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鉄砲と花

声優、川村万梨阿さんの、2014年発売のCD  【Odyssey  31周年記念アルバム】に、入っている、曲です。 買ったその日、『鉄砲と花』を聞いた瞬間。泣いてしまいました。 たった、3~4分の歌ですが、1時間以上かかる仕事場に、向かう途中、電車の中で涙が、止まらなくなって、何日も、何日も、歌を聞いては泣いてました。

アニメの中の歌ですが、俺の中で、できたドラマが、【マリア―鉄砲と花】 です。

【鉄砲と花】で検索していただければ、うれしいです。

【川村万梨阿さんの、『鉄砲と花』】も、検索して下さい。詩を載せたいのですが、著作権等などで、できません。

川村万梨阿さんの歌を聞いて、ドラマを読んで、見て下さい。

   鉄砲と花



   マリアー鉄砲と花


夜、満天の空に、星が輝いている。

地上では、ライフルを立てて、光が漏れないように、コートを何着もかけている。

ランプの光のなか、人々が集まって食事をしている。

黒パンと缶詰。それと、水だけである。

砂が、口の中に、パンに、缶詰に降りそそぐ。

人々は、飲み込むように、食べている。

食べ終えた人が、水で口をすすいだ。

「朝日だな。」

うなすく人、人。

「しかし、村か?まるで難民キャンプだな。」

「あんな所に、重要人物、って、いるのか?」

「しらねえー。」

「軍部や、国からの、命令だろう。」

「ゲリラの親玉か?」

「気に入らねえな。今の仕事。」

言うと、立ち上がった。

「まぁ、仕事すればいいんだから。」

突然、みんなに緊張が走った。

そこにいる者全員が、一点を見ている。

ナイフを握りしめている。

「俺だ。ジョーだ。」

「アキラと、ビリーが、一緒だ。」

「……。」

「姉貴。ジュンいるか?」

「なによ。ジョー。」

「手、上げて、ゆっくりきな!」

光で、顔が見える所まで、歩いてきた。

「あれって、難民キャンプだぜ。」

ビリーが言った。

「やはり、な。」

「何故、襲うんだ?」

ジョーが聞いてきた。

「で、要人って、目標いたか?」

「それが、見当たらないンだ。」

「女と子供。兵士は、俺達と同じぐらいだ。」

「?」

「?」

「誰、殺すんだ?」

「誰だろう?」

みんなが、考えている。

「それより、売っていた。」

「何を?」

「『マリア。』『鉄砲と花。』」

どよめきが、起こった。

「売っていたよ。キャンプで。」

ジョーが言った。

「こいつ、CD まで買ったよ。」

「人の事、言えるか? ビリー! アキラ!」

ライトをあてて、カセットを見ている。

カセットの中の少女。

「かわいいな。」

誰かが、言った。

少女と男の子が、写っている。

人に借りたのか? 体に会わないジャケットを、着ている。

頭を、スカーフで半分隠すように、巻いている。

そして、精一杯のおしゃれをしている。

少女は、顔がなくなるぐらい、笑顔を作っている。

手には、花束とマイクを持っている。

 男の子も、借り物だろう、大きめの服を着せられて、イヤイヤ姉に付き合っているのだろうか?カメラをにらんている。

ジャケットには、『鉄砲と花』『マリア』と、書いてある。

「キレイだ。」

「かわいいな。」

誰が、言った。

「会いたいな。」

「ああ。」

「この戦争が終わったら、会いに行こう。」

「花を持って、みんなで。」

声が聞こえた。小さな笑いがした。

「そうね。私も会いたい。」

「死ねない…ネ。」

何人もの、女の兵士が。

「生きるの。」

「生きて、会いに行こう。」

ジュンが、ウォークマンを出した。

「ジョー、開けるよ。」

「まて!ダメだ!買ったの俺だぞ!!」

ジョーが怒る。

「ダメ。私のウォークマン。使うんでしょ。」

「ずるいぞ!姉貴!!」

回りで、笑いが。

「開けちゃった。」

唸る、ジョー。

みんなが、笑いをこらえている。

ウォークマンから、マリアの歌が聞こえている。 



  数ヶ月前。テントの中。

 パブが。ステージの上、ピアノマンが、ギターがバイオリンがスタンバイ

 している。

 ピストルを身に着けて、ライフルやマシンガンが、立ててある。

 ペンライトの光が、楽譜を照らしている。

 ステージの下、ノートパソコンが数台、録音に使われている。

 テーブルには、ローソクが。無数の光を。

 光の中、人々が。

 ステージでは、トラブルが。

 「姉ちゃん。まだやれるの?」

 「しんどい。」

 「もう一回。ガンバロウ!」

 「イヤだ。もう4回もしたよ。」

 「ガンバレ!」

 あちらこちらから、声がする。

