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PRIDE or BRIDE  作者: 下野枯葉
選択編
12/121

八話 ロリコンは劇を演じ、投影を開始する

どうも!

 月見里芽衣です!

 えぇ、最高ですよ!

 同じ部活の同級生(部長)が金髪のロリっ子といました。

 何を言えばいいのかわからないですよ。

 演劇部に犯罪者かー……終わったわ。

 柊花っちは「何か理由があるはず」って言ってたけど、見方によっては犯罪だからねー。


 とりあえず、八話始まります。




 アムール宝狼二〇三号室。

 なぜだろう。

 こんな静寂を感じたことがある。

 こんな居心地の悪い家は二度目だ。

「……どうぞ」

 リリィが静かな声で緑茶を出す。

 俺とリリィの湯飲みに加え、来客用の湯飲みが二つ。

 計、四つの湯飲みがある。

「あっ、どうもです」

「ありがとうございます」

 芽衣と柊花はそれぞれお礼を言い、翔太を見る。

「えーっと、リリィ、こちら高校で同じ部活をしている二人」

「月見里芽衣よ」

「星奈柊花です」

「初めまして、リリィ・ロペスと申します。翔太さんがいつもお世話になっております」

 二人はリリィの容姿に見惚れ、透き通った瞳からの視線でしばらく動きを封じられた。

 そして、冷静さを取り戻し、一転。

 突き刺す視線。

 刺し殺す視線。

「……えっと、粗茶ですが」

 苦し紛れに平常を装い、出た言葉。

「二六点」

 芽衣からの一言。

 赤点じゃないか。

「幼女特製の最高の逸品です」

 満面の笑みで、吹っ切れたように宣言する。

「零点」

 人を殺してしまいそうな視線だった。

「どうしろと?!」

 半泣きで、嘆きの声を漏らす。

「まぁ……翔太とこの可愛い子の関係とか、このアパートについてとか……ねぇ?」

 咎めるように指を突き刺しながら質問をされる。

 最後の一言はニヤッと笑いながら放たれ、心臓を掴まれた気分だった。

「時間、かかるぞ?」

「最後まで聞くよ、部長」

 芽衣とは真逆の優しい笑顔が柊花から注がれた。

「ぐぬぬ……」

 その優しさが、少し……いや、とてもつらかった。

 その善意が、俺の中にある『黙っていた』という悪意に突き刺さる。

「翔太さん、私に手伝えることはしますよ」

 リリィのその言葉。

 あぁ、そうだ。

 こんなにも短い間に、リリィに頼れるようになってしまったなぁ。

「……助かる」

 俺は意を決し、言葉を選びながら語り始める。

 絶対にリリィの名誉を傷つけてはいけない。

 それが今の俺にできる精一杯だ。



「……」

 渋い表情の芽衣。

「そうだったのか」

 しみじみと聞き入っていた柊花は、優しく微笑む。

「納得……したか?」

 恐る恐る二人の表情をうかがいながら質問をした。

「あぁ、私は納得したとも」

 柊花は佇まいを正し聞き、異常な状況も理解してくれた。

「私は二、三質問があるわ」

 ぴくぴくと眉を動かし、腕を組みながら声を震わせるのは芽衣だ。

「まじ?」

 芽衣は深呼吸をし、睨む。

 そして一言。


「どこまでしたの?」


「んはぁ?!?!」

 んはぁ?!?!

 こっ、こいつは何を!

「だから、どこまでしたのか? って聞いてるの」

「なななななななななんん、なんなんなんでそんなこと聞くんだよ!」

 演劇部部長とは思えない噛みっぷりを披露する。

 それくらい、動揺してた。

「言えないってことは……まさか?」

「芽衣が思っているようなことはないよ!」

 芽衣って妄想たくましいよな。

 時々……いや、結構思う。

「怪しいなぁ……? リリィちゃんだっけ? どうなの?」

 早速、リリィに近付き攻め立てるように質問を繰り出す。

 戸惑うリリィ。

「えっと……それはぁ……」

 リリィ! 否定をするんだぁ!

 なんで否定しないのさぁ!

「翔太、最っ高! 東京湾に鎮めたくなった!」

 屈託のない笑顔。

 全く曇り無い。

 怖い!

