二十九話 ロリコンはヘレニズムを学ぶ
十二月七日。
西宮高校。
「アレクサンドロス大王はダレイオス三世を倒し――」
歴史の授業中、俺は堂々と台本を書いていた。
三日からずっと書き続けているこの台本は、花音ちゃんの為の物語。
今は亡き兄と出会う為の物語。
「ヘレニズム、ここはテストに出すからなー」
参考資料は勿論、宮代翔太さんの台本にメモ帳だ。
その全てに妹が登場するというシスコンの鏡ともとれる最高の資料。
メモ帳の中には『花音』の文字が何度も何度も出てきた。
思い出がいくつもあった。そして『花音』への想いも。
「そういえばアレクサンドロスはイスカンダルと呼ばれていたりする。オォ……イスカンダルゥ……」
あれ、今この教師ふざけた?
ダレイオスの思念?
キーンコーンカーンコーン……。
「オォ……ゴウレイィ」
どこから声を出しているのだろう?
教師は授業終了の為、思念を宿しながら指示をする。
「起立」
委員長は何事もなく号令をかけた。
え? 変だと思うのは俺だけ?
立ち去る教師が英雄に見えた気がした。
こy。
その後も俺は順調に台本を書き進めた。
ふと、周りを見渡すと誰もいなくなっていた。
「……え?」
俺を残して……みんな消えた?
嘘……だろ?
静謐な教室で、頭を掻きむしりながら呼吸を整える。
ゆっくりとスマホを取り出し、誰かに電話をしようとする。
その瞬間、俺に電流走る。
放課後じゃーん!
って部活じゃねーか!
「やばいやばい、あと五分で部活始まっちゃうじゃんか」
俺は荷物を手早く、乱雑にバッグに詰め込み、教室を後にした。
こんにちは、
下野枯葉です。
さぁ今回は真面目に行きますよ。
翔太君は高校生ですから、勉強をしていただかないと。
ヘレニズム、懐かしいですね。
うんうん、勉強することはいいこと!
そういえば、今年の夏は暑くなりそうですね。溶けそう。
蕩けそう。
パソコン守ろう。
では、今回はこの辺で。
最後に、
金髪幼女は最強です。




