二十・五話 金髪幼女を愛する時
皆様、久方振りでございます。
ロペス家、執事のクリスでございます。
本日は皆様の知らないアリサ様をご覧頂きましょう。
前提として、先の告白劇からアリサ様はリリィ様のことを溺愛し始めました。
と、言うより、愛し方を覚えようと努力し始めました。
そして、表情が動かない……動きが小さい、ということを話しておきましょう。
アリサ様のそんな一面が顕著に表れた出来事になります。
さて、参りましょうか?
二十話の裏側……二十・五話、始まります。
アリサは無言で書斎にいた。
微動だにせず、二時間が経過していた。
ゆっくりと手を伸ばし、手元にあるベルを鳴らした。
「クリス」
溜め息をついたアリサは短く声を出す。
「はい」
右手を胸元に当て、頭を下げ、書斎に現れたクリスは命令を待つ。
「……どうする」
深刻に思いながらアリサは再び短く声を出す。
二時間の思考。
その内容はこの日行われる、杠葉家での食事会の準備だ。
(あくまで杠葉家は一般家庭だろう? ドレスコードは不要と考えるべきか。しかしある程度は必要だ。手土産は? こういった家庭は何を貰うと喜ぶのだ? 菓子折り……洋菓子、和菓子……甘いものが苦手ということも考えられるな。では茶葉の詰め合わせか? いや、もっと普段使いの良い、調理に関係する……確か子会社で調味料キットを販売し始めて好評と聞いたな。では、それにしてみるか。そういえば夕餉はリリィの作る食事と言っていたな……楽しみだ。数カ月の同棲と、杠葉家での生活で料理の腕も上げたのだろうな。久しく感じていない、この高揚感……悪くないな。そういえば杠葉の家族構成は……父親は単身赴任と聞いたな。となると、翔太君は女性に囲まれた生活を送っているのか。確か、部活も女子の中で男一人と聞いたな。女慣れ……リリィにとって悪影響がなければ……。閑話休題。服装だ。派手に着飾るのは無論、不要と認めよう。毎週の食事会と同じ格好で良いのか? しかし、メニューに合わせた服装が無難だな。リリィは和食が得手だったはずだ……ほう? 着物か! いやいや、流石に浮くだろう? そうだ、リリィの作る煮物……あの子は出汁を引くのが上手くて。うん、脱線したな。どうするべきか? もういっそ……)
「いつも通りで宜しいかと」
二時間のループを打開すべく、最適解を提案する。
因みに、アリサが思考ループに陥っていることを知るには、十年以上の付き合いがあってかろうじてできる……と言ったところだ。
「慣れないことは如何なる時でも難解だ。……私もまだまだか」
「……」
額に手を当て、首を振るアリサにクリスは言葉を返すことができない。
(アリサ様はリリィ様のことになると…………不器用なお方だ)
「では、そのようにしておけ」
しかし当人は何も気付いていない!
クリスも主従関係さえなければ、親バカですね。と呟いていただろう。
その人間性から正直に言葉にすることは無いだろうが……流石に度が過ぎた親バカだ。
「かしこまりました」
クリスはいつも通りに返事をして、頭を下げながら退室。
扉が完全に閉まったのを確認し、準備の為、事務室へ向かう。
途中思わず笑みが零れる。
年の功だ。
子を想う気持ちが微笑ましかった。
こんにちは、
下野枯葉です。
暇が暇で、暇です。
今回は、超……裏のお話です。
マジで、書いてて楽しかった。
この、アリサってキャラ……我ながら最強なキャラに仕上がったと思います。
いやー……楽しいわー。
では、今回はこの辺で。
最後に、
金髪幼女は最強です。




