が無い。

 一体どんな作戦を企ててくるのだろう。

「柊花と恋人……か。美人だしな」

 想像したのはリリィとの衝撃的な出会いが無かった世界線。

 こんなにも献身的……と言うか、気持ちを前面に出すのだから受け手は嬉しいだろうし、その真面目さから不信になることは無いだろう。

 そして不意に見せる蠱惑的な雰囲気は他の誰も寄せ付けない魅力だ。

「婚約者がいるのにそんな台詞を言ってしまっていいのかい」

「おわっ? 聞かれてたか……で、次の作戦は?」

 戻ってきた柊花がウーロン茶の入ったコップを二つ持ちながら腰掛けた。

「今の台詞を聞いたら忘れてしまったよ。恋する相手に美人と言われたら嬉しくて何も考えられなくなるのは道理だよ」

「そう……か」

 心がむず痒くて、口を尖らせながら感情を誤魔化す。

「次が思いつくまでいつも通りで……はい、ウーロン茶」

「ありがと」

 飲み物を受け取り口を湿らせて一旦落ち着く。

 再度周りの景色を確認すると、先程よりも混んできた。

 駅が近いこともあり隣駅の高校の学生やサラリーマンが増えてきた印象がある。

 その中で軽く瞳を伏せながら次の作戦を考えている柊花は際立って美しく、惹かれるものが確かにある。実際、席の横を通り過ぎる人は二度見をしてくる。

「ん? どうかした?」

「いや、柊花はいつも通りが一番だなって」

 自然と投げられた疑問に自然に答えを紡いだ。

 脊髄反射であるのだから嘘を考える暇など無いし、それはきっと柊花も理解していたのだろう。

「……ん、その、面と向かっては…………照れる」

 俺の答えを聞いて赤面。

 毛先を数度摘み、目を泳がせる。

「……ごめん」

「だから翔太君は謝らなくて――」

 もはや定型文となりつつある台詞の途中で店員が料理を運んできた。

「――お待たせしました、こちらドリアが二つとシーザーサラダになります」

「おっとぉ」

 遮られたことに戸惑いながらも料理を受け取る。柊花はサラダを丁寧に小皿に取り分け、食べ始めようとする……が次の店員が来る。

「お待たせしました、こちら――」

 数分後……何人かの店員によって運ばれた料理達を囲み俺と柊花は呆然としていた。

「翔太君……ごめん」

「柊花、謝らなくて……いや、頑張ろう」

 決め台詞を奪ってやろうとも考えたが、眼前に広がる男子高校生が四人くらいで食べる量が圧倒し、心意気を一つ。そして自分と柊花を鼓舞する。

「うん」

 とりあえず互いに注文したドリアを食べ始め、簡単な感想を口にする。

 うん。

 正直この値段でこの味は最強だと思う。

 うんめぇ……。


 一時間くらい他愛の無いことを話しながら食事を進めた。

 残っているのはピザ数切れとポテト、それにペペロンチーノだ。

 正直キツイけれど美味しいので食えている。

「翔太君、台本について聞きたいことがあるんだ」

 お互いの箸が止まりつつある中で柊花はいつも通りそう聞いてきた。

 謎の作戦のことはもう忘れてしまったのだろう。

「ん? どこ?」

 俺も少しだけ部活モードになりながら脚本に携わる者として演者からの質問に耳を傾ける。

「ううん、今回の台本じゃなくて台本の書き方について」

 中々伝心せず、遠回りをしてしまった。

 台本の書き方、と言っても様々だ。

 俺はネットで基本的なことを抑え、沢山の物語を読むことで感覚を掴んで書いている節があるので上手く説明できるか不安だ。

 けれど、応える為に脳内で言葉を選びながら必死に文章を考えた。

「書き方? とりあえず起承転結とか、序破急とか――」

 グッと柊花は顔を近づける。

 真実を知りたい、待ちきれない……欲しがった黄色。


「――基本的な事じゃなくて、登場人物の心情は……ううん、違う。私のこと見てるけど……何を見てるの? 多分それが感情を表現する為の答えなんだよね?」


「……なんで」

 核心を突かれ硬直した。

 疑問、疑念、疑惑。

 どうして知っている?

疑う気持ちが積もる。罪を白状する罪人のように言葉が溢れそうになったが誘導尋問的なことを思い出し、言葉を仕舞う。

「説明が難しいけど……背後霊を見られてる感覚?」

「あぁ……なるほど。でも、気付かれてたか」

 柊花の説明が的を射ているようで少し外れていて安心した。

 疑った心を攻めながら柊花の審美眼を褒める気持ちがあった。

「え?! 日本兵いるの? 私の後ろに?」

 ホラー映画じゃないんだから……日本兵って……。

「いやいや、霊的なのは見えないよ……感情が色で見えるだけ」

 声色を真面目なものに切り替えて情報を説明する。

 共感覚のこと、それを使って今回の『星の語部』の加筆修正を行ったこと、まだ色と感情が正確に繋がっていないこと。

 何度か柊花からの質問があり、それに答える。

 狡いと思われただろうか? 怖いと思われただろうか?

 柊花の色は深い緑から段々と明るくなっていき、その後読み取りづらい色を経由してから黄色になった。

 見たことのある黄色。

 これ、さっき見た色だ。

 鼻と鼻がぶつかりそうになるくらい顔を寄せて瞳を合わせる。

 瞳の虹彩と瞳孔がくっきりと見えた。

 ダメだ柊花……昂ってしまうんだ。二度目ともなれば脳に焼き付いてしまう。

 柊花から視線を外そうとするが天使の絵画が際立ててもっと惹き付けられる。

「ちょっ…………と?」



「もっと見せて」



 甘美な誘いは脳を蕩けさせるのには十分だった。



 リリィ……ごめん。


こんにちは、

下野枯葉です。


日曜投稿……できましたよ。

先週と先々週は失敗しましたからね。

反省を活かし、日付が変わってすぐに投稿してしまおうという考えでしてね!

やーいやーーーい!

見たか! 先週と先々週の俺!

今週は失敗しなかったぞぉ!

やったぜ!!!


……。

何をムキになってるんだ、俺は。


さて、今回は大食い大会です。

テレビの大食い大会で地元の食べ物が紹介されたとき、何故か自信満々になりますよね。

その感覚が懐かしくて書いてしまった気持ちが三割です。

七割は本編に沿ってますから安心してくださいね。


大食い、翔太君は大食いキャラではないんですけどね、男子高校生なのでまぁ二人前くらいは食えると思います。

たぶん。


そして続きに魅力を感じてもらっています。

いやー、英断……する為頑張ってほしいなぁ。


続きを書くのが楽しみです。


さて、書いてきまーっす。


今回はこの辺で。





最後に、

金髪幼女は最強です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