 「デーブ。みんな、デーブのハーモニカ、聞きたい。って。」

 「イヤだ!」

 「眠いよ…。」

 マリアの体に、顔をうずめる。

 困った、マリア。

 「言ったら動かないから。デーブは。」

 笑い声が聞こえた。あちらこちらから。

 「今日は、ここまでかな。」

 うなすく、人々。

 ふたりに近づく人が。

 「デーブ。これ、いる?」

 デーブの目が、輝いた。

 「チュッパ! いいの?」

 マリアの顔を見た、デーブ。

 うなずいて、笑顔を見せた、マリア。

 「何がほしい。」

 ディレクターが。

 「う~ん。え~と、え~と、コーラ。」

 デーブ、チュッパをもらって開けようとした。

 マリア、チュッパを握って、

 「デーブ。お礼を言って。」

 「ありがとう。」

 笑顔で、言う。

 「ありがとうございます。」

 マリアも、お礼を言う。

 大事な、大事な、宝物を、舐めて、味わって、食べる、デーブ。

 ふたりを見ながら、地酒を、ビールを、ゆっくりと飲む人、人、人。

 「おいしい?」

 「うん、食べる?」

 マリアにさし出した。

 ひとくち、舐める、マリア。

 「おいしいね。」

 弟に返した。

 うなすく、デーブ。

 お客は、見ている。

 「生き返ったみたい。」

 女の人が。

 「このまま、止まって……。」

 呟いた人。

 うなすく、人々。

 ゆっくり、ゆっくり、食べる、デーブ。

 そのふたりを、見続ける、人、人、人。

 「なくなっちゃった。」

 デーブが、棒を見つめる。

 「おいしかった?」

 うなすく、デーブ。

 棒をチュッパの包み紙でつつみ、大事な、大事な、宝物にして、胸ポケッ

 トに入れた。

 「もう一回、いこうか?デーブ。」

 マリアの言葉に、デーブは、笑顔を見せて、答えた。


 ピアノが、流れた。


   鉄砲持つ ひとと 

   花持つ ひとの 

   願いは 同じ 

   平和の 明日 

   とうさん どこに

   かあさん どこに

   わたしは ここよ

   おとうとも いるよ


 マリアが『鉄砲の花』を歌っている。


 ピアノが、踊っている。

 ギターが、鳴いている。

 バイオリンが、響いている。

 マリアは、デーブにマイクを向けた。

 マリアの顔を見上げる。

 マイクに向かってハーモニカを吹いた。



朝、キャンプでの、食事。

地球の各地から届く、支援物資から、給食を、作っている。

黒く乾いたパン。

マメや麦。

乾燥野菜を入れたスープ。

ペットボトルの水。

日に2回の食事である。

マリア達も、動き回っている。


『鉄砲と花』マリアのライブが、CD が、売れている。

10歳の少女が、平和をさがして、歌っている。

マリアの歌を聞いた人々は、マリアに会いたい。

マリアと話をしたい。

マリアを助けたい。

そして、マリアの歌を、聞きたい。マリアを呼ぼう。

各地で、マリアを、と。


そして、明日、マリアとデーブは、この国を旅立つ。

今日、昼に、キャンプを出発する、マリアとデーブ。

内戦で、手を、脚を、失った人々も、マリアと最後の食事を楽しんでいる。

足を止めて、マリアとデーブを見ている。

自分の子供のように、喜んでいる。

平和な世界に旅立つ、ふたりを。

「元気で。」

「今晩も見に行くよ。」

言う人も。

「酒がたりないから、明日も歌ってくれ。」

笑わせる、人も。

スマホで撮る人々も。

「外の世界で、頑張って。」

マリアとの、デーブとの、別れを悲しむ人。

マリア達を笑わせる人々。

「別れに涙は、ダメだよ。」

指で、顔をふく、おばさん。

「泣き顔より、笑っておくれ。私達の娘。」

おばさんの大きな体に顔を押しつける、マリア。

「元気で。ふたりは、私達の子供だよ。」

「必ず、帰って来るから。」

言う、マリア。

「心は、つながっているから。」

「私達の子供。マリアとデーブ。」

「花で、平和な世界を!」

「地球に花を。花一杯に。」

「旅立つ子供達に、祝福を!!」


食事の中、爆破が。

「襲撃だ。」

叫ぶ人々。

「こんな日に。」

「いくぞ! セーノ!!」

テーブルを横倒しにする、人々。

テーブルに、鉄板が、張り付けてある。

男の子が、テーブルにもたれて、スープにパンを浸けて食べている。

おばさん達、銃を手に、苦笑いを。

「だーって、もったいないだろう。みんなが作ってくれたのに。」

「あんた、大物だよ。必ず、生き残りな!」

男達は、鉄砲を、ライフルを、手にした。

動けない人々も。

女達は、子供を連れて、逃げ出す。

「マリア!行け!!」

「私も、戦う。」

ライフルを掴もうとした。

ない? 