「死ねと?! 悲しいなぁ」

「ロリっ子が登場するアニメを眺めながら金髪幼女に告白しようとするなんて……笑うしかないわ」

「何も言えないですねぇ」

 顔を抑えながら涙を堪える。

 いつもの即興エチュードの一端が見えて、少し安心した。

「芽衣、特異な状況だから仕方がないと思う」

 冷静に柊花はそう告げた。

「それもそうだね……じゃあ事情聴取はこれでおしまい」

「助かった……」

「それじゃあ、次に聞きたかったことを」

 安堵したのも束の間、再び訪れた緊張感に心臓が鼓動を早める。

「え? 次もあんの?」

「だ・い・ほ・ん!」

 一文字ずつ丁寧に発音された言葉を認識する。

「あー…………」


 静寂。


「あぁぁぁぁあああああ!」

 叫び声が徐々に大きくなる。

「翔太! まさか!」

「何も考えていないのか?」

 芽衣と柊花が順に声を荒げた。

 作戦通りか。

「なーんちゃって。大体考えてあるよ」

 煽るような笑顔で二人を見つめる。

「心臓に悪いよー」

「ドキッとした、寿命が縮んでしまいそうだ」

 胸を撫で下ろし、呼吸を整える。

 柊花の焦る姿を見たのは初めてだ。

「悪い悪い、仕返しみたいなもんだ」

「ふふっ」

 リリィが不意に笑い声を漏らした。

「どうした?」

「部活って楽しいものなんですね。私にはわからないものでして」

 俺達の光景を見て出た言葉なのだろう。

 しかし、これは部活というよりかは……いや、部活の一環だな。

「そっか、小学校じゃ部活とかないもんね。クラブとかは?」

 芽衣はリリィにそんな質問をする。

「手芸クラブに入っています」

「そうなのか、知らなかった。演劇とかないのか?」

 手芸クラブなんてものが存在するのにも驚いたし、そこに所属しているのも驚いた。

 そして、手芸があるなら演劇があってもおかしくは無いだろうと思いそんな質問をした。

「言っていませんでしたもんね。残念ながら山城小学校には演劇クラブは無いんですよ」

「それは残念。演劇はとても楽しいのに」

 柊花のそんな言葉。

「そうなんですか?」

「あぁ、違う自分を……見つけられるかもしれない」

 そんな台詞が優しく紡がれる。

 きっと柊花も違う自分を見つけたのだろう。

 それが偉大なもう一人でも、滑稽なもう一人でも、それは柊花にとって大きなことであったのだろう。

「へぇー……」

 目が輝いている。

 リリィも柊花に触発されたのだろうか?

 良い変化であると嬉しいな。

「よし! じゃあリリィちゃんもやってみよう!」

「ふえ?」

「は?」

 俺とリリィは反射的に声が出た。

 芽衣はとんでもないことを言う。

 だけど、少しだけアリだな……と思った。

「ここに台本が二部あります。読んでみよっか」

「……はいっ!」

 俺はスマホの中に入っているデータを使用して、芽衣と柊花で一部、リリィで一部使い読み合わせを開始する。

「って、これ登場人物全員女じゃん……まぁいいか。んじゃ、丸読みで」

 順番は俺、芽衣、柊花、リリィになった。

 俺は深呼吸をし、集中モードに入る。

 舞台は探偵事務所。

『あのー、御免ください。』

 登場人物クララの台詞。

 男の俺が女性を演じることに抵抗を持っていられない。

 そんな些細なことで一喜一憂などしていたら劇など作れない。

『誰もいないのかしら、御免くださーい。』

 芽衣が窺うような声でクララに感情を吹き込む。

『いらっしゃいませ、どの様な御用件でしょうか。』

 助手のノンノが登場し、舞台には二人の人物が会話を始める。

 柊花も上手になったと思う。

 少し前は台詞を噛み、抑揚など全くないものだった。

『ひっ、人探をお願いしたたっ……お願いしたくて。』

 リリィは慣れない場面を想像しながら、文字を読む。

 少し前の柊花のようだった。

『人探し……どなたをお探しで?』

 俺のその台詞を聞き、リリィは驚いていた。

 やっぱり女性の台詞は少し恥ずかしい。

『申し遅れました、私二番街のベーカリーの娘のクララと申します。』

 上品な雰囲気を感じさせる言葉の出し方。

 流石だ。

 芽衣にはやはり才能があると思う。

『探しているのは私の母なんです。』

 柊花はゆっくりと時間をかけて上手になっている。

 努力家だ。

『お母様ですかっ。』

 リリィはまだ文字を読んでいる。

 登場人物になるには難しいか。

『えぇ、二週間前に友人に会いに行ったっきり帰ってこず、傭兵さんに相談もしたのですが手掛かりは何も見つからず。』

『それで依頼を?』

『はい、どうか母を探してください、ピーターさん。』

 普段の部活の感覚。登場人物の感情は何も一つではない。

 書き手、読み手、聞き手……様々な方面から想像ができる。

 その感情を探りながら劇に関する力を身に着ける。

『ごめんなさい、私はピーターではなくて助手のノンノと申します。』

 慣れてきたのだろう。

 読み方が芽衣に似てきた。

 そうだ。最初は誰かの真似をしてみるものだ。

『そうだったのですね。』

『でもご安心ください、クララさんの気持ちはきちんとピーターに伝えます。』

『お願いします。』

『母が見つからなければ父は一人に……

 時の流れが変わった。

 周りの動きが遅くなった。

 いや、俺の動きが速くなったのか?

 とにかく、周りの一挙手一動作がゆっくりになった。

 リリィの動きが繊細に、手に取るようにわかり、引き込まれた。

 再びのこの感覚だ。

一人になってしまうのです』

 電撃が走った。

 あぁ、正しい表現だよ。

 見えた。見えた。見えた。



「これだ」



 目で見える光景には三人の女の子。

 脳で見える光景には孤独な少女。

 俺は一つの劇の形を見た。

 これは、俺に与えられた唯一の能力。

 劇を見るんだ。


こんにちは、

下野枯葉です。


最近は、書きながらアニメを見るようにしています。

おもしろい!


さて、今回のお話では登場人物をある程度収束し、結末に向けて形を整え始めました。

ただ、どうしても書きたいことの一つがまだ書けていません。

ですが、書くタイミングはつかめています。

なぜならこのお話には裏話がありますから。

重要ですよ。

もっともっと書きたいですね。


リアルが忙しくてキツいんですけどねぇぇぇえええ!!!


では、

今回はこの辺で。



最後に、

金髪幼女は最強です。

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