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PRIDE or BRIDE  作者: 下野枯葉
悲叫編
103/121

八十六話 主柱の少年は惑い、従い、偽らない

「さーて、そろそろ帰るかな」

 時計を見ると午後十時を回り、桂は荷物を片付け始めた。

 流石にこれ以上遅くなってしまうと、補導の対象になってしまいかねない。

「泊まれば?」

 純粋に。

 無垢に。

 ただ思ったことを口にしたアンナ。

「まさか冗談を。確か十一時以降は補導されるからさ」

「え?」

「補導だよ。補導」

「そこじゃなくて。もう日付跨ぐわよ?」

「は?」

 噛み合わない会話に不安を覚え、桂は強めの口調で疑問を投げた。

 部屋の時計を見れば確かに十時三分と表示されているのだ。

 なのに日付を跨ぐとはどういうことなのか。

「その時計、電池切れてるのよ。あぁ、ついでだから電池交換しといて」

「………………。傲慢だね。流石に女子が一人の部屋に泊まるのはマズいでしょ? どうにかして帰るよ」

 絶句。

 数秒沈黙した後に状況を整理して、案を探す。

「万が一補導でもされたら部活に影響が出てしまうわ。泊まりなさい。これは命令よ?」

「それはそうだけど……」

「よろしい?」

「は、はい」

 不安と期待が入り混じる外泊は、年相応の興奮を呼び起こすには十分だった。

 桂は昂ぶりを抑えるのに必死であった。

 それと同じくらいアンナも初めての胸の高鳴りに戸惑っていた。


 数分後。

「あぁ……」

 桂の嘆息。

「あぁ…………あぁ」

 桂の息が乱れる。

 乱れぬように必死に抑えるが、それはかなわない。

 少し離れた位置から聞こえるシャワーの音。

 先にシャワーを済ませた桂はジャージに身を包み、数分前に自分がいた浴室の光景を想像し、妄想した。

 そして浮かんだ光景を認めて自責する。

「やっぱり今からでも帰る……か? なんで俺、好きな人の家に泊まってるんだよ」

 頭を抱え、何度も何度も溜め息を漏らした。



「え、ナニコレ? 罰ゲーム?」

 今後の展開を妄想してしまい、耐え凌ぐ自分の姿。

 不意に言葉が漏れる。

「罰ゲームとは随分ね? せっかく寝床を用意してあげようと思ってたのに」

「いや、うん。嘘ですごめんなさい。寝床、感謝します」

「では隣の部屋に布団を敷きなさい」

「謹んで上番致します」

 平伏し、命令のまま布団を敷き始める。

 一つ敷き終わったタイミングでもう一つの来客用をどこに敷くかを訊ねる。

「隣よ」

 短い言葉のままに隣の部屋に向かおうとすると、もう一つ声が聞こえた。

「その布団の隣よ。言葉が足りなかったのは申し訳なく思うのだけれど、それくらい汲み取りなさい」

「……え」




「桂……起きてる?」

「寝てるよ。明日も学校だからね」

「そう。今でも私のこと好きなの?」

「……あぁ。好きだよ」

「じゃあどうしてこの状況で何もしないのかしら?」

「期待してるの?」

「なっ?! そそ、そっ、そんなワケないでしょ?」

「俺の一方通行で事を進めようなんていうのは許されるべきではないからね」

 アンナも何も返すことができずに黙った。

 数秒。

 数分。



 互いの心臓の音が聞こえてしまうくらい静かな春の夜。



「星奈柊花のことが好きでしょ?」

 小さな声で再び話し始めたのはアンナだった。

「あー…………うん。好きだったよ」

 桂は過去を思い出し、直ぐに肯定した。

 嘘はなかった。

「どうして私に乗り換えようとしたのよ?」

「乗り換えるとは人聞きの悪い。柊花ねーちゃんには他に好きな人がいるみたいだし……それにね……うん」

「何よ? 引っかかるわね?」

「……」

「桂?」

「……………………」

「狸寝入りにしてはヘタね。早く続けなさい」

「……一目惚れだよ」

「えぁっ?」

「おやすみ」

「あっ…………ぁぅ?」

「――」

「ちょっと、桂? あのっ? ぁぁぅ?」

「――」

「…………眠れないじゃない」


こんにちは、

下野枯葉です。


お久しぶりです。

本当にお久しぶりです。

別作品でも少し触れましたが、のっぴきならない事情で全く書けませんでした。

いやー。

辛かったわ。

まぁ、一旦は落ち着いたので続きが書けそうです。

書けなかった間に構想は練っていたので、順調に書けるんじゃないかなーと思っています。

が、頻度が低下するかもしれません。


さて、お話は本編に戻りまして。

アンナと桂の密会です。

この静かな一時。

全てを曝け出して欲しいと思ってこのシーンを書きました。

まぁ、互いに奥底だけは隠して探り合っているようですが。


好きな人が隣にいて。

眠りにつく前の僅かな一時。

少年は何を思うのか。

甘美な空間に脳が蕩ける中で、少年少女は語り合います。

春が過ぎます。


さて、

今回はこの辺で、





最後に、

金髪幼女は最強です。

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