二十四話 ロリコンは想いを受けて過去に手を伸ばす
こんにちは、杠葉翔太です。
んー……。
今日は何も話さなくていいや。
だって、最高に幸せだから。
それじゃ、二十四話始めます。
十二月一日、朝九時。
杠葉家。
俺とリリィは荷物を持ち、母さんと対面していた。
荷物、と言っても最小限だ。
昨日のうちにロペスの子会社の運送会社がある程度運んでいる。
今日持っていくのは個人的に必要と思ったものだけだ。
因みに俺は本と枕を持った。
「ところで、ふたりとも寝不足? 楽しみすぎて寝れなかったの?」
冬の低い光に目を細め、気怠そうにしている俺と、頭を前後に振り、夢と現実を交互に行き来するリリィを見て、母さんはニタニタと笑った。
「まぁ、そんなとこ」
嘘を誤魔化す。
「ふーん、若いっていいわね」
あぁ……この反応は誤魔化せてないな?
「ほら、リリィ?」
「はっ! ……はいっ!」
肩を揺らし現実に引き戻した。
短くアイコンタクトを行い、杠葉の家を見る。
「行ってきます」
「行って参ります」
手を繋ぎながら母さんに頭を下げた。
「いつでも帰ってきていいからね」
母さんは普段見せない優しい笑みを浮かべていた。
この笑みは憂いの伴ったものである。早すぎる門出が寂しいのだろう。
予想の範囲は出ないけどね。
俺とリリィはアパートへ……アムール宝狼二〇三号室へ向かった。
◇
宮代花音は十二月の朝に溜め息を吐いた。
これからのことを考え、朝食は少なめに摂る。
土曜日だというのに、両親は何やら忙しそうだ。
花音は両親の行動の意味を理解しようとすることなく、二階へ上った。
兄の部屋への足取りは非常に軽かった。
だが、目の前に立つと途端に重くなる。
ゆっくり、一歩。
部屋の中に入った。
こんな序章で苦しんでいる暇はない。
「今から、会いに行きます」
冷や汗で全身を濡らし、視界が歪む中、兄の机の上にある鍵を取った。
「……兄さん」
絶対に離さないように鍵を握り締め、祈りを捧げる。
「行きます」
家を飛び出す。
一年前はほぼ毎日通った道。
兄に会うためのアパートへの道。
募る想いの中で、川の流れの音が聞こえた。
瞬間、吐き気を感じて立ち止まったが、すぐに切り替え走り出した。
◇
アムール宝狼に到着し、階段を上る。
二〇三号室の玄関がもう、そこに。
「「え?」」
俺とリリィは驚きと共に同じ音を出した。
二〇二号室の前に花音ちゃんがいたのだから。
「花音ちゃん、どうしてここに?」
リリィは戸惑いつつも疑問を投げた。
俺も疑問で仕方なかった。
住んでる家までバレた?
「……ここは兄の部屋です」
「えっと?」
俺と間違えた兄?
というか、お隣さんはあまり外に出ないからどんな人か知らないんだよな。
「昨日のことは本当に申し訳ありませんでした。ところで、リリィちゃんと翔太さんはどのような関係なんですか?」
俺とリリィの姿を再確認し、花音ちゃんは率直に疑問を投げた。
「あっ……えっと――」
睡眠不足の弊害か。
思考が上手く纏まらず、戸惑うリリィ。
正直に答えるべきとは思いつつも、言い方を考える。
俺は、そんな心配は必要ないと肩に手を置き、台詞を一つ。
「――リリィは俺の婚約者だよ」
表情は崩すことはない。
「え、あ。あはは……冗談、ですか?」
「本当だよ。今日から二〇三号室で一緒に住むんだ」
リリィと視線を一度合わせ、互いの気持ちを共有した後、微笑んだ。
「お隣さんとは知らなかった。今度挨拶しに行くね」
逸らされた話を元に戻し、礼儀を前に出した。
そうだ、花音ちゃんは礼儀正しい女の子だ。
こっちだって丁寧に行こうじゃないか。
「いえいえ。あ、そうだ翔太さん。旦那さんではなく、私の兄になりませんか?」
えっ。
右手を伸ばし、甘い誘い。
花音ちゃんは面白いことを言う子だ。まったく。
心臓飛び出ちゃう。
「……翔太さん?」
えっ。
振り返るとリリィの笑顔。でも見たことのない笑顔。
リリィはたまにそういう怖い表情をするから堪らないね。まったく。
いやいや……シャレにならないくらい怖い。
何その人を殺しそうな目は。マゾだったら興奮して達してたなぁ。
「とっ、とりあえず花音ちゃんのお兄さんに申し訳ないから、お兄ちゃんにはなれないかなぁ……。お隣さんだったら、今度挨拶をさせてもらうね。それじゃ」
状況を簡単に切り上げ、俺はリリィと二〇三号室に入った。
「……兄さん」
花音ちゃんは涙を拭いていた。
◇
懐かしい匂いが鼻腔を擽る。
「ただいま帰りました」
リリィは懐かしい部屋を見つめ、自然と呟いていた。
「ただいま」
俺もリリィに倣い呟いた。
不意に隣の部屋の方向に視線を移した。
もう一つの生活があるのだろう。
「翔太さん、実はお話したいことがあります」
靴を脱いで部屋の中に入った俺にリリィは真剣に切り出した。
「ん?」
空気の変化に順応できず、いつも通りの返事をする。
振り返り、リリィの顔を見て後悔をした。
浮かない表情……という優しい表現は十分ではない。
思考を巡らせ、考え、悩み、自分の無力さをまざまざと叩き付けられてしまった表情。
「花音ちゃんのお兄さんは既に亡くなっているんです。翔太さん。花音ちゃんの気持ち、わかりますか? 私は知りたいんです。花音ちゃんが何を想って翔太さんに迫っているのか、何のために兄の死を隠しているのか……私は聞くべきでしょうか?」
押し寄せるように流れた情報を整理して、言葉を探す。
リリィの願い。
自分の持つ情報と照合し、解決策を導く。
一つだけ思い出した。
「花音ちゃんは大切な友達だよね?」
「はい、勿論です!」
「そしたら、少し待っててくれ」
「……はい、一体何を?」
「花音ちゃんのお兄さんを知ってる人がいるんだ」
「そんな人が?」
「あぁ、羽衣石先輩と天国先輩は知っていると思うんだ」
俺が入学する前に書かれた台本の作者の名前が『宮代』だったことを思い出し、僅かに見えた手掛かりに全てを託した。
こんにちは、
下野枯葉です。
最近、題名を考えるのを悩み始めました。
縛り大変だなーって。
がんばおー。
さて、刻みます。
今後の展開を紙に書き出して、整理しつつ文字にしているんですが……。
物語上では十二月に入りましたが、二月まで予定がパンパンです。
刻みます。
マジで、三年生の卒業がヤバい。
台本の内容と物語の進行を絡めようとしてるんです。
キツイ。頑張るしかないね!
刻みます。
四展開って……書籍化してる人たち、やべー……。
どういう脳みそしてんの?
管理できねえってばよ。
刻みます。
まぁ、頑張るしかないですよね?
細かくする関係上、投稿頻度が下がると思いますが、読み続けて頂ければと思います。
では、今回はこの辺で。
最後に、
金髪幼女は最強です。




