十・五話 金髪幼女は本来の生き方を知れない
「おはようございます」
リリィは小さな声でそう言いながら頭を下げる。
ここは西宮地区にある高級マンションの最上階。
ロペス家の所有するマンションだ。
「おはよう、リリィ。早く済ませなさい」
西宮の街を一望できる大きな窓を背景に、リリィの母、アリサ・ロペスは淡々とそう言う。
「……はい」
大きなテーブルに並べられた朝食はバランスが取れており、最高の朝食と言えよう。
しかし、そんな朝食とは裏腹に会話の無い静かな食事が始まったのだ。
アリサは朝食を摂りながらノートパソコンを操作する。
「リリィ、もう十分だろう? 今月末に帰るぞ」
コーヒーを一口飲み、ゆっくりと息を吐いてからそんな言葉を出した。
「今月末……」
リリィは目頭が熱くなるのを感じ、唇を噛んだ。
今月末は西宮高校の学校祭がある。
行きたかった。翔太の作る劇が見たかった。
しかし、アリサが帰ると言ったのだ。帰らざるを得ない。
「……わかりました」
募る思いを堪えながら、朝食を終えたリリィは学校への支度を始める。
山城小学校までの道のり。
リリィはクリスの運転する車に乗っていた。
「クリス」
数日前までの元気な声は何処へやら、か細い声がエンジン音にかき消されそうになりながら車内で発せられた。
「如何なさいましたか、お嬢様」
とても優しいいつもの声だった。
「……翔太さんは」
「契約終了まであのアパートに住まれるようです。今は学校祭に向けて邁進されていますよ」
ほんの少しだけ笑顔を見せたクリスは、翔太の現状を伝える。
「そうですか……」
「お嬢様。恐れながら申し上げます。ご自分の気持ちを正直に見つめてみませんか?」
リリィの曖昧な返答にクリスが発言した。
年の功なのだろうか。
こんなお節介を焼いてしまうようになったのは、年を取ったせいなのか。
などと考えるクリス。
「……それは…………できません。お母様には逆らえません」
まだ九歳の少女だ。
本来ならば、小学校という場所で社会の一端を学び学友と一喜一憂しながら成長していくはずなのだ。
しかし、それはできないのだ。
「それでもお嬢様はお嬢様です」
「……クリス」
諦めに似た感情。
泣いてしまうことさえ忘れてしまう程、リリィの人生は歪んでいた。
こんにちは、
下野枯葉です。
最近無理な食生活をしたせいで、体のリズムみたいのが変になり、
気温の変化について行けずに風邪をバッチリ引きました。
つらいぃぃぃ。
さて、今回はリリィが家を出ていった直後のお話です。
リリィの母をきちんと描写したいのですが、
ちょっと、書けていません。
甘えなんですけど、甘えじゃないんですよ。
まぁ、次になればわかるかなーと
では今回はこの辺で。
最後に、
金髪幼女は最強です。