マリアは見た。

「お前は、旅立て!」

「みんな、置いて行けない。」

女の子が、引き金に、指をかけながら、言う。

「ダメよ。私達は、銃を取った!!」

「でも、マリアは、マリアの手は、花を摘むための手!」

多くの人々が、マリアを見て、うなすく。

「今は、小さい花かもしらないけど、花を、手にこの星いっぱいに咲かせて。」

「行け!俺達の分まで!」

みんなが、マリアを見ている。

「ありがとう。」

「デーブ、行こ!」

「私達のかしこい娘よ。花をおねがい。」

おばさんが、言う。

「みんなも、生きて! 必ず!!」

「行こ! デーブ!!」

「まって。姉ちゃん。これ、これだけになったけど。」

チュッパを5個、ひとりひとりに、握らせた。

「いいのか? デーブ。お前のは?」

「また、姉ちゃんに買ってもらう。」

マリアの手を、掴んだ。

マリアはデーブを連れて走った。

「食べ終わったかい?」

男の子に聞く。

うなずいた、子供。

女達が、チュッパを取り上げて、男の子に。

「いいの?」

「おやつだよ。」

笑う、女達。

マリアは、飛んでいた。

体を持ち上げられて、担がれて、走っている。

「ガンバレ!ジープまでだ!」

声が、出ない。

デーブが先に走ってている。

振り返るデーブが見える。

マリアを守る人々。

男に、女。


兵士も、走っている。

盾として、マリアを守る為に。

銃弾が。

ライフルを構えて隠れる、人。

走っている人が、倒れた。

振り返る、マリア。

人が、中に入る。

見えない。

いなくなった人。

笑って、手を振る。

なみだで、みえない。

「ジープだ! マリア!!」

「もう少し! みんなの夢を! 想いを!」

 衝撃が。

「マリアが撃たれた!!」

口から血が。

地面に降ろされた、マリア。

ジープから、飛び出す、デーブ。

男が止めた。

「行け!走れ!!」

泣き叫ぶ、デーブ。

「すぐいくから。」

マリアが。

口から出たのは、呟きだった。

「マリアが撃たれた。」

女が、スカーフで、止血しようと。

血で染まる、スカーフ。

担がれて、建物の陰に。

マリアに、人が集まる。

ドクターが、走って。

女ドクターが、トラックの中からケースを。

ロケットが、トラックの中に。

燃えるトラックを見ながら、マリアを。

「血が止まらない!」

「輸血を!」

応戦する人々。

マリアを守るため、集まる、人、人、人々。

「生きろ!マリア!!」

想いが! 願いが! 人々が、魂が、叫んだ!

「マリアをマモレ!」

「もう、誰も失いたくない。」

マリアは、叫ぶ!

「逃げて!生きて!」 

口から出たのは、血だった。


人が歩いている。

テントに入っては、銃を撃つ。

コインや、金目の物を取ると、火を着けた。

子供が死んでいる。

キャンディのフクロが、転がっている。

女が、仲間に投げた。

キャンディを舐めながら、歩く、女達。

人が、かたまっている。

見馴れた、風景だ。

「マリア…。」

「なにか言った?」

「イヤ。なにも!」

言う、兵士達。

人が、死んでいる。

女が、見ている。

「どうした?」

戻る、女達。

「いくぞ!」

「待って!ジュンが!」

「またかよ。姉貴は。」

笑う、男ども。

「姉貴!先に行くぞ!」

「まちな!ジョー。ここ、おかしい!」

また、始まったな。

と、仲間が、ジュンを守る為に集まった。

死体の回りを見つめる、ジュン。

『誰を守る為に?誰の為に命を……。』

死体のなかに入っていく、ジュン。

「おい!」

「姉貴!!」

ひとりの少女を抱えると、スカーフに水をしみこませて、血を、埃を、キレイに拭いてあげた。

仲間は、なにをしているのか、見ている。

「ジョー! 昨日のカセット、だしな!」

「なんだよ今ごろ。夜、聞けよ!」

「早く!」

「おねがい。」

「神様。まちがいだと、いって……。」

仲間は、見ている。

ジュンに渡す、ジョー。

ジャケットの写真を見る。

ジュンが、言葉にした。

「マリア…」 



川村万梨阿さんの、『鉄砲と花』。 ドラマを描いていく内に、マリアが、もっと、もっと、話をしたい。と、言ってきました。それで、マリアが、語った、話。『砂の時人(たびびと)』です。続いて、楽しんで、下さい。

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