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PRIDE or BRIDE  作者: 下野枯葉
選択編
21/121

十三話 ロリコンは劇に踊らされ、悩みを吹き飛ばされる

「さて、この無職の老い耄れの話を聞いてくださいますか?」

 クリスさんは焼きそばにたこ焼きを机に並べ、丁寧に食事をしながらそう言った。

「わかりました。聞かせてください」

 対面して座り、渡された爪楊枝でたこ焼きを一つ貰う。

 いつ以来だろうか?

 こうしてクリスさんと話すのは。

「初めてお会いした時と比べ日は短くなり、肌寒くなりましたね」

「えぇ。もう三カ月ですか」

「お嬢様との出会い……覚えていますか?」

「勿論。鮮明に」

 実家の夏の居間だ。

 暑かったなぁ。

「ではその理由は?」

「忘れるわけがありませんよ。ロペス家の伝統です」


「そうでしたね……そんな作り話もございましたね」


「……ん?」

 ……ん?


「付け焼刃の演技ではありましたが、上手く騙せていたようで何よりです」


「んんん?」

 んんん?

「あの時の胸の高鳴りは、忘れられません」

 嬉しそうに胸を抑えながら笑うクリスさん。

 笑えねぇよぉ!

「まままっ、待ってくださいよ! 作り話って、えぇ?!」

「嘘でございますが?」

「どうしてそんなことを?」

「お嬢様の初めての我儘でしたので」

「ワガママ?」

「順を追っていかねばなりませんね。翔太様には貴方の身の回りの裏側で何が起きていたかを知って頂きましょう」

 食べ終わった焼きそばやたこ焼きのゴミを袋に入れ、縛り、クリスさんは語り始める。




 リリィ・ロペスの人生は物心付いた時から、感情の起伏が少なかった。

 理由はとても簡単なもので、クリス以外の人間との関りが無に等しかったからである。

 そんな少女は惰性のように日々を生きていた。

 淡々と生きていた。

 そんな時にある出会いをした。

 西宮市民ホールで行われていた中学校演劇。

 この運命的な出会いは、翔太には何もなかったに等しいが、リリィにとっては全く違ったのだ。

「この手を取れ! 絶対に離しはしない!」

 中学生活最後の舞台で、翔太は叫ぶ。

 上手後方の二重舞台に佇む少女は無言で俯く。

「お前を縛るものなんて……俺が壊す!」

「どうして……どうしてそこまでしてくれるのですか?」


「……愛しているからだ」


 リリィ・ロペスは涙を零す。

「…………愛」

 心を打たれ、脈が速くなる。

 クリスと共に劇場を出て、ゆっくりと感想を口に出す。

「演劇……とても良いものでした」

「私も学生の時、友人たちと舞台を開いたものです。自分ではない人間になれる、とても有意義な時間を過ごしていました」

「自分ではない人間……ですか」

 リリィは舞台で叫んでいた少年のことを思い出す。

 あんなにも情熱的に叫ばれたら……。


 そんなことはあり得ない。

 あの人だって、演じていただけ……




……だけど真に迫っていた。






「そしてその翌年、再び運命的な出会いがあったのです」

 公園での出会い。

「あの時のお嬢様は家出をなさっていたのです」

「家出……ですか」

「その後、家に帰ってきたお嬢様が言ったのです」

「……」

「『私、あの人に会いたいです』と」

「あの……それじゃあどうして婚約とかになったんですか」

「我ながら良い脚本が書けた気がします」

「貴方が……元凶だったのか!」

 俺はクリスさんの掌の上で踊らされていたというのか?

「でも、翔太様はお嬢様のことを好きになりましたよね?」

「……はい」

 何もかも見透かされていた。

 クリスさんの脚本に登場する人物でしかないのだろうか?

「大まかな話は以上です。詳しいことはお嬢様にお聞きなさってください」

 いいや。

「でも、リリィはもういません」

 クリスさんがどんなに凄い脚本家だったとしても現実は動かせない。

「いいえ、まだ間に合いますよ。……これを」

 クリスさんはシンプルなデザインの便箋を取り出した。

 封筒の表には『翔太さんへ』と書かれていた。

 封は花のシールでされ『リリィ・ロペス』の文字があった。

「翔太様、私の役目はここまでです。後は貴方次第です。……では」

 クリスさんはそう言い残し、ゴミを持ち部屋を出る。

「そうそう、私は仕事をサボってクビになりました」

 そんな捨て台詞の直後、芽衣と柊花が部屋に入ってきた。

「部長、今のは……」

「あぁ……」

 柊花が声をかけてきたが、あまり良い返事をできなかった。

 なぜなら、リリィからの手紙を読むか否かを悩んでいたからだ。

「何読んでるの?」

 芽衣は覗き込みながら聞いてくる。

「いや、読んでないんだけど。リリィからの手紙でさ。うん、読んだ方がいいのかなって」

「……そう」

 良い返事が思いつかないのだろうか?

 ……そうじゃないだろ。

「部長」

「ん?」

 いつまでも悩む俺に柊花は声をかけてきた。

「リリィちゃんのことは好き?」

「……え? お、おう。まぁ」

 急に聞かれたその問いに、濁しながら本意を言葉にする。

「じゃあ、読むべきだと思う」

「どうして?」

「部長の為だ。私は部長が困っていたり、悩んでいるのが嫌だから。部長の幸せを願っているから」

「……え?」


「部長のことが好きだから」


「なっ?」

 息を呑み、静寂を認める。

 惹き付けられた。

 柊花の優しい笑みが脳裏に焼き付いて離れない。

「……柊花っち」

 背後で芽衣の声が微かに聞こえた。

「さあ」

 柊花に促され、俺は覚悟を決める。

「……わかった」

 ゆっくりと封を切り、手紙を開いた。




 まったく…………リリィは字が上手だな。


こんにちは、下野枯葉です。


二週間。

空いてしまいましたね。

何とかできなかったものか……。

まぁ、うん。



さて、今回はクリスとの話の続きとその後の展開についてです。

いやー……この展開を書きたくて書きたくて。

ついに来ました!

楽しぃ!!!

楽しぃ!!!

楽しいいいいいぃぃぃぃぃ!!!!!


はい。

モチベ上がりまくりなんです。

うん。

自分が楽しいのが一番ですね。


本当に本当にラストシーンが見えてきました。

数年前に見た光景を遂に書く時が来ます。


あの光景を、

自分のものにしておくのは勿体ない。


早速書いてきます。




では、

今回はこの辺で。


最後に、

金髪幼女は最強です。

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