九話 ロリコンの瞳は舞台の少女を捉える
どうもこんにちは、星奈柊花です。
先日芽衣と一緒に山城通りを歩いていたら、部長に会いました。
正確には、部長と金髪の女の子でした。
跪いて手を取る部長の姿は、劇のワンシーンみたいでした。
でも公衆の面前では……。
それに、一緒に暮らしていました。
事情を聴いて驚きましたが、そっと見守ってあげたいと思います。
部長は悪い人じゃないから。
そういえば、部長の雰囲気が変わったところでしたね。
きっと部長は、翔太君は私達を導いてくれます。
だって、私が変わるきっかけをくれた人だから。
では、九話始まります。
「ちょっと翔太、台詞が違うわよ」
芽衣が台本との違いに対し、文句を言った。
スマホを置き、紙とペンを取り出す。
咄嗟に取り出したため赤ペンであったが気にしてなどいられない。
書け、書け!
描けっ!
「部長?」
柊花は俺が赤ペンで文字を書いているのを見て、疑問を膨らませる。
「リリィ、キーボードお願い」
「はいっ!」
俺はスマホの画面をメモに切り替え、リリィの持ってきたキーボードを接続する。
メモを乱雑に机の上に広げる。
しかし、順番は守り、絶対に入れたい台詞、情景は丸で囲う。
「芽衣、体育館の舞台の奥行きはどのくらい?」
「えーっと、三間半はあったはず」
一間は一八〇㎝程である。
体育館のステージはそこそこに大きいため、奥行きも重要になる。
「間口は四間半でいいだろ……緞帳は両脇からだよね?」
「うん」
緞帳。
舞台の最前の幕……カーテンのようなものだ。
この開閉によって劇の開始と終わりに動くものである。
まぁ、緞帳を開けずに始まる劇もあるんだけどね。
「ホリは使わず大黒幕だな。ピンスポットは二本?」
「えーっと、多分?」
顎に手を当て一度唸った芽衣は首を傾げながらそう言った。
「ううん、四本だよ」
柊花がすかさず訂正を入れる。
「サス」
サスペンションライト。
舞台の上についているライト。
舞台の明るさを調整してくれるものと考えてよいだろう。
「二本、上手下手中央に二個ずつライト。それと蛍光灯が三本ついてるよ」
「調光卓は下手?」
「そう、二階にある。音響卓も同じ場所」
調光卓はライトの明るさを調整する場所である。
音響卓は音バージョンと考えればよい。
「音響も、か……使うのは難しいな」
舞台設備に関して質問をしながら、俺は台本を書き進める。
登場人物は一人だけ。
柊花の持つ個性を最大限に生かし、真っ暗な舞台に華を咲かせる。
一度、柊花に視線を送る。
柊花と目が合う。不思議そうに俺を見た柊花は優しく笑った。
「柊花、それだ」
「え?」
「その笑顔だ。最後にシーンはそれだ」
「……わかった」
台本が纏まる。
このまま作れる。
俺達の劇を。
「……翔太さん、すごい」
リリィの呟き。
「そうだよね、翔太はこれがあるから」
「芽衣さん?」
「見てるといいよ、翔太の作る劇を」
芽衣とリリィは何やら会話をしている。
気にはなるが、今は台本だ。
スマホは文書アプリが開かれて、文字が並ぶ。
台詞の一つ一つにイメージを乗せて、確実に流れを守る。
数十分キーボードの叩く音が響く。
誰もが静かにそれを見ている。
「……できた」
囁いた言葉は全員の耳に届き、歓喜の声を漏れさせた。
「翔太、お疲れ様! これで本格的に動けるわ!」
「お疲れ様。部長、私、これから頑張るから」
「あぁ、頼んだよ。俺も芽衣も全力でサポートするからさ」
「ありがとう」
「翔太さん、お疲れ様です」
リリィは緑茶を淹れ直してくれた。
「悪いね、リリィ。暇だったよな?」
「いいえ、なんだか圧倒されました。翔太さんの真剣な姿はとてもカッコよかったです」
「おう、ありがと」
そんなこんなで、完成した台本を保存し、次回の部活で製本することになった。
芽衣と柊花は帰宅し、家にはリリィと俺の二人になった。
「なんだか騒がしかったなぁ」
「ふふっ、とても楽しかったです」
「あぁ、これから頑張らないとだな。リリィも暇だったら見に来てくれよ」
「……学校祭、ですか?」
「うん、一般公開の日にやるからさ。クリスさんと来てもいいし」
「……はい、行けたら行きますね」
リリィの笑顔は脳に焼き付いて離れない。
悲しそうな笑顔だ。
その三日後、リリィは母親と暮らすことになり、俺は一人になった。
こんにちは、下野枯葉です。
先週はリアル事情で投稿できませんでした。
本当にリアルはクソくらえですね。
さて、今回のお話では翔太の世界を再び皆さんにも見ていただきます。
そして、急展開を以って次話に続かせるというものです。
やっとゴールが見えたなぁと思っています。
因みに、次から裏のお話を書いていくのでお楽しみに。
うん。
アニメ見たいので後書きはこんなもんでいいかな。
今期は豊作です。
では、
今回はこの辺で。
最後に、
金髪幼女は最強です。




