十話 ロリコンは正常を取り戻し、プライドを脳に焼き付ける
「行ってきます」
アムール宝狼二〇三号室に俺の声が響いた。
虚しさが心に刺さる。
「……」
いつもの返事を求め、玄関から部屋を見つめる。
苦しい。
鍵を閉め、学校に向かう。
悲しい。
途中で、コンビニに寄り昼食を買う。
惰性のように授業を聞き、今までの日々を振り返る。
リリィ……。
放課後を迎える。
リリィ……。
部活が始まる。
部室の窓を開けると肌寒い風が肌を刺した。
九月も終わり十月になった。
学校祭は十月末だ。
劇も台本が完成し、芽衣と修正を行いつつ柊花の劇の指導を行う。
孤独な少女の話。
今の俺と似た境遇か。
「翔太、また今日もコンビニ弁当?」
「おう、そうだけど?」
「バランス考えないと体がもたないわよ?」
「まぁ、そうだな。気を付ける」
芽衣がそんな心配をしてくれる。
二人にはリリィが居なくなったことを伝えてある。
「部長、何なら私がお弁当を作ろうか?」
「とっ、柊花っち?!」
「一つも二つも変わらないから」
「とっても魅力的な提案だけど迷惑になっちゃうから遠慮しておくよ。それに、来月になったらアパートの契約も切れて元の生活に戻るから」
そう、アムール宝狼の契約は十月までだ。
クリスさんには、すぐに戻るのであれば引っ越しの手配をすると言われたがそれはできなかった。
リリィが戻ってくるかもしれないから。
家に帰ってきて誰もいないのは可哀そうだから。
俺にできるのはギリギリまで待つこと……偽善なのか。
今は忘れろ。
劇に……集中しないと。
「そんなことより、柊花は劇に集中してくれ。何せ、今回の要だからね」
「……うん、わかった」
その後順調に練習は進んだ。
本番では音響照明の動きは極力抑え、スポットライトを使うだけにした。
順調だ。
このまま本番まで、柊花の細かい動きを整えるだけだ。
至って…………順調なんだ。
「ただいま」
帰宅。
静寂だ。
「……」
いつものように荷物を降ろし、シャワーを浴びる。
浴槽に湯を張るのは面倒でしばらくシャワーだけだ。
汗を流し終え、キッチンへ向かう。
冷蔵庫には手を触れず、鍋で湯を沸かす。
インスタント麺を慣れた手つきで作る。
具材は何もない。
テレビをつけるとシリアスなドラマがやっていた。
それを半分笑いながら横目に写し、麺をすする。
「はぁ……」
溜息が漏れた。
孤独だ。
学校の宿題を雑に片付け、台本を開き台詞を叩き込む。
俺はキャストでなくとも、台詞は全て覚えるようにしている。
そして、今回は柊花の動きを想像し、新たな演出を見出そうとする。
『悲しい。そんな言葉では表現しきれないわ。』
「んー……」
小さな動きで、腕を動かし、表情を作る。
それを台本の開いているスペースに書き込む。
『貴方が……貴方がっ!』
「違う。リリィ、あの……さ」
アドバイスを求めようと口が自然と動いた。
しかし、求めた先には誰もいないことを思い出し、唇を噛み締める。
「……………………」
キッチンに目を向け、今まであった幸せを感じる。
でも、それはイレギュラーだったのだ。
九歳の女の子と同棲なんてありえないじゃないか。
ロリコンって呼ばれて終わりだ。
それは……
プライドが許しはしないだろう。
こんにちは、
下野枯葉です。
最近暑いですねぇ。
パソコンが悲鳴を上げています。
なので、ちょっとメンテナンスをしようかなと思っています。
さて、今回はリリィのいなくなった翔太の生活を描きました。
そして周りのキャラクターも大きく動き出させようと思っています。
変わります。
翔太の姉も、母も。
芽衣も柊花も。
普通に描けるか心配ですが、楽しくを最優先にやっていこうと思います。
因みに、お盆のせいもあり、曜日感覚を失ってしまい昨日投稿できませんでした。
しゃーないですね。
それでは、
今回はこの辺で。
最後に、
金髪幼女は最強です。




