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PRIDE or BRIDE  作者: 下野枯葉
悲叫編
101/121

八十四話 金髪美少女は笑う

六月二日


「是非とも多くを学んできて欲しいよ。君が得たこと全てがこの学校にとって良いものになると信じているよ」

 放課後、アンナは担任に呼ばれ職員室に来ていた。

 目の前には教頭と担任、学年主任の教師が並んでいた。

 囲むように視線がアンナを包む。

 不快。

 その感情は決して表に出すことなく、堂々としつつ、ほんの少し口角を上げた笑顔を浮かべていた。

 上辺だけの笑顔。

「機会をくださり本当に感謝しています。私自身の身になることは勿論、学校の為にも頑張ってまいります」

「向こうの学校にも本校の素晴らしさを伝えるのは忘れないようにな」

 つまらない矜持を示せと半ば命令をしてくるこの人間をアンナは教師とは思っていない。

 吐き気。

 同じ人間であることが嫌で仕方がない。

「えぇ、勿論です」

 笑顔。

 笑顔。

(私は笑えているだろうか?)


 期待に応える為、アンナは笑顔を絶やさない。


 とても、とても長い時間に感じられた教師たちの言葉達は頭にこびりついて離れない。

 会話の切れ目を見つけ、アンナは退室した。

 職員室の扉を閉めるまで決して表情を変えず、ゆっくりと扉を閉めた。

 と、同時に表情を引き締めた。

「こんな高校、来なければよかった」

 呟く。

 誰にも聞かれないように。

 決して聞かれてはならないから。

「俺は来てよかったぞ」

 背後からの声に飛び上がる様に驚き、身を竦め防御の体勢をとった。

「驚きすぎ。それにそんな言葉聞かれたら面倒だぞ?」

 桂は構えるアンナに軽くチョップをしてから肩を竦める。

「なんでいるのよ」

「部長からコピーを頼まれたんだよ。アンナも早く部室に行けよー」

「ねぇ」

「ん?」

「……つまらないでしょ?」

 一瞬だけ職員室を見てから捨てるように視線を戻し『つまらない』と言う言葉を選び、桂に同意を求めた。

 それがどういう意味を持つのか理解できた桂は大きく頷く。

「すげーつまんねぇよ。でも学校に教育だけを求めてたら疲れない? 俺は教師のいない学校もあると思うよ」

「……」

「ところで何で職員室に来てたんだ?」

「大した理由じゃないわよ」

 不機嫌そうに桂からも逃げるように立ち去る。

(つまらないなら…………どうして笑っていられるのよ)




 部室。

 杠葉翔太作の『晴れのち晴れ』の台本の読み合わせが終わり、翔太は何度か頷いた。

 配役は既に決まり、それぞれが役を模索していた。

 主人公の少女を演じる芽衣は流石と言える演技力と、理解を持っていた。

 雨女と自称する主人公の暗い感情と自嘲に似た醜い明るさを『声』だけで演じ分けている。

 桂は主人公とは対になる晴れ男を自称する少年を演じる。

 数日前までは無かった『晴れ』を象徴するような純粋な明るさと、前向きな性格を得た演技に翔太と柊花は感嘆を漏らしてしまった程だ。

 そして雅はもう一人の少女を演じる。

「よーし、十分休憩な」

 翔太は部員に指示を出し、柊花をアイコンタクトで呼んだ。

 柊花には演出としてどれだけこの劇を把握しているのかを確認しておきたかった。

 箇条書きに纏まる文字を追いながら柊花は語る。

 『晴れのち晴れ』は天気のお話。

 天気に合わせた照明や、演者の立ち位置について質問混じりに方向を説明する。

 指摘も何点かあったが、柊花を演出に選んで正解だったと翔太は思った。

 部員の成長具合を加味し、翔太は数分考えた。

「じゃあ一旦集合して」

 部長らしい指示をした後に全員の視線が集まるのを確認する。

「今回の劇は十一月の地区大会に向けたものになる。ちょっと間が空きすぎるのでこれをやろうと思います」

 翔太は台本を取り出す。

 部活が始まる前に桂にコピーをお願いしたものだ。

「グスタフ?」

 宮代翔太作の『グスタフ』。

 柊花がタイトルを読み上げて疑問を浮かべる。

 どうして今、この台本を渡したのだろうか?

「来月中頃までにこれを仕上げます。と言っても最終的なところまで仕上げるのではなく、劇の作り方を知ってもらいます……特に雅、光、アンナ」

「いきなりだね」

 芽衣は台本を受け取りながら翔太に苦言を一つ。

 その言葉を聞いてアンナはこの話題が翔太しか知らないのだとわかった。

「本気で地区大会に出るなら、全員で本気にならないとね」

 翔太は部長として道を示した。

 それに異論を唱え得る者は誰もいなかった。

 それは部としての目標と各々の目標が一致し、全員が部長の言葉に強い意志を感じたからだった。

「柊花と光、アンナがメインで進めてもらうね」

 その後、全員がグスタフに目を落とし内容を確認する中、アンナはふと視線を翔太と合わせた。

 わざと視線を逸らした翔太。


 それを見て不満を浮かべたアンナだったが、嬉しさが勝り、笑顔を浮かべた。

(えぇ、笑えているわ)


こんにちは、

下野枯葉です。


体調が最悪です。

それでも脳は回りますね。

頭痛がする度に、新しいお話が浮かびます。

(そのうち血管切れそうでこわい)


さて『晴れのち晴れ』という劇が決まり、内容と配役も決まりました。

書くの大変だなぁ、と思いながら楽しくてニヤニヤしてました。

アンナにドン引きされそう。

本編でも触れていきますが、この台本の内容は雨女と晴れ男のお話です。

ありきたりな内容ですが、劇ってそういうのが一番見ていて楽しいんですよね。

観客に難しい内容を見せて、すごく考えさせるのは苦行でしかありませんからね。

たった一時間くらいの間に、至高を回し、劇は進み続ける。

見ていて辛いのはおかしな話です。

なので、劇は単純に作ります。


そしてグスタフも同時進行です。

アンナと光、柊花が活躍します。

夏休みが始まるまでの短い間ですが、この悲叫編を盛り上げる重要な劇になるので細かく書いていきたいと思います。

お楽しみに。

おたのしみに!!!!!!!!!!!!!!!!!


では、

今回はこの辺で。





最後に、

金髪幼女は最強です。

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